『うそ・・・』
『俺もう18だし。秋には19だよ。パクられるのはご免だよ。半年前にもう降りてるんだ。いい年してつるんでてもしょうがないだろ?いつまでも母校に帰ってくるダサい先輩にはなりたくないな。それに下の奴には、無茶してでもどんな武器使ってでも勝ってこいって言ってたんだ。上納金のノルマも厳しくしてたし。だから下が無茶すれば必ず俺にそのツケは回ってくる、当たり前だけどな。常にナメられないようにNo1のチームでいる為にはこれしかないんだ。でも、俺はもうできないと思った。だから譲ったんだ。』
『知らなかった。じゃあもう会ってないんだ、チームの人と。』
『うん、ほとんど無いな。』
マリーンは内心嬉しかった。トオルは他から睨まれようが、デカいパーティーをいっぱいやる派手なヘッドだったし、オシャレで最強の名を欲しいがままにしたブランドのあるチームだったので、色んな女が常に付きまとっていたからだ。トオルが前に年上の女と付き合っていたこともマリーンは知っていた。今は大学生らしい。名前は噂で祐子と聞いていた。
『あっ、お前タバコ吸ってるだろ。』
ほんとに恐かった。さっきまでチームの話しをしていたこともあるが、トオルの目つきが違った。
それにトオルにはずっと内緒にしてきたことなのだ。トオルに会う日はタバコを我慢してた程である。
『ご、ごめんなさい』
トオルは笑った。
『謝ることないよ。別に何々禁止とか面倒じゃん。それにお前タバコ似合うしな。いんじゃない。
まぁ、格好良く吸えよ。俺、眉間にしわ寄せてすってる女はちょっと苦手かな。いやいやそれにしても、タバコ吸いつつ杏ちゃんに勝つかぁ。そりゃ天才のすることだな。』
マリーンはすごくいけないことをしている気分になった。
『大丈夫だよ、お前は天才だから。今回は勝てるよ、きっと。自信持て。だって今までそうやってやってきたんだろ?』
それよりも、マリーンにとってトオルに嘘を付いていたことが気まずいことであり、後ろめたくてしょうがないことであった。
『うん自信はある。あとごめんね、タバコ黙ってて。』
『好きなだけ吸いなさい。俺の真似したんだろ?ほんとダメな彼氏だな俺は。まあレースで勝つとか、巻けるとか、あるじゃない。タバコ吸って吐き出している様とかあるじゃない。その辺が格好悪くなったら、考えどきだよな。』
『要は自分で考えろってこと?』
『そうだね。それが一番。俺、小学校から中学は千葉なんだ。で、先輩が卒業したあとコンビニや中学の校門とかでたむろってて。それ見てて悲しくなったんだ。なんかタバコ吸って散々威張ってた奴が外に出たら、外でも威張り散らして欲しいじゃない。最強の面影なんてないわけさ。俺もああなっちゃうのかなと思うと焦ったな。その時は色々考えさせられたよ。』
『それで東京の学校行こうと思ったの?』
『そうだね。ここでもう一回天下を取ってやると。それって格好いいことなんじゃないかと思ったんだ。正解かは良く分からないけど、数年後わかるんだろうな、その答えが。でも大好きなお前に格好いいって言われてすごく嬉しいよ。東京一の天下は取ったから俺も次を模索しないと、さらに格好付かなくなるなぁ。ところで、アメリカの不良ってやっぱカッコいいのかな。格好とかも含めて。』
『ああ、格好いいかもねぇ。普通にアメ車に乗って、ピストルもって。イタリアとかも格好良さそうねぇ。』
『俺も拳銃は何度も欲しいと思ったな。』
『トオル君には拳銃持たせたくないよね。』
『拳銃持たせたくないタイプって最悪じゃん!それ。』
『二人で銀行強盗する時は私が銃をもつ役割だから。トオル君すぐ撃っちゃいそうなんだもん。』
『いやいや銃は2丁用意しようぜ。俺、車のドライバーかよ。なにやってんだよ俺。女に銃持たせて。』
『で、やばくなったら車でブーン。うそうそ。だってトオル君って頭いいし、勉強もできるから冷静なドライバーの方が向いているよ。アタシじゃ無理。』
『褒められてるんだか、なんなんだか。』
下らない話しをしていると、ふと、二人の頭に同じ人物が浮かんだ。
『淳、元気にしてんのか。』
『淳先輩? ああうん。普通に元気。かなりスポーツマンになってるけど。』