『そう延命したいの』

『あの、入りの50Mが硬いっていうのはあるかもね。とばして泳ごうという意識が強すぎるんじゃない?

意識的には最初の50Mは捨ててもいいんじゃないかな。飛び込んだ後って、頑張らなくても頑張るでしょ。

特に短水路の25Mプールなんてあっという間だよ。ここで力まずに頑張れば後半のキックも弱らないと思うよ。だからもう少し延命の余地はあるかもね。』

『あぁ、かなり力んでるのかも。もしかしたら。』

『どっちかっていうとキックじゃない?由香が弱いのって?自覚ある?』

『私は間違いなくキック。腕の疲れは、そんなんでも無いもんね。

特にフリーでは後半キックが打てなくなるかも。

ストローク数が変わってくるのは、腕の疲れよりキックだなぁ。そもそもビート板キック苦手だし。』

『足首の問題だよね、それ。うーんそれは今更治らないかもね。でも治ったら爆発的に速くなるかもだけど。今は延命を考える方が無難?かな?まぁでも大会までストレッチは一緒にやろうよ』

『うん、ありがと。』

『で、本題だけど、私はいいと思うけどな、速く泳げる方で。ってか、やっぱ欲しいのは

自己ベストであり、メダルなわけでしょ?宮崎の絶賛は要らなくない?』

『うん』

『あとは、まぁ学校で表彰されたいとか・・・そんな感じでしょ?

後悔という点では、ある種限界に挑戦する的なドリーミンな泳ぎは出来ないことかなぁ。

もちろん理想はやっぱりあるけど、でも私だって多少そうだよ、人によってその量が違うかもしんないけど。

オバサンくさいかな?でも必死に成る程、そういう矛盾にたいなものを感じるんじゃないかな、

皆そうだよ、きっと』

『アタシってもしかしてピュア?』

『自分で言っちゃったよ!でもトータル志向でいいと思うよ、最終的なタイムが速ければ。

あとは最初リラックスすることと、いつも失速するポイントでのイメージをはっきりさせることじゃない?』

『なんか、かなり解決した。』

『宮崎、レース見にきたら面白いのにね』

『それヤバイって。』

『嘘だよ。とりあえず明日皆でも話してみようよ、リレーもあるし』

話したら、あっけなかった。

明日、仮に皆が違う意見を持っていても、

杏がこう考えてくれていることは私にとってとて大きい。

杏も私もテンションが高いままいつもの場所で別れた。

杏がこの世から消えてしう、ちょうど2週間前の出来事だ。