2年間一緒に練習してきて、今更だが杏に相談しようと思っていた。


何故今まで誰にも言わなかったのだろう。


最後の大会が近くなり、追い詰められたことで


ようやく本気に考えるようになったのか?


鬼のいぬまに気持ちが堕落し始めたのであろうか。



今まで誰もそんな話題を持ち掛ることは無かったし、


皆は今の方針に納得しているのだろうか。


一生懸命って一体なんなんだ。



私の考えが辛さから脱却したいが故の逃避でないことを、何度も何度も頭の中で


シュミレートしてみた。


こうもハードな練習だと、これは逃避なのかもしれないと、


たびたび黒い破片が脳をかすめる。


私の心の破片だ。



一度宙に舞った破片が、再び私を目掛けて襲い掛かってきたのだ。

破片が剥がれ落ちる快感と、傷だらけになる恐怖心を抱きながら


魔物と対話した。


私の中にも魔物は存在する。それは認める。


しかし、これはあくまでシュミレーションだ。


狙われているようで、自分で狙い撃ちしているのだ。


よけきれる訳がない。


局所的な破片攻撃が終わると、どこまで走っても逃げ切れない雨が


撃ちつけてきた。エスケープできる雨宿りゾーンは無い。


それをいいことに、アイツは狙い撃ちを止めて単調な雨を降らせた。



どうせなら雷雨で狙い撃ちしてみろと心で呟くと、


アイツは雨の色を変えた。


何色もの雨に撃たれたが、


赤い雨だろうが黒い雨であろうが私は染まらなかったし


色褪せることも無かった。


私は勝ったのか? いや、この手の勝負はこれから先もずっと続くのであろう。


見るに見かねたアイツは雨を止めた。