always ⑯ 後編 | 嵐の勿忘草

嵐の勿忘草

忘れたくないけど忘れてしまうこと
忘れたいけど忘れられないことでも

キスはほんの僅かな時間だけ。

でもソウルの交わりは深くて。

 

口唇が離れた時には心が満たされていた。

しばらく動けなかった。

ショウの首に回した腕はそのままに。

リビングの片隅で抱き合っていた。

 

 

はぁ、って先に息を大きく吐き出したのはショウだった。

 

 

「ごめん。サトシが独りで外出できるようになって・・・

時々なんか置いてきぼりにされてるきになっちゃうんだ。

なんか俺なしでも楽しめることがあったのかな、って。

すごい寂しくなっちゃって」

 

「んふふ・・・ちょっと待って」

 

離れ際にチュッと触れるだけのキスをして。

腕を解いた。

躰を離すと温かさが消えていくのが分かる。

 

置いてあったバッグの底からプレゼントを出す。

ショウに差し出すと、きょとんとした顔をする。

瞠った目がいつもより大きく輝いてて。

 

 

「これ・・・?」

 

「雑貨屋さんで見かけて。

ショウにピッタリだって思って」

 

「開けていい?」

 

頷くとソファーに座って丁寧に包み紙を剥がし始めた。

 

 

ショウは中から出てきたカップを手のひらで包むと。

目の高さに掲げ、外からの光に透かした。

 

 

「綺麗な色だね」

 

「これは・・・ショウの色だよ」

 

何の色だかは言わなかった。

その炎をまとったことをショウは後悔してるから。

でも・・・その炎に巻かれながらも僕は美しいと思ったんだ。

 

キラっと光が反射する。

ショウの手の中にすっぽりとハマったボウル。

ずっと前からショウのものだったように馴染んでいた。

 

ショウの表情が緩む。

 

 

「ありがとう・・・サトシの思う俺はこんな色なんだね」

 

「ん・・・綺麗で情熱的な色だよ」

 

僕を愛してくれる時にもショウにこの色を感じる。

怒りも愛も元は同じものなんだろうな、って感じる。