always ⑯ 中編 | 嵐の勿忘草

嵐の勿忘草

忘れたくないけど忘れてしまうこと
忘れたいけど忘れられないことでも

「サトシ、何かいいことあったの?」

 

「え・・・何・・も?」

 

プレゼントのことがバレるかも?ってぎくっとした。

じーっとショウの大きな目が僕を見つめる。

心の奥底まで読まれそうで。

思わず目を逸らせた。

 

 

「ほら、隠し事してる」

 

「何もないしっ!」

 

「俺には嘘は通用しないんだよ?」

 

ジリジリと迫られて、後退りしてるうちに壁まで追い詰められた。

僕の目の中を覗くようなショウの視線。

それは責めるようなものじゃなくて。

優しく問いかけてくるような視線。

 

フッと目線を下に向けたら・・・・

ショウの口唇が僕のと合わさった。

 

 

ショウのキスはいつだって僕を蕩けさせる。

ショウの首に腕を回すと体が密着する。

口唇はもちろん離れないままで。

あぁ、僕ショウが大好きだな、って心があったかくなった瞬間。

しゅるってショウのソウルが僕の中に入ってきた。

 

ソウルが融け合う。

リビングの片隅にいるはずなのに。

大気中にショウと僕が広がっていくような感覚になる。

体が浮き上がって空気に溶けていってしまうような。

 

隠し事をしてても、暴こうと思えば探れるのに。

ショウのソウルはそうしなかった。

 

僕のソウルが中に隠してるナイショを。

ショウのソウルがそっと包む。

 

 

サトシの大事なこと?

これはサトシの嬉しいことなんだね?

 

うん・・・あのね・・・・

 

 

ショウに伝えようとした。

でもショウのソウルがナイショを僕の真ん中にそっと置く。

 

 

ごめん、勘違いしてた。

俺を避けようとしてるんじゃないか、って。

ちょっと不安になった。

 

そんなことあるわけないでしょ?

 

これにも・・・俺が透けて見える気がする。

 

うん・・・ショウのこと・・・大好きだもん。