always ⑦ 中編 | 嵐の勿忘草

嵐の勿忘草

忘れたくないけど忘れてしまうこと
忘れたいけど忘れられないことでも

マサキが蕎麦打ちを始める。

リビングのテーブルの上に蕎麦打ちの鉢?を置いてそば粉を山盛り。

サトシはテーブルの側に立って、マサキの手元を覗きこむ。

 

「なに?サトシも次やってみる?

やってみると、楽しいんだよ〜」

 

指先でそば粉と水を少しずつ混ぜながら、マサキが誘う。

 

「難しくない?」

 

「ん〜ちょっとコツはいるけどね。

オレが名人から教わってきたコツを伝授いたしましょう!」

 

マサキがそのコツとやらを説明しながら、こね始める。

 

 

「ここで、菊練り!ほら!見て!

菊の花びらみたいな模様が出来るでしょ?」

 

「ほんとだ!僕にできるかな?」

 

「粘土みたいなもんだから!きっと大丈夫!」

 

サトシが立ちっぱなしで疲れないか?

ちょっとバランスを崩したら・・・なんてハラハラしながら見ていた。

ニノがキッチンで俺を呼んだ。

 

「ショウはこっち手伝ってください。天ぷら作りますよ」

 

「て・・・天ぷら?誰が??」

 

「そりゃ・・・ワタシたちでしょう」

 

「無理!そんな・・天ぷらなんて!」

 

「手順は教えますから。

まずは海老の下ごしらえします」

 

ニノがやって見せてくれながら、説明をしてくれる・・・が。

出来る気がしない。

 

足をむしるって!背わたを取るって!

頭は??そのまま!?そんなおっかないこと!

 

じゃあ、野菜を切って、と言われて包丁を握った。

が・・あっという間に首にされた。

それなら衣用の小麦粉をふるいにかけてと言われて。

ようやく出来ることが見つかった。

 

カウンター越しにリビングの様子を伺った。

蕎麦はすでに平らにのされていて。

大きな包丁で切られようとしていた。