『簡単そうで難しい問題』についての解説(1) | 私らしさを大切にしよう! -自己発見、自己受容から自己成長そして平和な社会へ-

私らしさを大切にしよう! -自己発見、自己受容から自己成長そして平和な社会へ-

私らしさの心理学研究会代表 和泉光則のブロクです。
講習会などの情報の他、活動情報、日々の雑感などを
綴っていきます。

ついに東海大学現代文明論科目『心理学』がスタートしました。

この科目は必修なので、札幌キャンパスの1年生全員が履修します。

このブログでは、昨年度までの『知識とコミュニケーション』と同じように、授業サポートの情報もお届けします。

 

さて、昨日は認知科学と行動科学の話でした。その中で紹介した、『簡単そうで難しい問題』について、解説していきます。

 

まず、頭が混乱しないよう、数値を変えたものを先に書きますね。

 

********************

 あるホテルに、3人グループが宿泊しました。
 宿泊料は一人一泊\10,000なので3人合計\30,000ボーイに渡しました。
ボーイがこれをホテルのオーナーのところにもっていくと、オーナーは、「3人にサービスしよう」と、\1,000円だけ受け取って3人に\29,000返すよう指示しました。
 客室へ向かう途中、ボーイは、「\29,000なら3人で割り切れない」と考えました。
 そしてお客さんには一人\9000、合計\27,000返し、残りの\2,000は自分のポケットに入れてしまいました。

 

 さて、ここでちょっと考えてみましょう。
 3人は\9,000ずつ返してもらったのだから、一人あたり\1,000、合計\3,000支払ったことになります。
 それにボーイが着服した\2,000を加えると、合計で\5,000となり、\25,000円足りません。

 

 \25,000は一体どこへ…?

********************

 
再度申し上げておきますが、この問題は、本物の『簡単そうで難しい問題』ではなく、その中の数値を極端に変えたものです。
 
さて、この問題を読んだら、まず浮かぶこと、それは、
「25,000円は、お客が払わなかったお金の中にあるでしょ!だってボーイもオーナーもそんなお金は受け取っていないんだから」。
そこから、次はここにたどり着きます。
「つまりさ、お客の財布には返却された27,000円があって、ボーイの懐には2,000円、オーナーの手元には1,000円。合計で30,000円なんだよ」
とすれば、”5,000円”という金額は、どこにもない... 計算の仕方がそもそも論理的に間違っているのは明白です。
 
じゃ、何を間違えたのか?
 
”ボーイが着服した2,000円は、お客が支払った3,000円の中から抜き取ったもの。そして差し引いた残りの1,000円がオーナーの手に渡っているわけです。
言い換えると「お客は3,000円支払ったがボーイはその中の2,000円着服した」ということなわけです。
 
計算式でいうと、
 
3000-2000=1000 が正しいのですが、それを
 
3000+2000=5000 と計算した、とんでもなくとんちんかんな問題だということです!
 
(続きは次の記事で・・・)