今回はロボットマン関係の続き。
2025年でめでたく発売50周年となるタカラ・ミクロマンシリーズのロボットマン。
過去手持ちのジャンクやその都度入手した商品を含め
個人的雑感をまとめてきましたが今回はちょっと脇道に逸れてみます。
今回の主役はこの二体。決戦!メカロボ対ロボットマン開幕!!
左はタカラ製ロボットマンガ・キーン。右はポピー製メカロボ・ガイキング。
共に1976年発売の東映アニメ作品の主役ロボット。
という体で実はロボットマンのヒットを受けて商品化されたライバル商品なのです。
今回はこの二体を紹介しつつ当時のロボットマンの立ち位置など俯瞰できたら、と。
但し今回入手した二体は欠品多数、且つモーターギミック不動のジャンク品なので
その点ご了承の程を。
まず前提として、ロボットマン誕生の1975年について若干の補足を。
この年タカラはロボットマン以外に二種のロボット玩具を発売しています。
ミクロマンシリーズのミクロロボット1とアニメ「鋼鉄ジーグ」の主役ロボット
ジーグの玩具各種。写真はマグネモ11 &8とミクロマンジーグ。
ミクロロボット1はロボットマンに先行して発売されたモータードライブギミック内蔵品で
ロボットマンと異なり初めからミクロマンシリーズの商品として開発されたもの。
ロボットマンは本来タカラSFランドの独立したシリーズとして展開される予定が
先行シリーズの終了などにより整理されミクロマンシリーズに統合された、
といういきさつがあります。
一方鋼鉄ジーグに関してはタカラサイドで開発された磁石関節の素体を
講談社のテレビマガジン編集部に持ち込み、その仲介でダイナミックプロの紹介を受け
商品化&マンガ連載を受けて東映でアニメ化される、
というちょっと変わった経緯があります。
ガ・キーンは鋼鉄ジーグのヒットを受けて企画された商品的にはマグネモシリーズの後続、
となりますが同時進行でヒットしていたロボットマンの要素も受け継ぐ事になります。
復刻版ロボットマンとの比較。
胴体内に電池とモーターを内蔵するスタイルは引き継いでいますが
クローラーがない為ロボットマンよりスリムな印象。
尚今回入手した個体の太腿部は元のオーナーさんが自作したもの。
入手後傷んでいた黒のシール部のみ簡易修復したものです。
ロボット本体以外の部品の多くが欠品の為今回はロボット本体のみのご紹介。
肩と首にはロボットマンと互換性のあるジョイントが存在しますが
股関節部分はロボットマンとは異なる独自の規格で互換性なし。
組み換えに関しては復刻版ロボットマンでも一応可能ですが
首に関しては若干きつく破損する恐れがある為浅めに取り付けています。
軸部分は5mmジョイント対応なので他のミクロマン製品との連動可能。
ロボットマンガ・キーンは単年売り切り前提だったのか一部腕部の金型が改造された上で
翌1977年発売のロボットマシーンZに流用されたと思しき痕跡があります。
先ず肘部分はパンチ発射用スイッチの穴を塞いだ上でマシーンZの肩に流用されています。
もうひとつ手首は軸部分を変更された上で流用。拳部分の造形は変更なし。
マシーンZのパンチをガ・キーンに装着する事は可能ですかその逆は不可。
翌年のキャラ用に早々に金型を弄っているのはちょっと驚き。
タカラのマグネロボは75年にはコミックロボメカドン(大)、
76年にはこのロボットマンガ・キーンとロボットマン路線の
モータードライブギミック内蔵玩具を展開しますが77年の超人戦隊バラタックでは
パワーチャージロボ・バラタックという商品を発売します(画像は転載)。
こちらはよりマグネモ寄りのギミックを採用した玩具で
ロボットマンの系列とは距離を置いた商品となっています。
我が家のタカラ製ガ・キーン勢揃い。
大きい方からロボットマン、マグネモ11 、同8、ミクロマン(ダッシュウイング版)。
マグネモ8の仕様だけ他と比べて安く上がっているのが見ていて不憫ですねー。
せめて肘だけでも動けば…
一方ポピーはタカラのロボットマン&ミクロロボット1の
モーターライズロボットのヒットに危機感を感じたのか、こんな対抗商品を出しています。
それが76年発売のメカロボシリーズ。今回はガイキングのジャンク品を入手。
両膝のカウンタークロスが欠品している他、外観も少しくたびれています。
当時のポピーの広告から(画像は転載)。シリーズはコン・バトラーVを含む全2点で
アメリカではショーグンウォリアーズのシリーズとして(多分マテルから)発売された他
オリジナルロボとして両者のリデコ商品がバンダイアメリカから出ていたそうです。
復刻版ロボットマンとの比較。頭半分大きいくらいのサイズ感。
この辺あからさまに狙ってる感が強いです。
基本的にはロボットマンのコンセプトをそのままパ、もとい受け継いだ商品で
モーター内蔵のコア(胴体)に外部の部品を組み合わせて遊ぶスタイルはそのまま。
一応クローラーが外付けになっている等の工夫はなされていますが
正直言ってかなりストレートにロボットマンを○クったな、という印象。
メカロボの大きな特徴が脇腹に取り付け可能なホイールのパーツ。実はこれ
ミクロロボット1を意識しているのでは?と思しきパーツ。
わざわざこんなパーツを付けているところを見るに、先行して発売されたとは言え
結果的にロボットマンの廉価版的立ち位置に収まったミクロロボット1も
セールス的には好調でポピー的には脅威だったのでは?と邪推してしまいます。
事実メカロボの翌年77年にはメカロイドVとしてリデコ商品が出ていますし、
更に言うと重点商品扱いだったロボットマシーンZにも
若干アレンジされていますがホイールパーツ(設定名スピンホイール)が付属しています。
この辺りなんとか互いを出し抜こうというタカラとポピーの思惑が透けて見える様で
今見返してみても面白いですね。
改めてガイキングの本体をぐるっと。
本体自体は新造品ですが、大空魔竜ヘッド部分を見るに全体的なイメージとしては
赤い目玉の存在など、ジャンボマシンダーに近づけている様です。
当時ポピーではマジンガーZの関連商品でジャンボマシンダーの縮小版的な
「空飛ぶ王者ジェットスクランダー」という商品を出しており、
メカロボシリーズはこの流れを汲む商品だったのかも、とブログ主は考えています。
ちなみにメカロボという商材的にはガイキングはコン・バトラーに対して
若干不利というイメージで、両者分割式のロボという点では共通ですが
クローラーなどを見るにコン・バトラーVの方が明らかにデザインの親和性が高い。
しかしながらコンVにはもう一方のタカラのヒット商品、マグネモの対抗商品である
ポピニカコンバインボックスという商品(画像は転載)が存在し、この大ヒットが
メカロボの命脈を断ち切ったと断言してしまえるほど大きかった、というのは
色々な意味で皮肉ではないでしょうか…
という訳で75・76年はタカラとポピーの間で丁々発止のやり取りがあり、
その中でのヒット商品の応酬がありました。
このやりとりを俯瞰しながらロボットマンとその対抗商品を見ていくと
当時の業界の流れが垣間見得て面白いのではないでしょうか?
ちなみにポピーは76年のみでメカロボを撤退させていますが、タカラの方はというと
75年…ロボットマン・ミクロロボット1・コミックロボメカドン
76年…ロボットマンガ・キーン(ロボットマン販売継続中)
77年…メカロイドV(色違い二種)・ロボットマシーンZ(ロボットマン販売継続中)
78年…ロボットマン2
79年…新規商品なし(ロボットマン2継続販売中)
80年…ロボットマンゴッドファイター
と、79年こそ新商品は出ませんでしたが足掛け6年
モーターライズのロボット新商品を発売、又は旧商品の販売を継続しています。
ここからはオマケ。
コレクター視点で見ると当時のロボットマン関連商品を手元に揃えられるのは
無常の喜びなのです。例えレストア品であったとしても、です。
モータードライブロボットマン勢揃いの図。
コミックロボメカドンを加えて。ロボットマンとその派生型勢揃いですが
正直ここまで持って来れるとは思ってなかったです。
更にミクロマン系のロボットを加えて。この中で完全無動力なのはパンチロボのみ。
現状未入手なのはメカロイドVの赤青二種。同じフレームに収める事、出来るかな〜?
(全くもって目処がたっておりませんが?)
…などと呑気なこと言っておりますが、開けて2025年、我々(嘘、私)の
想像をはるかに超える事態がロボットマン界隈に怒るのです。
次回、ファン激震の
に続く。