決して諦めない男 ブライアン・ジュベール | WFS JAPAN

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Brian Joubert: A guy who never gives up
By Alexandra Ilina


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彼の最後のシーズン。彼はそのシーズンで遅いスタートを切った---これまでの所、彼には大会の欠場、コーチ変更にプログラムの変更、そして待ちに待ったポワティエのホームリンクの再開があった。

しかし、これら伝えられている情報の向こう側で、そのキャリア最後のシーズンに彼がどれ程のモチベーションやパワーを費やしているかなど、誰も知らずにいるのだ。しかしブライアン・ジュベールは自分が置かれている状況にも、そして全身全霊打ち込むことにも、決して恐れはしなかった。彼は決して諦めない人。彼はその姿で人々に息遣いを忘れさせる人。

今、ドルトムントでのシーズン最初の大会を前に、彼は最後のシーズンへの準備についてやリンク内外でのハードワークについて、そして人生での“最高のプログラム”などについて語ってくれた。

追記:ブライアンとのインタビューは、彼が第2位となったNRW杯が開催されたドルトムントで行われた。



Q: ブライアン、このドルトムントの大会での目的は何だったのでしょうか?

Joubert: 新しいSPとFSをジャッジに披露したかったんだ。そしてスピンのレベルを確認して、高いコンポーネンツももらえたら良いなと思ったんだ。


Q: ロステレコムには多くのあなたのファンがあなたを応援するために来ていましたが・・・
 
Joubert: ごめんね・・・ブタペストのヨーロッパ選手権にも来てくれると良いんだけど・・・でも無理かな・・・本当に本当に申し訳なく思ってるよ。ロシアで、特にロステレコムで滑りたいと本当に思ってたから、自分でもがっかりだったんだ。ロシアには良い思い出があるからね。でも今回は大会に出場するのはちょっと無理だった。背中を痛めてたんだ。ロステレコムに出場するのは無理な状況だったんだよ。スピン無しでプログラムをやることなんてできないし。そんなの不可能だからね。


Q: では話題を変えて新しいプログラムについて話をしましょうか。ブライアン、あなたはあるインタビューの中で、このオリンピックシーズンのSPがキャリアの中でも最高のSPだと言っていますね。それは何故?

Joubert: なぜって、それを滑っている時、僕は本物のスケーターだと感じられるからだよ。


Q: 以前は本物のスケーターではなかったのかしら?

Joubert: (笑)今回のSPではずっと完成された自分を感じることが出来るんだ。より多くのスケーティングスキルやトランジッション、そして感情も感じることが出来ていて、それがプログラムに表現できているんだよね。ただテクニックだけとか、ただパワーだけという話ではないんだよ。それよりももっと大きな違いをSPとFSとで見せることが出来るんだ。タンゴを使ったSPはマキシム・スタヴィスキーが振付をしたんだけど、それはただのダンスというレベルを超えてる。それはラブストーリーとも言えるから、だから僕はプログラムで溢れる情熱や感情を見せることが出来るんだよ。



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Q: 新しいFSについてはどうでしょう?

Joubert: めちゃくちゃ気に入ってる!!!(笑)ローリー・メイが振付てくれたんだよ。彼女はナタリー(ペシャラ)&ファビアン(ブルザ)にも振付してるね。アランフェスを選んだのは僕だよ。この曲はみんな知ってるよね;何人かのスケーターが滑ったことある曲だから。練習で毎日毎日曲を聞いても飽きないんだ。トップレベルに行く為の良いプログラムだと思ってる。

ロステレコムに行くはずだった日の数日前にFSを変更して、数日でそれを仕上げなきゃいけなかったんだ。ローリー・メイと僕は2日間だけ一緒に作業したんだけど、でも沢山の事が出来たよ。1日7~8時間を氷の上での作業に費やした。でも僕にとっては何てことなかったし、とても自然で、曲も感じることが出来たんだ。

ローリーと一緒に、トランジッションを重点的に作業したんだ。振付にそれらを組み込んでね・・・でもこのプログラムで僕が何を一番気に入っているかと言うと、常に動き続けてるってことなんだ。SPでも一旦休憩の間がないけど、FSも同じさ。だからジャンプとジャンプの合間でも何かしら動き回ってるってこと。スピンの前には沢山のステップがあるし、トランジッションも沢山ある。こういうのって以前はやったことがなかったんだよね。


Q: この特別なシーズンに着用するコスチュームはどの様な感じ?

Joubert: FSのコスチュームに関しては最終的な決定はまだしてないんだ。SPのはちょっとモダンな感じにしたよ。前のは好きじゃなかったんだよね。バーテンみたいな感じだったから(笑)だから変更したんだ。新しいコスチュームはタトゥも入っててとてもセクシーになるはず;ビックリすると思うよ。このプログラムにこの衣装、誰も期待してなかったと思うから。


Q: その新しいコスチュームをもうすぐ見られるわね。楽しみだわ。そして新たなブライアン・ジュベールも見ることが出来ると?

Joubert: ああ、前とは違う自分だって自信を持って言えるよ。毎日の練習でもそれを感じているんだ。今シーズンのプログラムはかなり複雑なものだけれど、でもずっとずっと確かなものを感じてる。全てを注ぎ込むよ。沢山努力をして、沢山の変化があった。シーズン冒頭はホームリンクが開いてないこともあって準備するのが難しかった。でも今は全てOKさ。


Q: ホームリンクの問題はあっても、あなたは必死に練習しましたよね。今年の夏はルシンダ・ルーとスピンに取り組みました。彼女からはどの様なことを学びましたか?

Joubert: 彼女とは一緒にスピンに取り組んだんだ。彼女は“ピルエットの女王(スピンの女王)”として有名だからね。連盟がフランスチームの特別講師として彼女を招いたんだ。彼女は僕にどうやったらスピンのスピードを上げることが出来るか、どうやったらスピンに苦労しなくなるかを教えてくれた。彼女とスピンに取り組んだ時はいつも、前は2006年と去年の夏もだったけど、その時には僕のスピンは確かに良いものになってるんだよ。


Q: そしてイタリアでは有名な振付師、ジュゼッペ・アレナとも少し作業しましたね。それについて教えてくれますか?

Joubert: 彼とは2日間一緒にいたんだ。彼はとてもプロフェッショナル。彼は僕に曲の解釈の仕方や自分がやっていることを理解する方法を教えてくれた。彼は振付や曲を全て理解してるんだ。僕のSPや昨シーズンのショーで滑ったプログラムについてもね。リンクに出た時に僕がより自信を感じられるよう、いくつかアドバイスをくれたんだ。そのお陰で僕は新しいムードを得られたし、最後のシーズンに向けての精神も手にすることが出来た。だから今、僕は氷の上に出る時、自分が何をしなければいけないのか、何故それをしなければいけないのか、良く解ってるんだ。



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Q: アーティスティはとても重要ですね。多くのスケーターがそれに取り組んでいます。あなたも?

Joubert: ああ、僕らはその全てに取り組まなければいけないよ。とても重要なことだからね;それには大きなポイントが関わって来るし。コンポーネンツはとても重要だから、今シーズン僕は全てのコンポーネンツを上げる努力をしてるんだ。今まで僕は、良いジャンプを跳べることを示してきた。でもこの最後のシーズンは、それよりももっと多くのものを見せたいと思ってるんだ。コンポーネンツにしっかり取り組んできたから、それで良いスコアを取ることもできるんだってことを見せたいね。


Q: ニコライ・モロゾフと一緒に働くというのは本当なの?

Joubert: 今のところ一緒にトレーニングはしてないよ。1週間前に彼が僕に連絡してきて、僕の手助けをしたいと言ったんだ。多分彼がポワティエに来て2日程一緒に練習するかな。そしてナショナルズが終わったら、彼と少し練習するために多分僕がロシアに行くと思う。


Q: ヴォウジャニではフィジカルコンディションに取り組みました。そこは標高が高いからスケートを滑るのは簡単にはいかないのでは?

Joubert: いいや、ヴォウジャニはそんなに標高は高くないんだよ。例えばクールシュヴェルだとそうなんだけどね。毎日毎日練習するのは大変なんだ。ヴォウジャニのサマーキャンプでは、僕らはリンクで沢山の事に取り組んだよ。


Q: エネルギーやモチベーションはどこから得ているの?

Joubert: 時々はモチベーションを保つのが難しい時もあるんだけど、でも僕はフィギュアを愛しているし、練習が大好きで大会も大好き。そしてまだまだ成長出来るって解ってるからね。絶対出来るんだよ!だからこそ毎日リンクに向かうのが楽しくて仕方ないし、沢山の練習も苦にならないんだよ。自分のレベルをまだまだ高められるって信じてる;確かに良くなれるんだ。


Q: シーズンインが遅れていると思ったら、あなたはポワティエでライオンと一緒に檻にいたとか。ある雑誌で読んだのだけれど、サーカス団の一員として4日過ごしたっていうのは本当なの?怖くなかった?

Joubert: ショーに1つ出演しただけだよ。彼らが僕を招待してくれたんだ。このショーにはライオンも出演していて、彼の名前もブライアン(Brayan)だったんだよ。彼とは一緒に写真を写しただけで、一緒にいたのはほんの10秒程度さ。怖くはなかったけど、でもライオンの隣に立つのは快適とは言えなかったよね。


Photo: Alexandra Ilina