オーストラリア代表に待ったがかかる | WFS JAPAN

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Australia’s Brooklee Han is forced to wait her Olympic spot
By Vladislav Luchianov


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Photo: Australian Olympic Team


先週、オーストラリアではナショナルズが開催された。18歳のブルックリー・ハンはその選手権大会で、トータル161.42ポイントを獲得して初めての全豪女王となり、オーストラリア女子での彼女のトップの立ち位置を確かなものにした。

シーズン初めに行われた2013ネーベルホルン杯でオーストラリアのオリンピック出場枠確保に成功したハンは、今回のナショナルズでも優れたスケーティングを披露し、SP、FSのどちらでも首位を守り優勝を飾った。

『オーストラリア選手権で優勝できるなんて、本当に夢が叶いました。しかもメルボルンのホームリンクのMedibank Icehouseで優勝できるなんて!この素晴らしい大会を主催運営してくれたIce Skating VictoriaとIcehouse Figure Skating Clubに、彼らがくれた全てのサポートに心から感謝しています!』と彼女は自身の公式フェイスブックでコメントしている。

しかしブルックリーにとって残念なことに、彼女がソチオリンピックのオーストラリア代表として認められるのに待ったがかかった。オーストラリアがソチオリンピックフィギュアスケート女子シングルで代表枠を確保出来たのは、ハンのネーベルホルンでの成績があったからこそという事実にも関わらず、彼女は待たなければいけなくなってしまったのだ。

もう一人のオーストラリア人スケーターであるシャンテル・ケリーが、ブルックリー・ハンがオリンピック代表に選考される見通しであることに対しスポーツ仲裁裁判所に異議を唱えたことで、オーストラリア代表の決定は遅れることになった。審理は来週以降に行われる予定。

シャンテル・ケリーの申し立てによると、ブルックリー・ハンはオーストラリア連盟の承認を得ずにネーベルホルン杯に出場をした。よって彼女がオーストラリアのオリンピック代表となるのは不適切である、ということだ。

読者の皆さまは恐らくシャンテル・ケリーの名前をあまり聞いたことが無いかと思う。彼女は昨シーズンのオーストラリアチャンピオンであるのだが、今シーズン彼女はポーランドとエストニアで行われたJGP2大会に出場し、それぞれ第8位と第17位となっている。ISUパーソナルベストスコアはトータル123.94ポイント(2013年JGPラトビア大会でのもの)。

一方のブルックリー・ハン。彼女の今シーズンこれまでの主な成功は、2013ネーベルホルン杯で第5位の成績を納めたことだろう。そこで彼女はパーソナルベストを147.16ポイントに更新した。続いてラトビアで行われた2013ボルボ杯では優勝をし、再びパーソナルベスト更新となるトータル151.76ポイントを得た。

加え、ネーベルホルンでハンは女子FSで3番目に高いテクニカルエレメントスコア(51.62ポイント)を得ている。これは彼女よりも順位の高かった日本の安藤美姫(48.07ポイント)やアメリカのアシュリー・ケイン(51.51ポイント)をも上回るスコアだ。

興味深い事実として、ケリーの訴えが先週の初めにメディアに取り上げられるようになり、その最中、彼女は病気を理由にオーストラリア選手権大会の欠場を決めていることがある。

Icenetworkでの私とブルックリー・ハンとのインタビューで、彼女はオーストラリアのオリンピック代表選考のルールに対する質問の答えとして“オーストラリアオリンピック委員会とオーストラリアスケート連盟の方針として、ネーベルホルンで出場枠を確保したスケーターが誰であっても、そのスケーターがオリンピック代表となる”と答えているのだ。

『理論的には、これは誰でもオリンピック出場枠確保の為にネーベルホルンに出場出来たことを意味します。しかしもう一つの方針は、様々な国際大会で最も高いトータルスコアを納めたスケーターもまた出場に値するとしています。私は最も高いスコアも獲りました。だから私が選ばれるべきスケーターなのです。』そう彼女は言った。

スポーツ主義に傾倒している私としては、個人の成績(大会結果;今回の場合はネーベルホルン杯)とその他の基準(ISUパーソナルベスト)の両方を考慮した場合、ブルックリー・ハンは確かにソチオリンピックでオーストラリアを代表する権利を有していると結論づけることが出来る。

私の考えでは、もし自分が他の誰かよりも優れていると考えているならば、戦ってそれを証明する必要があるのだ。残念ながら、今回のケースは奇妙なバックステージゲームと言えるだろう。私はオーストラリアの複雑なスポーツシステムを良く知っているとは言えない。だが、今回の問題に関する決定が、スポーツ仲裁裁判所によって明らかにされることを望んでいる。

この様な悪計がスケーターのメンタルに悪い影響を与えることは明らかであり、アスリートが“リング外のテリトリー”で何かを決定しなければならないということが、残念でならない。