札幌駅、地下道

 

まっすぐ前を向いて歩くすばる。

 

周りを見回しながら歩くニーナ。

 

「そんなんしてたら、転ぶかぶつかるよ」

 

「ちゃんと前向いて歩かないと」

 

ニーナの腕をつかんで、自部のほうに引き寄せるすばる。

 

それでも人とぶつかりそうになるニーナ。

 

「でも、バターサンド買わんと」

 

「それは帰りでいいの。日持ちしないんだから。

 

それよりも私たちには大事なミッションがあるでしょう」

 

「インポッシブル」

 

「インポッシブルじゃないから」

 

「ニーナ、上に出るよ」

 

階段を上がる、すばるとニーナ。

 

二人、出口から外に出る。

 

「やっぱ寒いね、北海道は。名古屋で羽織るもの買ってきて良かったでしょう」

 

「最初からわかってれば、買わずに済んだのに」

 

「貧乏くせえなあ」

 

すぼる、ニーナを見て笑う、

 

すばるを睨むニーナ。

 

 

静岡市、避難所

 

避難所でスタッフの手伝いをしている、三浦とアイドルたち。

 

ルパと智が彼女たちに近づいてくる。

 

ルパ智に気づく三浦。

 

「ルパさん、智ちゃん」

 

「お久しぶりです」

 

「ちゃんと来たでしょう」

 

「自分で呼んでおいてですが、本当に来れたんですね」

 

「感謝しなさい」

 

「車で来たんですか」

 

「だいぶ遠回りでしたが、どうにかたどり着きました」

 

「それで桃香さんは」

 

「すばるちゃんと、仁菜ちゃんに名古屋から飛んでもらったの」

 

「ただ、どこにいるかははっきりわからなくて」

 

「大丈夫なの、あの二人で」

 

 

札幌、吉野家

 

店員が牛丼を」運んでくる。

 

「並盛と並盛ネギ抜きです」

 

牛丼が仁菜とすばるの前に置かれる。

 

「札幌でも、牛丼?札幌ならラーメンじゃない」

 

「いいの。安くて早いが一番」

 

「さっき、私に貧乏くさいって言わなかった」

 

「これからホテルにチェックインして。それから目撃情報の確認に行くの。

 

忙しいんだから。それに、偶然会える可能性もあるし」

 

仁菜牛丼を食べている。

 

「聞いてる」

 

「聞いてる」

 

「早く食べるんでしょう」

 

すばる仁菜を見てニヤリと笑い、牛丼を食べ始める。

 

 

札幌、FM局ロビー

 

ソファーに座っている、すばると仁菜。

 

二人のすわっているソファーに近づく馬場瑞希。

 

「こんにちは。安和さんと井芹さんですね」

 

立ち上がる、すばると仁菜。

 

「はい、そうです」

 

「ADの馬場と申します。お掛けください」

 

腰を下ろす、すばると仁菜。

 

二人の向かいに座る、馬場。

 

「ディレクターの阿藤は手が離せなくて、私が対応させていただきます」

 

「聞きたいことは、旭川出身、ダイヤモンドダストの

 

河原木桃香さんのことでよろしかったでしょうか」

 

「はい、私たち桃香さんと一緒にバンドやっていたんですが連絡が取れなくて」

 

「札幌にいるらしいことはわかっているんです」

 

「トゲナシトゲアリですよね」

 

「はい」

 

「ディレクターの阿藤は北海道出身の芸能人には詳しくて、

 

最近札幌のスープカレー屋で見かけたらしいんです」

 

「客としてですか」

 

「店員です」

 

「そのカレー屋の場所は」

 

「これから教えます」

 

そう言って、馬場は二人の前にタブレットを置いた。