僕は僕たちの住居区域のあるブロックと

 

隣のブロックを結ぶ通路で

 

ある、集団に遭遇した。

 

通路といっても大きな空洞のようなもので、

 

その通路は複雑に絡まり合って迷路のようになっている。

 

通常僕たちは船内着といわれるものを

 

着用しているのだけれど

 

彼らは、みんな揃いの布を体に巻き付けていた。

 

巻きつけたというのは正確ではなく

 

実際には布を頭から被っている。

 

それがうまい具合に体に巻き付いているように見えるのだ。

 

「その人たちは多分《凍てついた雲》と呼ばれてる人たちだよ」

 

ライジンが僕に言った。

 

「私も、噂話で聴いただけで、詳しくはわからないんだ」

 

「どうも宗教集団みたいなもので、船内を漂流しているらしい」

 

「宗教って、何百年も前に消滅したんじゃなかった」

 

「地球の一部の地域にはまだ残っている」

 

「地下に潜っているのでしょう」

 

ハビは興味深げにライジンにきいた。

 

「そうだね、もう表には出てこれないから」

 

「昔の本で読んだことがあるわ」

 

「命を粗末にするのよね」

 

「結果的にね。でも、宗教そのものは決してそんなものではない」

 

「過激だとも、書いてありました」

 

「それは、ほんの一部だよ。ただし、それを防ぐ手立てがない」

 

「構造的にその危険をはらんでいるの」

 

「だから、消滅したんだ」

 

「消滅させられたという方が正確だね」

 

「ねえ、サク。その人たちはどこに行ったの」

 

「僕の前を通り過ぎて、通路を進んでいったよ」

 

「暗闇に紛れちゃったけれど」

 

「危険はないのね」

 

「多分ね」

 

ライジンがハビを見つめている。

 

「知識とは一方通行ではダメなのですよ、ハビさん」

 

「偏った知識しか得られません」

 

「でも、宗教とはそのようなものなのでしょう」

 

ハビが微笑みながらライジンに言う。

 

「安心しました」

 

ライジンはハビに微笑みを返した。

 

「ライジンさん、私たちと一緒にエターナルランドへ行きませんか」

 

「今日は遠慮しておきます。楽しんできてください」

 

ライジンはそう言って通路のほうに歩いて行った。