「どう思う、サク君」
ライジンはいつも冷静な表情で僕に話しかけてくる。
「さあ、僕にはちっとも」
「そもそも、この船が動いているのか、止まっているのかさえ分かりません」
「止まってはいないはずだ」
「惑星を探査するときでも、軌道上を動いているはずだから」
「この船は惑星には降りないのですか」
ハビが僕の隣で、ライジンに質問する。
「惑星には探査船を降ろすのさ」
「探査船は、有人と無人がある」
「その情報は僕たちには伝わってこないのですね」
僕たち、一般の乗務員は
名前こそ乗務員になっているが
実際は何もせずに日々を過ごしている。
「囚われの身なんだよ、私たちは」
「囚人にしては極上の扱いを受けているが」
実際に僕たちは、巨大な宇宙船のごく一部しか知らない。
船内の行き来は自由ではあるけれど
船内を探索する気力はすでに失せてしまっていた。
「船内の探索に出て戻ってきたものはごく少数だ」
「そのほとんどは、途中で引き返してきている」
元々が定員の半分も載っていないはずの船だった。
僕たちは住居区画を指定されて
そこにごく小さなコミュニティが形成された。
コミュニティといってもかなり自由なもので
僕たちを束縛するものは何もなかった。
ハビはずっと本を読んでいた。
画面の操作だけで読める
電子書籍だけでなく
紙の本も読んでいた。
「倉庫のような場所を見つけたの」
「そこにはたくさんの本が保管されていたの」
ハビは嬉しそうに僕に言った。
「ねえ、エターナルランドに行ってみない」
「あそこは少し暑いから」
「着替えを持っていけばいいのよ」
「それにお弁当と飲み物を」
「向こうにも、ディスペンサーはあるじゃないか」
「それじゃつまらない」
エターナルランドは
事務的ではあるけれど
快適にレイアウトされた共有スペースの
向こう側にあった。
細い管のような通路の先に階段があり
そこを登るとエターナルランドだ。
