「何で認めちゃったの」

 
「認めてないですよ。殺人なんか」
 
夢見さんが僕を見てニヤリと笑う。
 
「下着ドロのことですか」
 
「あれだって僕ははめられたわけで」
 
夢見さんはそんなことわかってるとでも言いたげに微笑む。
 
「まあ、それがあなたいいところだけど」
 
「ねえ、食べないの。気合を入れて作ったのに」
 
僕と夢見さんの前にはスパゲッティ・カルボナーラの皿が置かれている。
 
「もっとチーズいる」
 
そして粉チーズが僕の皿のとなりに。
 
もう十分のような気がしたけれど、僕はふたを開けてパスタの上に振りかけた。
 
夢見さんは僕が一口食べるのをずっと待っている。
 
その後の会話はすでに決まっている。
 
「どう」
 
「美味しいです」
 
実際美味しかった。手料理なんて久しぶりだし。
 
「ワインもどうぞ」
 
そう言って夢見さんはワインをグラスの中に。
 
「赤がいいっていう人もいるんだけど」
 
「あたしは白が好きだから」
 
僕はワインのことなんてよくわからない。
 
「甘くないんですね」
 
「そうね」
 
「子どもの頃、おばあさんがワインを飲んでいて、こっそり飲んだことがあるんです」
 
「それが甘かったんだ」
 
夢見さんがうれしそうに笑う。