愛護センターの獣医師の苦悩
老犬たちはすぐに戻りたがって、いつもの日向ぼっこに落ち着きます。
それもHUGの活動の一つです。
ある愛護センターを視察し、ペット防災の講演をした日の夜にセンターの職員さん、
ボランティアの皆さんとの懇親会に参加しました。
殺処分ゼロに対する考え方や、全国の様々な取り組みについて意見交換をしていた時に
センターで働いている獣医師の方がこう言いました。
「人間の医者と獣医師の大きな違いがわかりますか?」
「人間の医者には許されていない事ですが、獣医師は命を奪う事が許されているんです。」
彼は悲しそうな表情でそう言いました。
怪我をしてセンターに収容された犬を治療した何日か後に同じ犬を自らの手で安楽死させた獣医師。
手術の為にかけた麻酔から意識を取り戻せるのか心配になって夜中に何度も様子を見に行った獣医師。
ガス処分が辛くて、規則違反とは知りつつ隠れて注射で安楽死させた獣医師。
ある獣医師の方はこう仰いました。
「私は獣医師だから亡骸の解剖には抵抗はありません。
でも身体がまだ温かい状態で注射をして命を絶つのは辛いですよ」
精神的に追い込まれて休職した獣医師さんや退職した獣医師さんは数えきれません。
SNSでは行政、愛護センターを「悪者」にして職員の方や獣医師の方を叩く人たちが存在します。
職員の方のプロフィールをSNSに晒したり、抗議の電話をセンターにする様に煽る
「自称」動物愛護の人たちもいます。
「そんなに嫌なら辞めればいいんだ❗」
そうSNSに書く人たちもいますが、「仕事が嫌だからとあなたは簡単に仕事を辞められますか?」そう問いたい。
そして誰かが辞めても、誰かがその役割を果たさなければならないのが現実なんです。
殺処分も、動物愛護も「命」の問題です。
「命」の問題だからこそ冷静に考えて欲しいと思います。
獣医師の皆さんとお会いした時に皆さんに 「どうして獣医師になったんですか?」 そう質問します。
ほとんどの方は「子どもの頃から動物が好きだったから獣医師を目指しました」そう仰います。
今日もお出で下さいまして、ありがとうございました。