捨てられた犬猫の獣医師になろうと決心した、そのわけ。
2月になりました。
昨日まで小雪が舞い散る寒い日が続いていましたが、
今朝はちょっと寒さも緩み、明るい陽差しがこぼれています。
インフルエンザが猛威を振るっていますが、お健やかでいらしゃいますか?
やっと、トリミングに行ってきました。
伸び放題でしたから、まるで別人(別犬)のようですが、間違えてよその子を連れ帰ったわけではありません。
では恒例によりまして、Before and After をご覧ください。
Before
After
Before
After
あんたたち、なんて可愛いの!(親ばか)
FBより、西山 ゆう子 さんの投稿をシェアします。
美しい、胸打たれる物語のような、でも強い決意を感じるエッセイです。
転載させて頂きありがとうございます。青字は転載です。
![](https://scontent-nrt1-1.xx.fbcdn.net/v/t1.0-1/c0.0.32.32a/p32x32/10374008_253295068209333_2578446249466425811_n.jpg?_nc_cat=101&_nc_ht=scontent-nrt1-1.xx&oh=6862289bc32d11e5957572d686b88ffe&oe=5CF9F45C)
アメリカの中西部の寒波。
気温マイナス28度、体感温度マイナス50度とか、信じられない寒さのニュースが耳に入る。
野生動物も、野良猫も、こういう時はたくさん命を落とす。
想像するだけで、本当に胸が痛む。
今から22年前。私はアイオワ獣医大学のインターンとして、アメリカ中西部に、
自分の猫2匹と一緒に一軒家に住んでいた。
あれからずいぶん経つのに、ライリーという一人の青年―電気技師とのことを、今でも鮮明に覚えている。
そして、忘れることができない。
やはり、とても寒い冬の日だった。
私はアイオワ州に住んでいた。レンタルの一軒屋に住んでいた私は、獣医大学のインターン生。
毎日、診察、入院、講義、さらに学生の授業にレポートに論文に、とても忙しい時を過ごしていた。
寒波が訪れたその日、なぜか家のヒーターが壊れて、全く暖房が効かなくなった。
震えながら、冷たい手足をこすりながら勉強し、あまりの寒さに、猫と一緒に、布団に入って本を読んでいた。
大家に連絡を入れ、すぐに電気屋(アメリカの暖房は、多くは電気)に連絡を入れて、
すぐに来てくれるように頼んでいたが、ここはアメリカ。あまり期待はしていなかった。
夕方には誰かが来てくれるはずだったが、夜になっても誰も来なく、
「ああ、アメリカだなあ。今日はもう、誰も来ないな」などと思った。
2匹の猫を抱えて、布団の中で丸くなり、それでも、私の手や足は冷たく、
ヒーターがないアイオワの気温マイナス20度は、さすがに身に染みる寒さだった。
寒くて眠れないで、本を読んでいると、夜11時半、ドアベルがなった。
びっくりして出ていくと、ヒーターの故障を直しに来ました、という青年は、私より若き、若干30歳くらいの青年。遅くなったことを恐縮しながら、家に入ってきた。
彼の大きなブーツは、雪で真っ白だった。彼の鼻も、寒さで真っ赤だった。
「こんな遅い時間なのに、もう来ないとおもっていたワ」という私に、
ライリーというヘーゼル色の目をした金髪の彼は、答えた。
「本当にすみません。今日は寒波で、多くの家から要請があって。
遅いから、もうダメかと思ったけど、まだ電気がついていたから、来ました」。
「ボク、最愛の自分のおばあちゃんが、Des Moines に、猫2匹と住んでいたんだけど、
ある日、ヒーターが壊れていて、寒くて死んでしまったんです」
「だから僕、電気技師になろうと思ったんです」と、作業しながら、淡々と語ってくれた。
「あ、これですね。この部分が壊れてます。新しい部品に交換します。
ほら、また暖房がつきました」といって、彼はヘーゼル色の目で、うれしそうに笑った。
まだ、あと1-2件は行ってみると言って去っていたライリー。
その後、家の暖房が再開されて、ぶおーんと暖かくなった部屋。
猫を抱きしめながら、彼に心から感謝して、時計を見ると、優に1時を回っていた。
まだ若い、電気技師の彼を、私は、「プロとはこういう人たちなんだ」と、心から思ったのを覚えている。
「もし私が、獣医師としてのプロに、ある日、なれるのならば、
本当に困っている人に、力になってあげるプロになりたい」。
その時、ライリーを見て思ったのを、今でも忘れない。
私が、数年前に、大切に飼われている飼い犬、飼い猫のための獣医師をやめて、
捨てられた犬猫の獣医師になろうと決心したのは、
おそらくライリーのヘーゼル色の目を、時々、思い出していたからだと思う。
自分の仕事はこれで十分、私はそんな給料をもらっていない、それは私の仕事ではない。。。
少なくとも私は、長い獣医人生の中で、そんな言い訳をすることは、一度もなかった。
それは、やはり、厳寒の寒さの中、鼻を真っ赤にして仕事をしていたライリーから、
何かを学んだからだと思っている。
早く、氷が解けて、暖かくなりますように。
今日もお出で下さいまして、ありがとうございました。