やれるだけ最後まで | フィリオとショコラのちいさなおうち

やれるだけ最後まで

フィリオは血液検査のたびにALPの値が正常値より高いのですが、

もう10年以上、仔犬の頃からの傾向ですから、健康状態に問題はないとされてきました。

でも加齢と共にじりじりと上がり、今年はかなり高くなりましたので、再検査となっていました。

再検査より彼ももう老犬ですし、この機会にと「シルバードッグドック」を受けることにしました。

エコーやCT、血液検査などです。

今、動物病院に預けて帰ってきたところですが、ただの検査ですのに、かあさんは後ろ髪が引かれます。

どうぞ、困ったものが見つかりませんように。

 

もうずーっと以前に頂いた花かごから、土に戻してやったカーネーションが、今年も次々と咲いています。

 

 

    

 

 

 

 

 

「弥生、スコットランドはエジンバラ発!」さんのブログよりご紹介します。

カテゴリ:「動物病院レポート ケースより」

クリスマスを待たずに、逝った犬

https://scotyakko.exblog.jp/10444537/

 

ビーニー に、大きな腫瘍があることがわかったのは1年近く前のこと。
食欲が落ちて体重が減り、だけど、とても元気なコリー雑種犬の男の子。
血液検査の結果、肝機能が通常の数十倍も高いことがわかり、
超音波の検査では、肝臓内の大きな腫瘍が確認された。
手術もできないほどに大きな腫瘍は、消化不良や食欲不振を招いていた。

 

 

飼い主の Miss.R は ビーニーとやれるだけ最期まで頑張りたい と言っていた。
とても大きな腫瘍だから、肝機能が悪化し、食べれなくなり、憔悴するのは時間の問題だと、

私達は誰もがそう、思っていた。
肝臓の機能を助ける為の薬が処方され、月に一度の診察が行なわれ ・・・

病院にやってくる ビーニー は、日に日に痩せていった。

 

 


だけど、Miss.R も ビーニー も笑顔で幸せそうだった。
    ビーニー の調子はどう? 
尋ねると、彼女は明るく うん、とっても元気が良いの、ありがとう と応える。
ある時は 虐待と間違われるから  ビーニー にトレーナーを着せ、

その痩せた身体を人目から隠したりしていた。

 

 

次の月も、またその次の月も ・・・。
ビーニー は、月単位というよりは、季節ごとを生きていた。

病院で出会う ビーニー は、痩せて角ばった顔に大きな人懐っこい目で、
尻尾を振って、誰にでも愛想を振りまいていた。


3つ目の季節が巡る頃には 奇跡の犬 とも呼ばれ始めていたのだった。
4つ目の季節は、激しい風と、冷たい空気を運んできた。
それでも、街中がクリスマスの暖色に変わり、人の心が賑わい、歌う頃 ・・・。

 

Miss.R からの電話があった。
    もう何も食べなくなって、殆ど動けなくなってるんです ・・・。
    安楽死の為には、前もって予約しなければなりませんか?

あぁ ・・・ とうとう、この時が来てしまったのだ ・・・
正直、そう思い、落胆してしまった。

 

Miss.R の言葉を思い出す。
     ビーニーとやれるだけ最期まで頑張りたい
その 最期 が、今なのである。
まさか ・・・ と思われながら、奇跡と言われながら生きてきた 
ビーニー
彼の、生の道程の最終が、すぐそこに近付いているのである。

 

 


1年近く前に、予後不良で診断された肝臓腫瘍 ・・・。
未来の動物の苦しみを恐れ、また高額の薬剤費を払えないなどの理由からも、
診断された時点で、安楽死を申し出る人もいる。


Miss.R は、最期まで出来る限りのことをしたい  ビーニー と生きると誓った。
その時間が、やって来た ・・・ 全う(まっとう)する ・・・ その時。

 

 

曇り空が泣き出した午後の待合室 ・・・。
誰もいない時間を、彼女に授けた私たちは Miss.R を招き入れた。

ビーニー は暖かな毛布に包まれ、大好きな人の両手に抱かれていた。
やはり、まるで何事もないかのように、人懐っこい大きな目を見開いて。 

閉ざされた診察室から、彼女の泣き声が響いてくる。

ビーニー は彼女に抱かれたまま、その太い尻尾を振って ・・・
そうして ・・・ 眠る。
眠る。

 

 

 ビーニーとやれるだけ最期まで頑張りたい
今、その約束が果たされた。
ビーニー と Miss.R だけが交わす、秘密の糸が結ばれた。
細い小さな肩を震わせ、もう2度と私達は Miss.R の笑顔には出会えなかった

 

 

12ヶ月も前に、彼女が受けたメッセージがあったのに違いない。
ビーニー からのメッセージ。
ビーニー は、きっと Miss.R に伝えていたのだろう。
今しばし、一緒にいさせて欲しいのだ と ・・・ 共に生きたいのだ と。


人と共に暮す動物は、生の終わりを、愛する人に何らかの形で伝えるのかも知れない。  
それは、他の誰でもない、ご主人と動物の間だけの無言のメッセージ。
人は、それを受け取ったという意識はない。
ただ、ある日、ある時に、何かの理由で決心をしたり ・・・
もうちょっと、もうちょっと、と自然と息を引き取るまで待ってみたり ・・・
10人と10動物の関係であれば、10通りの選択 があるのに違いない。

 

 

ビーニーとやれるだけ最期まで頑張りたい
Miss.R は数日後 ビーニー の遺灰を受け取った後、街に消えていった。

クリスマスカロルが響き、観覧車が周り、子供たちが走り、恋人が手を繫ぐ ・・・

 


ビーニー の願いを果たした彼女は、クリスマスを目の前に、独りぼっちになった。    

 

 

 

 

 

今日もお出で下さいまして、ありがとうございました。


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