愛された動物は、ちゃんと伝えている | フィリオとショコラのちいさなおうち

愛された動物は、ちゃんと伝えている

おもちゃというものを全く知らなかったショコラには、ただ怖いだけのモノだったろうと思うのです。

彼女は初めての経験はなんでも怖いし、お兄ちゃんがピーッと鳴らして遊んだりすると、

その音がますます怖いのでした。

昨日初めて、彼女は自分の意志でおもちゃ箱に行き、パンダくんを咥えてそっと引っ張ってみました。

かあさんはこの記念的大事業の証拠写真を撮ろうとカメラを構えましたが、

彼女はやはり、少し耳を引っ張っただけであきらめ、後ずさってしましました。

いいんだよ、我が愛しのショコラ嬢。

ほんの一歩づつですけれど、彼女は確実に前に進んでいますから。

 

 

 

 

なに?取ってあげようか?

 

 

(後ろに見えるのはフィリオ用の特大トイレですが、彼は外派なので別荘化しています。)

 

 

おまけ:  昨日とうさんが出掛けて行ったあと、帰ってくるまでずーっと、

       玄関ドアを見つめて座り続け、待ち続けたフィリオです。

       忠犬「フィリ公」とお呼びください。

 

 

 

 

 

「弥生、スコットランドはエジンバラ発!」さんのブログよりご紹介します。

カテゴリ:「動物病院レポート ケースから」

眼鏡の下を流れるもの

https://scotyakko.exblog.jp/11109674/

 

猫の名前は サリー
サリー は推定12歳くらいで。
推定というのは、サリー が飼い主さんの家にやってきた時、もう大きかったから。
サリー は、年老いた飼い主さん Mr.D と暮していた。

 

 

サリー が嘔吐を繰り返すようになったのが2週間前。
彼女を、重たそうに、でも大切に抱えて Mr.D は病院に現れた先週。
血液検査や超音波の結果、サリー は複雑な状態の糖尿病とわかった。
インスリンの注射で、コントロールができるのか ・・・ わからなかった
それに、毎日の注射を、Mr.D が打てるのかも ・・・ わからなかった


だけど、チャンスを与えようと、金曜日に サリー は病院にやって来た。
サリー はもう、ご飯を食べない。
声もあげない。
ただ、重たげに首を垂らして、鼻が地面にくっつくまま座っていた。


サリー はもう、自分の中で、決めているように思えた。 諦めているように、見えた。


 

再度の検査の後、獣医師が出した答え ・・・
インスリン治療をしても、今の状態は改善されないだろう
サリー は、顔を上げることなく、目は開いていても何も見つめていなかった。

 

 

午後に、その小さな老人が、1人で病院にやって来た。
サリー を迎えに ・・・。

しばらくの間サリー と静かな時間を過ごした後 ・・・。
くしゃくしゃのハンカチで顔を覆って、横たわっている サリー の体にキスをした。

  サリーは、11年前のある日、わしの家に来たんだよ
  それからずっと、妻とサリーと、一緒に暮してきたんだ
  2年前に妻が死んで、それからは、わしとサリーの2人だけの生活だった
  昔は犬を飼っててね ・・・ 
  犬がいなくなり、サリーが来て、妻がいなくなり ・・・
  とうとう、今日、1人っきりになったよ


眼鏡の下で、幾つもの大きな涙が零れるのを、見た。
勝手口から、Mr.D を送り出す時に、そっと背中を撫でたんだ。
言葉なんてないから。
この孤独な老人に、私なんかが掛けられる、言葉なんてなかったから。
枯れた声で、ありがとう と言ったのが聞こえると ・・・春の強い風の中、その小さな老人は、姿を消した。

 

 

サリー は、息をしてた数時間前と、まったく同じ目をして横たわっていた。
サリー が伝えたかったことはきっと、彼に伝わっている。
そんな、気がした。
愛された動物は、ちゃんと伝えている。
一番、愛する人にちゃんと、伝えている。

春はもう、この空気の中にある。    

 

 

 

 

今日もお出で下さいまして、ありがとうございました。


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