FIGLIO -フィリオのいる風景ー
コンロの上では、ビーフシチューがクツクツ音を立てています。
家中にお肉を煮込む良い香りが満ちているのに、フィリオはキッチンに近寄らずに、歯磨きガムを一心不乱にかじっています。
さっきさんざんおねだりしたあげく、駄目よと断られてガムを渡されたので、かなりすねているのです。
フィリオ、これは玉ねぎがたくさん入っているんだから、ワンコの毒でしょう?
だから、あげられないんだよ。
親ばかとお思いでしょうが、この子は聞き分けが良くて、ただ駄目の言葉だけではなく、何故駄目なのかをゆっくり説明すると、たいがいは解って納得する様な気がします。
息子達が小さかった頃、子供だからと誤魔化さずに、なんでも何度でもゆっくり説明して育ててきました。
たとえ言葉や内容が難しくてわからなかったとしても、その姿勢や雰囲気から、子供って案外正確に理解したり把握したり出来るものです。
小さくとも子供も一人前の人格ですから。
フィリオもパピーの頃から、人の子と同じ様にたくさんたくさん話しかけ、いっぱいいっぱいほめてきました。
親ばかとお思いでしょうが、フィリオはとても良い子です。
秋も深まり、煮込み料理が似合う季節になりました。
いつもよりゆっくり時間が過ぎるような、雨上がりの午後を二人でいます。
今日もお読み下さって、ありがとうございました。
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