FIGLIO -揺りかごの歌ー
昔むかーしのお話です。
そのゆりかごは私の三男が産まれた時次姉から届いたもので、ルーツをたどれば次姉は長姉から受け継いだので、彼はそのゆりかごに眠る6人目の赤ちゃんでした。
小さな籐のゆりかごは軽くてゆるやかに揺れて、彼は私が移動するどの部屋にも連れられて、バブバブの声やもみじの手で私を幸せにしてくれました。
赤ん坊はすぐに大きくなり、ゆりかごは夫の職場の若いご夫婦のところに、望まれて引き取られました。
それから25年!
ゆりかごは次々と引き継がれた後、すっかりあめ色になり新しい寝具が増えて、私の元に帰ってきました。いったい何人の赤ちゃんが、このゆりかごで楽しい夢を見たことでしょう。
この秋、長姉の娘に赤ちゃんが産まれます。
彼女はこのゆりかごで眠った3人目の赤ちゃんでした。
姉は、ゆりかごを揺らしながらわが子に歌った子守唄を、孫にも歌って聞かせることでしょう。
フィリオ、幸せはその時々でいろいろな形をしています。
ゆりかごの形の時もランドセルの形の時も過ぎて、今はどうやら、黒い瞳の白いワンコの形をしているようです。
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