FIGLIO -おばあちゃんの部屋ー
98歳の母はこの三人の姉達も、長年連れ添った亡夫の存在も、嫁の私の名も忘れてしまいますが、末っ子で一人息子の夫のことだけはしっかり覚えていて、しばしば嬉しげに話題に致します。63歳の爺も母からみれば若々しい青年で、頼りにするよすがのようです。
彼は訪問のたびにいくつかの鶴を折り、母の見えるところにぶらさげて帰ります。
段々増えてゆく折鶴にそれぞれの祈りが見えて、私もまた、そっと祈って戻ります。
フィリオ、もし母さんがおばあちゃんと同じ歳まで生きたら、父さんのことも三人の兄ちゃん達とお姉ちゃんの名も忘れて、君の名前だけを覚えているかもしれないね。
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