FIGLIO -動物病院「さくら」
( 1歳のころ )
フィリオのかかりつけ病院「さくら」は徒歩5分のご近所の上、365日無休で安心、スタッフは皆親切、と言う事なし。夜間緊急病院も車で15分の近さにあって、病院事情は本当に恵まれています。
彼がまだパピーのいたずら盛りで、何でもかじって対策に大わらわだった頃・・・
その日彼は朝から何度も戻して、もう出るものがなくなっても吐き気は収まらず、くったりしていました。
ふと見ると、かじりかけの電気コードが、中の金属線を露出させたまま放り出してあります。
おぬし、た・べ・た・なーー!
フィリオを抱き上げコードを握って病院に駆けつけるまで、3分はかからなかったと思います。その時、私には翼がはえていたに違いありません。
くっきりと金属線が写ったレントゲン写真を見ながら、「まず吐かせてみましょう。出なければ開腹手術です」と、先生はさわやかに仰いました。
そ、そ、そんなー。え?えぇー?。
それからフィーは美味しそうなお肉缶詰を山盛り貰い、食い意地が張っているものですから、ペロリと全部たいらげました。これから自分にどんな運命が待っているかも知らずに・・・
診察室のドアの向こうから、グェーとかオェオェとか悲惨な声が聞こえます。
ごめんね、フィリオ。母さんが不注意だったね。
やっと処置が終わり、しがみついて離れないフィリオを抱いて見た2枚目のレントゲンは、きれいにからっぽになった胃が写っていました。
この日からさくら不信になったフィリオは、先生が苦手です。
ビスケットを下さっても、横を向いて決して食べません。騙されるものか、と思っているのでしょうね。
違うよフィリオ、先生に助けてもらったんだよ。
先生、ごめんなさい。そして、ありがとうございます。
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