FIGLIO -雷ー
彼を残した外出先で遠雷を聞くと、さぁこれは困った・・・、段々近づいて来ようものなら予定は全てキャンセルしタクシーに飛び乗って、とどろき出す前に帰り着かねばなりません。
息せき切って家に入ると、彼は浴室の壁に張り付いて背中を丸めてうずくまり、目に見える位ふるえています。
少しでも安全な場所を求めて、窓がなくコンクリートに囲まれた浴室に逃げ込んだのでしょう。
「ただいま、フィリオ。一人で怖かったね。」
人間の何倍もの聴力を持つ彼には、雷鳴は天を引き裂く恐ろしい轟音に聞こえるのかもしれず、恐竜も滅びた太古の記憶が呼び覚まされるのかも知れません。
私もペタンとタイルの床に座り、10キログラムを抱き上げて、静かに話し続けます。
「今日はこんな事があったよ、そうそうあんな事もあったよ。母さんはこう思うけどフィーはどう思う?・・・・」
大丈夫だよフィリオ、母さんがいる。母さんとゆっくりおしゃべりをしよう、雷雲が通り過ぎるまで。
君のふるえが止まるまで。
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