明けましておめでとうございます。今年が皆さまにとって平和な1年となることを心より祈念いたします。

 

 中尊寺では正月元日より8日まで一山僧侶によって「(しゅ)(しょう)()」という法要が営まれます。中尊寺の「修正会」は『(こん)(こう)(みょう)(さい)(しょう)(おう)(きょう)』というお経にもとづく「(きち)(じょう)()()」とよばれる法要です。また中尊寺の国宝の中には「(こん)()(ちゃく)(しょく)金光明最勝王経(きん)()(ほう)(とう)(まん)()()」が伝えられています。

 

 今年初めての記事更新として『金光明最勝王経』と『宝塔曼荼羅』について数回に分けて述べさせていただきたいと思います。

 

紺紙著色金光明最勝王経金字宝塔曼荼羅(中尊寺大長寿院蔵)

 

 『金光明最勝王経金字宝塔曼荼羅』とは『金光明最勝王経』(以下、『金光明経』と記す)十巻を一巻一(とう)として塔の形に書写し、塔の周囲に色彩豊かに(きょう)()()(お経の絵解き)を描いたものです。宝塔曼荼羅の作例としては京都(りゅう)(ほん)()や奈良談山(たんざん)神社(じんじゃ)()()(きょう)宝塔曼荼羅もよく知られています。これら宝塔曼荼羅は(ぞう)(とう)(ぞう)(ぶつ)(しゃ)(きょう)(きょう)(てん)()(せつ)の三つの()(どく)を兼ねる()(ぜん)(ぎょう)として平安時代に盛んに作られたものです。

 『金光明経』には、この経を護持し「(さん)()」(あらゆる罪を悔い改めること)の修行を行うことによって「()(こく)」(国や国王が神仏の加護を受けること)がもたらされると説かれています。つまり「懺悔」と「護国」がこの経のテーマともいえます。

 (次回「懺悔のお経」へ続く)