我、汝と汝の隣人を救えり。
ひとりの若者が、もうひとりの若者を必死で抱きかかえている。
底抜けに優しい面差しの彼は、いまにも倒れそうな相棒の肩を抱きながら何やらささやいている。
大丈夫だ。もう少しだ。
ちいさな声なので聞き取れないが、おそらく、そのようなことをささやいているんだろう。
大丈夫だ。もう少しだ。
よく分からないが、僕も応援することにした。
夜の中央線。
温かい光景ではないか。
しかし、それにしてもだ。
支えられている方の人物の横顔に、何やら巨大なマスクのようなものが見える。
よく見ると、その耳にかかっているのは、よくあるマスクの「ひも」よりも太い。
次の瞬間、電車の揺れに合わせるように、その人物の横顔がより近くに見えた。
防毒マスクをしてるのかと思った。
だって、おそろしくデカいんだもん。
疑問を残して、僕は三鷹で各駅停車に乗り換えた。
振り返ると、僕といっしょに降りたはずのあの二人組は、
再び今乗ってきた特別快速に乗り込んでいる。
支えている方の、優しい面差しの彼が、相棒はまだ大丈夫と判断したようだ。
大丈夫だ。大丈夫だよな。もう少し行ってみよう。
行けるとこまで行ってみよう。
支えられている方の、防毒マスクの彼を見た。
彼は、彼の優しき友人の手によって、
「いざというとき」のために、
スーパーマーケットのビニール袋を、
両耳にひっかけることによって、
完全防備されていたのだった。
そう。「いざというとき」のために。
彼の優しき友人は。
優しき面差しの彼は。
友人を救い、まわりの乗客にも気を遣っているのであった。
優しき友人と、防毒マスクのその友達は、
いったいあのあと、どこまで持ちこたえたのだろうか。
底抜けに優しい面差しの彼は、いまにも倒れそうな相棒の肩を抱きながら何やらささやいている。
大丈夫だ。もう少しだ。
ちいさな声なので聞き取れないが、おそらく、そのようなことをささやいているんだろう。
大丈夫だ。もう少しだ。
よく分からないが、僕も応援することにした。
夜の中央線。
温かい光景ではないか。
しかし、それにしてもだ。
支えられている方の人物の横顔に、何やら巨大なマスクのようなものが見える。
よく見ると、その耳にかかっているのは、よくあるマスクの「ひも」よりも太い。
次の瞬間、電車の揺れに合わせるように、その人物の横顔がより近くに見えた。
防毒マスクをしてるのかと思った。
だって、おそろしくデカいんだもん。
疑問を残して、僕は三鷹で各駅停車に乗り換えた。
振り返ると、僕といっしょに降りたはずのあの二人組は、
再び今乗ってきた特別快速に乗り込んでいる。
支えている方の、優しい面差しの彼が、相棒はまだ大丈夫と判断したようだ。
大丈夫だ。大丈夫だよな。もう少し行ってみよう。
行けるとこまで行ってみよう。
支えられている方の、防毒マスクの彼を見た。
彼は、彼の優しき友人の手によって、
「いざというとき」のために、
スーパーマーケットのビニール袋を、
両耳にひっかけることによって、
完全防備されていたのだった。
そう。「いざというとき」のために。
彼の優しき友人は。
優しき面差しの彼は。
友人を救い、まわりの乗客にも気を遣っているのであった。
優しき友人と、防毒マスクのその友達は、
いったいあのあと、どこまで持ちこたえたのだろうか。