◎台湾フィルハーモニック 日本ツアー2019 2019年4月30日14:00@東京文化会館大ホール


指揮:リュウ・シャオチャ

ヴァイオリン:リチャード・リン

管弦楽:台湾フィルハーモニック



芥川也寸志:交響管弦楽のための音楽

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64

江文也:台湾舞曲 op.1

シベリウス:交響曲第2番 ニ長調 op.43



今日は平成最後の日。

平成最後のコンサートは、色々あった中から、こちらを選択。


完全なる曲目の勝利!


だって滅多に演奏されない上で、超盛り上がる

芥川の交響管弦楽のための音楽が前プロですもん!

また、台湾の作曲家の江は山田耕筰などに師事した

日本で学んだ作曲家。

こちらも敢えて予習せずに楽しみにしていた。

…しっかし芥川→メンコン→江→シベ2って、てんこ盛り。



1曲目の芥川。

第1楽章はすごくしなやかな弦の音…。

…え、ぶっちゃけ上手くない?

いや、実は事前の動画とかの端々で、上手いのは知っていたけど。

金管はホルンがめちゃくちゃ安定してて、

また、チューバの人めっちゃいい!


ブラスのレベルは日本のオケと互角か、凌ぐ勢いだと思う。


第2楽章、キタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!

すっげー…。大爆音wwwww

この曲はアニヲタにとっても、某大物女流作曲家の

源流ともなっている、映画音楽的な華やかなオーケストレーション。

ここまで弦もブラスも大爆音なのはシカゴ響以来では?

だって、東京文化会館でうるさい、ってどういうことなのwwww

いやー、すげー。


もうガラガラであることが非常にもったいない。


指揮者のリュウ(呂)も立派で、

この芥川の譜面を、細部まで消化しきっている様子。

特に、この元気いっぱいのオケだが、各パートの解像度が高く、

大音量でもしっかり団子にならずに聞こえてくる。

これは呂さんに、もっと日本のオケに客演して欲しい。

まえ、N響のオーチャードかなにかに登場してたが、

ぜひ定期公演に呼んでほしいなあ…。

そしたら次台湾フィル来たときは絶対客入り良くなるはず。

こんなに深く芥川を譜読みして、元気いっぱい演奏してくれるのは、

海外では台湾のオケしかないのではないか?

本当に日本人として頭が下がる。



2曲目のメンコンは、これまた台湾人のリチャード・リン(林品任)がソロを担当。

1楽章から激重ww

先月聴いた同じ台湾人のツェンとは対照的。

最初のうちは良いのだが、若干第1楽章の終わりまでだとくどく感じてしまったw

呂の指揮も流石ドイツの歌劇場で経験を積んでるだけあって、

本格的なドイツ的な重厚な解釈。

(ただし、音量はアメリカのオケww)


しかし、これが第2楽章で大きな武器になった。

…す、すごい歌い込み。

ここまで(ある種ネチっこく)この第2楽章を歌い込んだ演奏は初めて。

まるでヴェリズモオペラやら、ベルカントオペラやらの、

アリアを彷彿とさせる演奏…。

この曲こんな曲だったっけ??ww

(最近、これ多いなw)


これだと第3楽章の疾走感を心配したけど、杞憂。

やっぱ、呂の指揮がすこぶる良い。

よく曲のことわかってる。

伴奏がいいから、林のヴァイオリンがめちゃくちゃ引き立つ!

コレはお見事でした。


最後は林が日本語で丁寧な挨拶ののち、

バッハの無伴奏からアンコール。

こちらも立派。

…ってか、なんでこんなにこのデッドなホールでよく響かせるの?w

台湾のホールはそんなにデッドな音響なのだろうか。


後半1曲目の江の台湾舞曲は、傑作!

まあ、N響が早いうちから録音してるくらいだからなあ。

台湾の民謡というよりは、日本っぽい?

台湾の民謡って日本と似てるのだろうか??

確かにペンタトニークはアジア共通だけど。

オーケストレーションはドビュッシーっぽい。

やっぱ台湾や日本の、東アジアの鬱蒼とした、

湿度の高い環境を再現するのは、

フレンチの方が管弦楽法としてマッチしてるのだろうか…?


メインのシベ2。

このタイプの演奏、実演ではないんですが聴いたことあるんですね。

ええ、オーマンディとフィラデルフィア管弦楽団っていうんですがね。


凄まじい迫力…!

シベリウスでこんなにサウンド浴になったの初めて…。

とにかくストレス解消で音浴びしたいなら台湾フィル聴きに行けば?

アメリカのオケでヴェルレク(以下自主規制w)


いや、第1楽章から息つく間が無いくらいよく弾くし、吹くし、叩くし、咆哮するし…

それでいて全然疲れる様子ないんだぜ?

それでも団子にせずに各パートの音をしっかり聴かせる呂のコントロールも凄い。

(でもコレがサントリーだったら、多少怪しいが…)

第3楽章なんか

「えー、この音量で突入したら、

第4楽章これ以上で弾かなきゃ?…だ、大丈夫??」

って、そしたらそれ以上の音量で来るしねww

もはや音の爆発(既視感)


しかし第4楽章は、しっかりメリハリもあり、

最弱音までしっかり用意して、

繊細さや、シベリウスの幽玄さも出してくれたし、

これはね、指揮者のお陰です!(断言)

最後はなかなかドラマチックでした。


大爆演のシベ2の後は、アンコールになんと悲しきワルツ!

しなやかな弦…。

いや、むっちゃうまいな。

しかも、音が蛇口からどびゃー、ってタイプではない、

しっかりと繊細さも兼ね備えてる。


台湾のオケ、すごいな。

ぶっちゃけ、同じ会場で今月聴いた外来オケの、

OSRと満足度は変わらない。


アメリカのオケで音浴びしなくても、

台湾フィルがあるじゃない!

って思うくらい、平成最後のコンサートは

ゴージャスなサウンドを堪能できたな。


で、日本のオケは早いところ呂さんを呼んでねw