◎新日本フィルハーモニー交響楽団 定期演奏会 #21 ルビー<アフタヌーン・コンサート・シリーズ> 2019年4月26日14:00@すみだトリフォニーホール大ホール


  • チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第2番 ト長調 op. 44*Tchaikovsky: Piano Concerto No. 2 in G major, op. 44*
  • スクリャービン:交響曲第2番 ハ短調 op. 29 Scriabin: Symphony No. 2 in C minor, op. 29



指揮:パスカル・ロフェ
ピアノ:アレクセイ・ヴォロディン


こちらも随分前から楽しみにしていたコンサート。
そのお目当てはチャイコフスキーのピアノ協奏曲第2番!

小さい頃から大好きだったこの曲。
こんな素晴らしい曲なのに、全く演奏されないのは今もって謎である。

名曲で四六時中演奏されるピアノ協奏曲第1番と比しても
独創性で勝るとも劣らないはずの曲なのに、何故!??

今回の周りのお客さんの反応を見ても。
「ポピュラーそうな曲なのになんで演奏されないんだろう…?」
という声が聞こえてきたくらい。

それはさておき、コンサートレビューです。

今日のコンサートは新日本フィルが恐るべき完成度でした。
トラもほとんどいない、純正メンバーで臨んだからでしょうか…?

まず、チャイコフスキーの第2コンチェルト。
ピアニストが漢です!(…って当たり前だがw)

ゴリゴリ系の演奏。
これはこの前聴いた、ガヴリリュクに似てるかも。
しかーし、このピアニストの凄さは、細やかな音の引き出しの多さ!
残響の残し方、タッチのニュアンス、
どれを取っても表情が豊かで、飽きが全く来ません。
第2番は1番に負けず劣らず、
むしろ1番以上の高難易度だけど、技術はもちろん、
芸術性の極めて高いソロ。

最終楽章は基地外オジサンこと、この曲の愛聴盤である
(ピアニストの)プレトニョフを凌ぐほどの爆速。
(しかも途中からオケと合わなくなるほどさらに加速したのはたまげたww)
楽しさを兼ね備えた素晴らしいピアノでした。
アンコールも素敵で、ラフマニノフの前奏曲。
機会あれば次はリサイタル聴きに行きたいです。

で、今回特筆すべきは、第2楽章のヴァイオリンと
チェロのソロを立奏で行ったこと。
コンマスの西江さんは当然のことながら、
去年、ブラームスの第2コンチェルトのソロで評判になった、
長谷川さんのソロをたっぷり堪能できました。
この2人でブラームスのドッペルをやってほしいです、上岡さんw

ロフェのバックアップも立派で、本当にこの曲の地味さが出ない、
昔からのポピュラーピースかのような壮麗さ。
特に今日は金管が(ホルン含めw)すこぶる調子が良く、
指揮者の思い通りに音が引き出ているのが実によくわかった。


それが決定づけられたのが後半のスクリャービン。
去年N響で聴いたピアノ協奏曲第と並んで、
スクリャービンがおかしくなる前wに書かれた、
ワーグナーやリストの影響の色濃いライトモティーフが印象的な
純ロマン派的作風の交響曲。
ちょっと前にパーヴォ×N響が取り上げて認知度が上がったとはいえ、
4番の法悦の詩とかからすると地味なもの。

しっかし、先述の通り、今日の新日本フィルは強烈な完成度。
ここまでべらぼうに上手いオケだっけ??
(失敬…w)

また、ロフェの解釈はゴージャス!極彩色!
フランス人指揮者らしい、クリュイタンスやプレートル、
そして今はもう戻って来ないデュトワを彷彿とさせます。

前回のストラヴィンスキーを聴きに行かなかったのをこの時本当に悔やみました。
よくこんな素晴らしい指揮者を連れてきてくれたものです。
第1〜3楽章の弦は、失神するほど美しいし。
第5楽章のワーグナーやブルックナーを思わせるコラールは、
まさに音の濁りのない、それでいて壮重な響き。

先月のマラ2のときもちらりと感じましたが、
これなら来月のワーグナーは楽しめそうです。

最後はアンコールにくるみ割り人形の小序曲!
こちらとびきりチャーミングだった〜。

相変わらずの満足度の新日本フィルの定期。
本当に最近、このオケは期待を裏切りません。
ますますファンになる楽しい演奏会でした。


追伸:
演奏はとびきり素晴らしいものでした。
が、聴衆の落ち着きの無さは過去最低でした。
ビニールのカシャカシャする音から、変な咳、
あれほど置けと言われたのに傘を落とす音もするし…。
まあ、金曜昼ということで、原因はお察しくださいw