東京春祭 合唱の芸術シリーズvol.6シェーンベルク《グレの歌》~後期ロマン派最後の傑作 2019年4月14日15:00@東京文化会館大ホール


指揮:大野和士
ヴァルデマール王(テノール):クリスティアン・フォイクト
トーヴェ(ソプラノ):エレーナ・パンクラトヴァ
農夫(バリトン):甲斐栄次郎
山鳩(メゾ・ソプラノ):藤村実穂子
道化師クラウス(テノール):アレクサンドル・クラヴェッツ
語り手(バス・バリトン):フランツ・グルントヘーバー
管弦楽:東京都交響楽団
合唱:東京オペラシンガーズ
合唱指揮:マティアス・ブラウアー
合唱指揮:宮松重紀



シェーンベルク:グレの歌




春のお祭りも千穐楽。
いよいよ、待ちに待ったグレの歌!

大野×都響なのでハイスペック大期待な演奏会でした。


※※※注意:今回のコンサートを楽しめたり、良い印象をお持ちだったりする方はこの後閲覧注意です。
並びに、当ブログの趣旨からすると、今回のレビューは筆者の主観的な個人メモが中心です。
それでも読まれる、という方は、ご理解とご協力を強制致しますww


さて、まずは今回最も感銘を受けたのは、
なんと言っても藤村実穂子さんの山鳩!
もう非の付け所なしに素晴らしかったです。
言葉のニュアンスを実に大切にして、
ヴァルデマールやトーヴェの無念さを活き活きと表現してくれました。
すごい!の一言。
実は藤村さんの実演を触れたのは今回が初めて。

…こんな素晴らしいメゾを知らなかったなんて!
これから追っかけに走りそうな気配ですw

その次に農夫の甲斐さんの堂々たる歌唱や、
道化師のクラヴェッツの演技を交えた、しかも存在感ある洒脱な歌唱も素晴らしかったです。

ここは流石、春祭の千穐楽と言えるものでした。

また、大野×都響もこれら優秀な歌手の歌うときのバックアップは素晴らしかった。
流石、高スペックオケ&指揮者です。



…ですが、久々に、全体としては満足度の極めて低い演奏会でした。

まず、ヴァルデマール役のフォイクト。
線が細く、なかなか声が飛びません。
これだけならいいのですが、オケが邪魔しない(この表現も本来なら不適だが…)
部分での歌唱を聴いていても、表情が足りず、
声を出すのがやっと、という印象。
調子が悪かったのでしょうか?
声そのものからはそんな感じは受けませんでしたが、
腹蔵なく申さば、控えめに言って役不足、誤解を恐れず言えばク◯です。
こんなのを連れてきたのは一体誰なのか…
※毒舌な時は徹底して口汚いです。すみません…

また、ヴァルデマールの歌うときの大野×都響の演奏も頂けません。
空気を読んで控えめにしているのでしょうが、
聴いてるこちらからすれば弛緩しているようにしか見えない。
150人もの大編成がもったいなかった。
どうせ歌手がこれ以上改善できないのだから、
無視してオケだけで演奏すれば良かったのに。

あれだけの大編成だったのに、正直、
先月のインバルとショスタコーヴィチをやった都響の方が
数十倍迫力のある音が出てました。

この歌手への忖度のような演奏を聴いてしまった後だと、
自分の奥底にこの数年あった大野さんになった後の都響の、
そこはかとない綻びの疑いが一気に今日は噴出してしまいました…。

素晴らしい高スペックさは相変わらずなのだから、
もっと我が道を行くようなチャレンジングで
スリリングな路線を取ってもいいような気がしますが…。

月末もこのコンビでラフマニノフを聴きに行きますが、
1時間くらいまでの曲がこのコンビの限界でしょうか。
正直、マーラーの3番とか聴いたら眠くなりそう…。

最後は酒樽の写真をどうぞ。
今日は飲もうっと!w