都民劇場音楽サークル第662回定期公演 スイス・ロマンド管弦楽団 2019年4月10日19:00@東京文化会館大ホール


指揮:ジョナサン・ノット

ヴァイオリン:辻彩奈

管弦楽:スイス・ロマンド管弦楽団



メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64

マーラー:交響曲第6番 イ短調 「悲劇的」



4月の音楽会始め!

今日の東京は真冬の寒さで、凍えるほど。

無理をおして半休を取って、一昨年のリベンジで悲劇的を聴きにいくことに…。


実は学生時代はマーラーの、この6番は苦手で、苦手で、

半ば食わず嫌いで生演奏を聴きに行っていなかったが、

不思議なもので、時が経つとおっかなびっくり聴きに行きたくなってしまう…。


一昨年の夏休み、大阪でやるインバルのを聴きに行こうとしたが、

某大手系尻型果実LCCの大遅延でオシャカに。

あれ以来地方遠征はレガシーキャリアか新幹線で行くようになったのだが。


なんと、マーラーの交響曲では唯一、

この6番だけは実演に触れたことがなかった。


話を元に戻そう。


…それにしても、今回のプログラムは尋常ではない。

メンコンを前に添えるなんて…。



…あれ?心なしか終了時刻とタイムテーブルがあってないような…!?

まず前半の辻さんをソリストにしたメンコン。
辻さんも初聴き。
聴いてみると、ちょっと日本人にしては珍しいソリストかな?
いや、物凄くコッテリ歌うんですもの。
技術も確かなんだが、それ以上に細部にこだわって歌を作っている。
第2楽章は、チャイコフスキーじゃないが、カンツォーネのよう。
第1楽章も、暗さや憂いはなんのその。
綺麗に歌えるところを物凄く、丁寧に仕上げていく。
第3楽章も、割とベッタリ。
こちらは好みが分かれそうでしたが、音の美しさを楽しむなら最高でした!
アンコールも割とヴァイオリンの音を楽しむために用意してくれた印象でしたねー。


前半はかなりゆっくり目で、たっぷりアンコール含めて40分超…

うぷっ…
ここからマーラーの6番聴くのか…。
正直遅れてきた方が良かったのでは…?と失礼ながら多少後悔w


後半の悲劇的。

いやー、マーラーの交響曲ってこんなにクールに仕上がるの?と驚きw

個人的な印象だが、マーラーの6番は角笛交響曲を脱して、
マーラーがいよいよファンタジーから脱却し始めた頃の作品。
ロマンチックコンポニストから、いよいよ6番から、
内面が正直に出てきたというところ。

第1楽章のっけから、弦はドイツ流。
本当にフランス語圏のオケ?
と思うほど、弦と金管は鈍色調の渋い男。

しかしヴァイオリンのピッタリ加減すごい…!
このオケの弦アンサンブルはなんでもできます。
ピチカートも恐ろしく合うし…。
昔、スイスで聴いたヘタクソは別のオケだったのかと思うほど。

ノットは流石のマーラー指揮者。
曲を知り尽くしている。
特に難所の操縦が光る。
アンサンブルが乱れそうなところではしっかり見やすく、
素人のこちらもわかりやすいキュー出しをしていた。
また、解釈や楽器間のバランスも素晴らしい。
何より垢抜けた都会的なマーラーは、
第2楽章のレントラー(?)で登場するカウベルで、
オーストリアの牧場のイメージが全く出てこないww
まるで大都会のコーラの空き缶。
※ちなみに今回はスケルツォが先。

だけど、本領発揮は正直3楽章からで、ノットの構成美が炸裂した。
前半部で、さっきまでの流れからヴァイオリンに思いっきり歌わせるかなー、
と思いきや、割と控えめ。
中間部のホルンや中弦の地獄落ちはベッタリ。
これでもかと訴えかけた後…
きたきた、再現部のこのヴァイオリンの歌い込み…。
このノットのクライマックスの造り込みは、
東響で慣れているとはいえ、毎回楽しみにしているところ。

4楽章、正直疲れがww

オケも多少バテ気味かな〜と思ったけど、
ハンマーで目を覚ましたか?w

多少復調して勢いよくフィニッシュまで集中力が保てたかな。

しかし、この曲は凄まじい。
後のショスタコーヴィチの出現を予言するかのごとき怪物曲…。

たしかに、よく言われる古典性への回帰とか言われるが、
こんなとてつもない細かい音の処理やダイナミクスを要求される曲、
マーラーしか振れないように作ったのだろう。

やはりこういう曲はノットやパーヴォやラトルみたいな、
高スペック指揮者だと安心して聴けます。

エンタメ性の高い、大満足な演奏会でした。