2018/2019シーズンオペラ「タンホイザー」/リヒャルト・ワーグナー 2019年1月27日14:00@新国立劇場オペラパレス


指揮

アッシャー・フィッシュ

演出

ハンス=ペーター・レーマン

美術・衣裳

オラフ・ツォンベック

照明

立田雄士

振付

メメット・バルカン


領主ヘルマン

妻屋秀和

タンホイザー

トルステン・ケール

ヴォルフラム

ローマン・トレーケル

ヴァルター

鈴木 准

ビーテロルフ

萩原 潤

ハインリヒ

与儀 巧

ラインマル

大塚博章

エリーザベト

リエネ・キンチャ

ヴェーヌス

アレクサンドラ・ペーターザマー

牧童

吉原圭子


合唱

新国立劇場合唱団

バレエ

新国立劇場バレエ団

管弦楽

東京交響楽団



今日は14:00〜


・井上道義のドン・ジョバンニ@芸劇

・藤原歌劇団の椿姫@東京文化会館

・新国立劇場のタンホイザー


さらに15:00〜


・ソヒエフ×N響のイタリアのハロルド

・バッティストーニ×東フィルのシェエラザード


さらにさらに16:00〜

・オーケストラ・ニッポニカの間宮オペラの蘇演


と、行きたい公演がこれでもかと同じ時間に集中する異常事態。

勘弁してくれ…ガーンガーンガーン


もっと時間ずらそうよ…。

まあ私みたいに休日しか商売柄コンサート行けなくて、

休日は隙あらば複数コンサート行こうなんて思う変態は

多分そんなに多くないのかもしれないが、

コレだと流石に最近「箱が埋まらない、埋まらない」言ってる、

東京の演奏会で、ますます客分散するじゃん…。


さらに来てみると、




…おいおい、新国立劇場もフル回転ですか…。

まあ、こちらは客層は被らないかもしれないが、

すごいな。東京という街は。

舞台芸術楽しむなら東洋の他のどんな街もかなわなかろう…!


というわけで、自分は新国立のタンホイザー初日を

朝からのZ席争奪戦を制して参戦。

(これ負けてたら井上ドン・ジョバンニかN響か東フィルかで当日券アタックだった。)


初日で、しかも日本人の大好きなワーグナーとなれば話が早い。

S席を残して全て完売。

しかも27000円もするS席しかないはずだが、

当日ボックスオフィスに当日券を求める人の列が…。

会場はほぼ満席。

これだけ人が分散するはずが、やはり演目の為せる業か?ww


以前より公言している通り、私はワーグナーが苦手である。

その原因はいわゆるワーグナーで有名な指揮者の苦手意識(カラヤンやサヴァリッシュは特例として、ティーレマンやクナッパーツブッシュ、バレンボイムなど。)があることや、高校生の時のトラウマ事件※がある。


※2007年のゼンパーオーパーの引越し公演で、当時学生券ながら小遣いを叩いて見に行ったタンホイザーは直前の指揮者変更で散々なものとなり、ブーイングの嵐を初体験。当時学生の自分には衝撃的すぎる出来事で、そのまま偏ったワグネリアンになりそうだった私にワーグナーから離れるきっかけを作った事件だった。


しかし、上述の「ドレスデンの(文字通り)悲劇」から10年以上。

さすがに今聴くタンホイザーというのはどういうものか?

自分の体験的に興味があった。


また、前回のファルスタッフの安定感のある公演内容から、

新国立なら大丈夫かも?という、

信頼感があった。


結論から言うと、トラウマや抵抗を一切拭い去る、

とまではなかったものの、

素晴らしい公演でした!


特に今日はオケが、初日ということで多少の傷はあったものの、力演でした。


アッシャー・フィッシュはバレンボイムの元アシスタントということで、

中々に熱い指揮者。

爆演、とまではいかないものの、ティンパニの強奏部では思いっきり叩かせ、

管もガンガン煽ります。

しかーし!今月あれだけ素晴らしいヴェルディのレクイエムを披露した東響!

さすが、うまい。


特に弦が秀逸で、1幕にいくつもあるヴァイオリンのソロはお見事!

水谷さんのこのソロを聴けただけでも価値ありです。


また、オケがこれだけ安定してるとワーグナーの深い登場人物の感情の揺れ動かせに

こちらが集中できる。


特に、今回はヴェヌス役のペーターザーマーやタンホイザー役のケールは、

よくあるワーグナー歌手にある強烈なタイプでは無く、

微妙な声の空気感でキャラクターを出すタイプだったので、

この安定したオケはその起伏を受け取りやすくしてくれた。

ペーターザーマーのヴェヌスは個人的に好みでした◎


第2幕の歌合戦はヴォルフォラム役のトレーケルがイマイチ本調子でなかったので、

なかなか盛り上がりに欠けたものの、

萩原潤のビーテロルフの勇壮な歌が一気に流れを変えた!


…この人にヴォルフラムを歌って欲しかった。


3幕の巡礼の合唱も素晴らしい!


夕星のアリアではトレーケル、持ち直した模様。

しかし、ケールのこの悲しげな歌い込みは、

今までのクソ野郎なタインホイザー像を打ち破ってくれます。

なかなかの悲劇とドラマです。

そんなにヒーローヒーローしてない、

非常に人間臭い、愛すべき主人公な仕上がりでなかなかの好演だと私は思いました。


キンチャのエリーザベトは、秀演だが、

ペーターザーマーの素晴らしい演唱からすると見劣りしてしまう。

妻屋さんのヘルマンも素晴らしい!


ただ、演出の陳腐化は若干否めない。


とにかく動きが少なく、演技が淡白。

歌手が歌いやすいので、歌は安定するが、

今時みーんな、奥行きのある舞台でお地蔵さんとは如何なものか。


そして近未来的なモノを思わせる舞台セットに対して、

コスチュームはモロ、古式ゆかしい中世テイスト。


演奏が素晴らしいだけに、舞台づくりにはまだまだ伸びしろありそう!

(偉そうに何を言うかw)


新制作出たらまた見に行きたいです!

せっかく近未来都市東京wなのだから、

ちょっと現代にコネクションを置いた、

思い切った演出なんかどうだろう?


今日の様子だとみんな聴きに来そうですし。