指揮
アッシャー・フィッシュ
演出
ハンス=ペーター・レーマン
美術・衣裳
オラフ・ツォンベック
照明
立田雄士
振付
メメット・バルカン
領主ヘルマン
妻屋秀和
タンホイザー
トルステン・ケール
ヴォルフラム
ローマン・トレーケル
ヴァルター
鈴木 准
ビーテロルフ
萩原 潤
ハインリヒ
与儀 巧
ラインマル
大塚博章
エリーザベト
リエネ・キンチャ
ヴェーヌス
アレクサンドラ・ペーターザマー
牧童
吉原圭子
合唱
新国立劇場合唱団
バレエ
新国立劇場バレエ団
管弦楽
東京交響楽団
今日は14:00〜
・井上道義のドン・ジョバンニ@芸劇
・藤原歌劇団の椿姫@東京文化会館
・新国立劇場のタンホイザー
さらに15:00〜
・ソヒエフ×N響のイタリアのハロルド
・バッティストーニ×東フィルのシェエラザード
さらにさらに16:00〜
・オーケストラ・ニッポニカの間宮オペラの蘇演
と、行きたい公演がこれでもかと同じ時間に集中する異常事態。
勘弁してくれ…
もっと時間ずらそうよ…。
まあ私みたいに休日しか商売柄コンサート行けなくて、
休日は隙あらば複数コンサート行こうなんて思う変態は
多分そんなに多くないのかもしれないが、
コレだと流石に最近「箱が埋まらない、埋まらない」言ってる、
東京の演奏会で、ますます客分散するじゃん…。
さらに来てみると、
…おいおい、新国立劇場もフル回転ですか…。
まあ、こちらは客層は被らないかもしれないが、
すごいな。東京という街は。
舞台芸術楽しむなら東洋の他のどんな街もかなわなかろう…!
というわけで、自分は新国立のタンホイザー初日を
朝からのZ席争奪戦を制して参戦。
(これ負けてたら井上ドン・ジョバンニかN響か東フィルかで当日券アタックだった。)
初日で、しかも日本人の大好きなワーグナーとなれば話が早い。
S席を残して全て完売。
しかも27000円もするS席しかないはずだが、
当日ボックスオフィスに当日券を求める人の列が…。
会場はほぼ満席。
これだけ人が分散するはずが、やはり演目の為せる業か?ww
以前より公言している通り、私はワーグナーが苦手である。
その原因はいわゆるワーグナーで有名な指揮者の苦手意識(カラヤンやサヴァリッシュは特例として、ティーレマンやクナッパーツブッシュ、バレンボイムなど。)があることや、高校生の時のトラウマ事件※がある。
※2007年のゼンパーオーパーの引越し公演で、当時学生券ながら小遣いを叩いて見に行ったタンホイザーは直前の指揮者変更で散々なものとなり、ブーイングの嵐を初体験。当時学生の自分には衝撃的すぎる出来事で、そのまま偏ったワグネリアンになりそうだった私にワーグナーから離れるきっかけを作った事件だった。
しかし、上述の「ドレスデンの(文字通り)悲劇」から10年以上。
さすがに今聴くタンホイザーというのはどういうものか?
自分の体験的に興味があった。
また、前回のファルスタッフの安定感のある公演内容から、
新国立なら大丈夫かも?という、
信頼感があった。
結論から言うと、トラウマや抵抗を一切拭い去る、
とまではなかったものの、
素晴らしい公演でした!
特に今日はオケが、初日ということで多少の傷はあったものの、力演でした。
アッシャー・フィッシュはバレンボイムの元アシスタントということで、
中々に熱い指揮者。
爆演、とまではいかないものの、ティンパニの強奏部では思いっきり叩かせ、
管もガンガン煽ります。
しかーし!今月あれだけ素晴らしいヴェルディのレクイエムを披露した東響!
さすが、うまい。
特に弦が秀逸で、1幕にいくつもあるヴァイオリンのソロはお見事!
水谷さんのこのソロを聴けただけでも価値ありです。
また、オケがこれだけ安定してるとワーグナーの深い登場人物の感情の揺れ動かせに
こちらが集中できる。
特に、今回はヴェヌス役のペーターザーマーやタンホイザー役のケールは、
よくあるワーグナー歌手にある強烈なタイプでは無く、
微妙な声の空気感でキャラクターを出すタイプだったので、
この安定したオケはその起伏を受け取りやすくしてくれた。
ペーターザーマーのヴェヌスは個人的に好みでした◎
第2幕の歌合戦はヴォルフォラム役のトレーケルがイマイチ本調子でなかったので、
なかなか盛り上がりに欠けたものの、
萩原潤のビーテロルフの勇壮な歌が一気に流れを変えた!
…この人にヴォルフラムを歌って欲しかった。
3幕の巡礼の合唱も素晴らしい!
夕星のアリアではトレーケル、持ち直した模様。
しかし、ケールのこの悲しげな歌い込みは、
今までのクソ野郎なタインホイザー像を打ち破ってくれます。
なかなかの悲劇とドラマです。
そんなにヒーローヒーローしてない、
非常に人間臭い、愛すべき主人公な仕上がりでなかなかの好演だと私は思いました。
キンチャのエリーザベトは、秀演だが、
ペーターザーマーの素晴らしい演唱からすると見劣りしてしまう。
妻屋さんのヘルマンも素晴らしい!
ただ、演出の陳腐化は若干否めない。
とにかく動きが少なく、演技が淡白。
歌手が歌いやすいので、歌は安定するが、
今時みーんな、奥行きのある舞台でお地蔵さんとは如何なものか。
そして近未来的なモノを思わせる舞台セットに対して、
コスチュームはモロ、古式ゆかしい中世テイスト。
演奏が素晴らしいだけに、舞台づくりにはまだまだ伸びしろありそう!
(偉そうに何を言うかw)
新制作出たらまた見に行きたいです!
せっかく近未来都市東京wなのだから、
ちょっと現代にコネクションを置いた、
思い切った演出なんかどうだろう?
今日の様子だとみんな聴きに来そうですし。