2018年、6月。連れと私は、ドイツのミルテンベルクという知らない街の船着場に取り残されていた。
なぜなら、船があると思っていた場所に、船がない。
想定外の未知との遭遇。「こんなこと本当に起こるんだなぁ~っ」と今(2020年、現在)、しみじみ思い返している。
私は、この状況でも、集合時間に間違えはないことは確かだと思っていた。でも、連れは時間前に、船に戻っていて、船が見つからないと言っている。
謎・・・・。
私が「どうすんの・・」っと連れに無感情に聞いた。連れが「電話してみようか」っと低い声で言う。
「え〜、電話番号、知ってるの?」っと私が、半分怒ったような感じで聞き返した。連れは「ああ、Ship Locationカードを持っているからね。」っとカードを出した。「ここに電話番号書いてあるから、そこに電話してみよう」っと言った。
いつも、私は「Ship Location」カードをもらっている連れを見て、「必要ないのになぁ」っと思っていた。なぜなら、迷子とか、船に乗り遅れるなんてありえないっと私は思っていたからだ。
が、そのありえないはずの状況となった、連れと私。
でも、連れのおかげで、とりあえずクルーズ船と連絡は取れる。
この記事を書きながら、私は連れに「なんで先に、連絡してくれなかったの?」っと確認すると、連れもその時、そこまで深刻な状況だと思っていなかったらしい。
私と一緒で、「船は、下船した場所と、同じ場所に停泊している」って思い込んでいたから、船は歩いて行ける距離にあると思っていたらしい。参照:連れ、後日談①
ともかく、速攻、名刺のPD(プログラムディレクターの訳)の番号に電話するとプログラムディレクターにつながった。
「船がない、どこに行ったらいい」と焦って尋ねる私に、彼は声のトーンを落として、説明を始めた。
「下船した時と違う場所に船はある。ミルテンベルクから、バスで、移動しなければならなかった。バスの集合場所も、全く違う場所だった。
まずは、すぐ、バーかレストランを探して、タクシーを呼んでもらうんだ。そして「フロイデンベルグ」に向かってくれと依頼して、こちらに向かってくれ。タクシーに乗ったら再度、僕に連絡してほしい」っと私に言った。
私は、彼の話を聞き、すぐに連れに伝えた。私は、目の前の、ESSOガソリンスタンドに行ってみようと言った。連れは、「僕は、プログラムディレクターの指示通り、バーかレストランを探すよ。二手に分かれよう」っと答えた。
連れ曰く、バーとかレストランを探せとプログラムディレクターが指示するのは何か意味があるのかもしれないと思ったらしい。参照:連れ、後日談②
でも、その時私は、目の前の一番近いお店が、ガソリンスタンドで、そこで尋ねるのが一番早いと思った。さらに、今ここで、二人が別々に行動するのは、危険だと思う。万が一、はぐれてしまったら、逆に時間がかかると私は思った。
私は、そのことを連れに伝え、まず、ガソリンスタンドで聞いてダメなら、他を当たることにしようと提案。連れも同意してくれた。
すぐそこにあるガソリンスタンドだが、二人で走って向かった。店内に入ると、レジに一人並んでいるだけだった。逆のレジは、誰もいない。誰もいないレジの女性店員さんに状況を説明。
彼女は、困った表情で私を見ている。何も返答がない。
そう、英語がわからないのだ・・・。
どうしようっと連れと顔を見合わせた。焦りが、恐怖に変わる。
船に乗り遅れる・・・・・。
今思えば、プログラムディレクターが「バーかレストラン」と指定したのは、そこなら英語を話せる人が、確実にいるからだろう。連れが正解。
でもここはガソリンスタンド。地元の人ぐらいしか利用しないのだから、ドイツ語が話せれば、事足りるのだ。
万事休すか・・・。
では。