幼い頃目に映るもの全てが真実だった。
疑うこと無く受け入れていた。
好きなものと同じくらい嫌いなものがあった。
それで良かった。
全てが真実だと信じていたから。
森を駆け、海に入り、山を見上げた。
目に映る全てをあるがまま受け入れた。
紛い物など何一つ無く厳しく優しかった。
しかし大人になるほど矛盾に浸る。
いつしか疑問すら萎えていた。
嫌いなものも忘れていた。
好きなものも忘れていた。
社会という渦の中で漂い続ける人間。
明日さえ見えぬ欺瞞に満ちた世界。
力を持つ者達の悲しい言葉が鳴り響く。
その先にある不毛に目を背け。
美しい法則を振りかざしどこへ行く。
なぜつつましく生きる人間を否定する。
なぜあるがまま受け入れる世界を否定する。
人間が創りだす世界のどこに真実がある。
矛盾を創りだす社会の中で人間は真実を失う。
嘘に浸り真実を忘れ人は何処へ行く。
ただ鈍感という武器だけを手にするのか。
それはあまりにも悲しすぎる世界。
もの言わぬもの達は沈黙のまま時を過ごす。
誰もがあると信じ誰もが触れぬ時の中を。
誰もがあると信じ誰もが触れぬ心と共に。
真実を求め続ける人間にとってはつらく
嘘で力を振りかざす人間にとっては甘く
もの言わぬ慎ましい生き物にとっては悲しく
それでも世界は新しい創造を詠い続ける
僕はただ
あるがまま受け入れるしか道は無く
ただ君の愛にすがるしか道は無い
慎ましく愛にすがるしか
道は無い



