秋と冬が重なり合うように、時を過ごした花びらが一つ。。。
音も無く光に照らされながら、アルカナの足元に静かに舞い降りた。
太陽は掌に乗り、アルカナの瞳は白く染まっていた。
その瞳に、遠くから駆け寄る恒太郎の姿が映った。
恒太郎は、アルカナに囁いた。
「行こう。。。」
そう言うと、二人は深い森の奥に佇む木造建築の建物へと歩き始めた。
階段を数段昇り建物の中へと進み、温かな光に包まれたロビーに足を踏み入れた。
恒太郎はフロントに軽く会釈をしただけで通り過ぎ左へと通路を進んだ。
アルカナは何も語らず、恒太郎の半歩後ろに寄り添っていた。
通路は森の奥深くへと続き、その長い渡り廊下の壁に掛けられた絵画が緑に溶け込んでいた。
窓から差し込む光は、建物の奥へと続く渡り廊下を埋める赤い絨毯を斜めに照らし、辿りつくはずの空間は二人が歩くほど遠ざかっているようだった。
時が止まるほどの空間を、二人は漂っていた。
やがて、右壁に一つのドアが現れた。
恒太郎はキーをジャケットの右ポケットから取り出し鍵穴に差し込んだ。
ナンバーの無い部屋たった。
ドアは静かに部屋の奥へと開き、広い空間が現れた。
「ここが、僕の心の居場所なんだ。。。」
恒太郎はチェックインをする際、確かな一言をフロントに残していた。
愛する人をもてなす心が言わせたのだろう。。。
その言葉は。。。
"僕の大切な人なんだ"
と。。。
一言。
そしてある言伝をしていた。
アルカナは何も知らず白いソファーに座り、窓の外を見つめ佇んでいた。
この時を。。。抱きしめるように。
つづく

