恒太郎は、アルカナの手を握りしめたまま車へと駆け出した。
もう二人に言葉などいらなかった。
薄明りの中、車は音も無く道を選び走り出した。
愛という。。。
意思を掴んだ二人は。。。
手を握り合ったまま、走り出していた。
二人は握り合う手の温もりを感じながらも、顔を見合わせることもせず。。。
ただ、車のライトが照らす道の彼方を無言のまま見つめていた。
二人は現へと飛び出していた。
それが、アルカナにとって何を意味するか。。。
約束された未来など無いと知っている二人は、確かに意志という愛だけを信じていた。
車は流れる雲の隙間から覗く月に照らされ湖に沿った周道を滑るように走った。
月は凍りついた湖面の白に光を与え、白は空の青を深く魅せていた。
やがて空は透き通るように白と青の境を溶かし、陽の到来を感じさせ始めた。
"この陽が昇るよりも早く走れ"。。。そう恒太郎は心の中で呟いた。
失うものなど何もないと言ったアルカナの言葉は、恒太郎に一つの決意をさせていた。
この一つ限りの時に、やっと"意志"を掴んだ。愛という"意志"を。。。もう放さない。自分が持てる全てを失おうと、失ってはならないものを守ってみせる。。。
人は時として影の無い言葉に背を向けでも、自らの意志を曖昧な世界で確かめようとする。
そこに。。。本当の愛がある。
確かなものとは。。。目に見えぬ意志。
未来よりも明日よりも、意志は愛で満たされていく。
恒太郎が言った。
「もう、孤独を抱きしめない。僕は君を抱きしめ続ける」
と。
つづく



