第九話 「二人で一人」 - ⑧ | 我ここに在りてここに無し

我ここに在りてここに無し

青きBOUGAの果て

ひとりごとのように

詩と小説を書き綴ります。

何か心に響くものがあれば

それだけで。







『Stone and leaf』








 森の神様は言葉を続けました。






「ルーナ、君は自分に無いものを欲しがるとき死が与えられることをリーフとストーンから教えられ知っていたはずだね。しかし、君は月まで飛びたいと願い大鷲の羽が欲しくなり彼と結ばれることを望んだ。何故君は知っていながら大鷲と結ばれようとしたのだ?」








 ルーナは泣き崩れながら森の神様に言いました。








「確かに私は知っていました。でも、どうしても月に行きたかった。あの大鷲の銀色の大きな翼さえあれば月に行けると思いました。死が与えられようとも自分の望みを叶えようと。。。ただ、自分ではなくリーフとストーンに死が与えられることなど考えてもみなかったのです。なぜ、私に死を与えないのですか?なぜ、リーフとストーンに死が与えられたのですか?」







 泣きながら話すルーナを見て森の神様が言いました。








「君に死を与えるとリーフとストーンに告げた時、彼らは言った。自分たちに死を与えてくれと。自分に無いものを欲しがり一つになり、やっと今互いに補い合い支え合いながら生きていくことを学びルーナを得たと。そしてもう一つ学んだことがあると」





「それは何ですか?」









 とルーンは森の神様に聞きました。







「それは、愛だよ。自らが愛する者を愛おしいと感じるようになっていた。そして、愛する者の死を、自らの死を持って避けようとしたのだ。私も予想できない言葉だった。ルーナ、君はこの愛を受けこれから生きていく。君が彼らの死をどう感じるかね?大鷲と結ばれるか、それとも他の人間の仲間と結ばれ慎ましく日々の生活を営んでいくか、それはルーナ、君次第だ」





「私に、リーフとストーンの愛を受け生きながらえる資格があるのでしょうか?」






「受けるも受けないもないのだよ。ルーナ、君は無償の愛を授かっているのだ。神であってもそれを消し去ることは出来ない。唯一この世界で求めることのできる、そして求めずに得ることのできる愛だからだ。欲しいと思っても決して得ることのできないもの。それを彼らは君に与えたのだ」






 ルーナは床に散らばる葉っぱと石ころを拾い集め身体に摺り寄せました。すると、ルーナの身体に生え始めていた銀色の翼が消え、もとの体に戻っていきました。







「これで、君がどう生きていくべきか分ったね、ルーナ」








 ルーナは小さく頷き森の神様を見ました。







 やがて、ルーナも自ら子を残し、子孫という無償の愛を受ける者たちが人間の仲間を増やし、死を紡ぎながら生きながらえていった。



 人は、生まれた時に愛を授かり、その愛を受け継ぐ人間達が世界に少しずつ広がっていった。だが、人は幾度となく同じ過ちを繰り返す。



 それを、自らが正当化し悪を善、善を悪にさえ変えて。




 それでも、人は生き続ける。




 ただ一つの愛に支えられ生きていく。。。