トラウマ臨床をはじめとした臨床家の方々の実践報告集です。
トラウマ専門の精神科医、白川美也子先生の報告もあります。
白川先生は医療で認められた診療時間の中でソマティックなトラウマ治療を行っている。東京の人がうらやましい。
でも、本来は虐待や暴力被害は社会の中で起こることなので、社会インフラとしてトラウマケアが提供されるべきなのです。カナダのように。
最近では加害者に向けての更生プログラムの一環として性犯罪者処遇プログラムが行われ始めているようですが、被害者に向けてのプログラムも行ってほしい。
少子化とか人手不足とか言っていて、被害者は切り捨てていて良いのでしょうか?
トラウマを受けたらトラウマケアを受けないと、トラウマは抑圧されたまま存在し続け、子育てでストレスを感じた時や、もっとトラウマが重くて結婚や子供を持つことなど考えられなかった人は50代になって更年期とか介護とかストレスが重なってきたときに吹き出します。
抑圧されたまま、無理して平静をよそおっている状態を白川先生は本の中で「サバイバルセルフ」と呼んでいました。
この状態は、日常的に恐怖を感じやすく、でも感じていることを見せないように我慢して抑圧しているので非常に消耗します。
それだけでエネルギーのほとんどを使い果たしてしまい、働いたり、結婚したり、子供を持ったりなんて、それどころじゃない、という状態になります。
暴力に何度も遭った人の神経系がどういう状態になるかというと、クマに襲われて、そのあと何度もクマに追いかけられる、というのと同じような状態になります。
クマに襲われて、そのあと何度もクマに追いかけられたら、恐怖でどうしようもなくなりますよね。
日常的にそういう状態で過ごしているということです。
日本は痴漢とか盗撮が蔓延していますが、被害を放置していることで、そういう状態の人を大量に作り出しているということです。
放置していて良い問題ではありません。
少子化や人手不足という前に、被害者がトラウマケアを受けて人間らしい生活を取り戻せるように制度を整えるべきだと思います。