ー60代の私が本当に不安なのは、お金以外の3つでしたー

老後のお金のことばかり考えていた、ある夜のこと

60代になってから、「老後のお金」という言葉を目にしない日がありません。

テレビをつければ年金の特集。新聞を開けば物価高の記事。インターネットを開けば「老後資金は2,000万円必要」「今すぐ資産運用を始めましょう」という広告が次々と流れてきます。

そのたびに、私は小さなため息をついていました。

「そんなに貯金がある人ばかりじゃないのに」と。

私は資産もなく、まとまった財産があるわけでもありません。今も仕事を探しながら、一人で暮らしています。スーパーでは値引きシールを探し、電気代が気になる日はエアコンを少し我慢してサーキュレーターで過ごす。お金の不安は、いつも頭のどこかにあるのです。

ある夜のことです。

外から帰って、夕食を用意し、一人で食べました。テレビではバラエティ番組が流れていて、誰かが笑っている声は聞こえます。でも部屋の中は人の声がするわけでもなく、静かでした。

食器を片付けながら、ふと考えました。

「今日、私は誰と話したかな?」

朝、コンビニのレジで「ありがとうございます」と言っただけ。仕事に行っていない今は、起きてから寝るまで、一言も声を出さない日だってあります。

その瞬間、胸の奥が苦しくなりました。

「もしかして私は、お金がないことよりも、もっと怖いものを抱えているんじゃないだろうか」

しばらく考えました。

自分が本当に不安なのは、何なのか。

答えはすぐに出てきました。

私が本当に怖かったのは、孤独になること、病気になること、働けなくなること、この3つでした。

お金より怖いと思ったこと①「孤独になること」

一人暮らしと孤独は、同じではありません

私は一人暮らしを続けています。

若い頃は、一人の時間が好きでした。好きな時間に起きて、好きなものを食べて、誰にも気を遣わず自分のペースで過ごせる。その自由さが心地よかったのです。

でも60代になると、「一人でいること」の意味が、少しずつ変わってきた気がします。

働いていた頃は、毎日職場に行けば必ず誰かと話せました。「おはようございます」「お疲れさまです」というだけの会話でも、誰かとつながっている感覚がありました。

でも仕事を辞めると、その毎日がなくなります。

朝起きても、「おはよう」と言う相手がいない。一日が終わっても、「お疲れさま」と言ってくれる人がいない。それがこんなに心細いものだとは、辞めるまで想像していませんでした。

友人との距離も、少しずつ変わっていった

以前は「来月ランチしようね」と気軽に言い合えた友人も、60代になると、それぞれに事情が生まれてきます。私の場合は移住したので、学生時代の友人ともなかなか会うことができません。

ある日、久しぶりに学生時代からの友人に電話をしました。「最近どう?」と聞くと、「元気なんだけどね、膝が悪くてなかなか外に出られないの」という返事でした。

別の友人は、お母さんの介護が始まって、自由に動ける時間がほとんどなくなったと言っていました。

みんなそれぞれ、自分の人生を一生懸命生きています。だから仕方がないのですが、気がつけば「気軽に会える友人」が、ずいぶん少なくなっていました。

孤独は、突然やってくるものではありません。静かに、少しずつ、近づいてくるものなのだと、このとき初めて実感しました。

お金では買えないものがある、ということ

もちろん、お金は大切です。生きていくためには必要なものです。

でも、お金があれば孤独がなくなるわけではありません。

豪華なレストランで一人で食事するより、簡単なおにぎりでも誰かと「おいしいね」と言いながら食べる方が、ずっと幸せだと思う。高価な旅行より、「また一緒に行こうね」と言える相手がいることの方が、よほど豊かだと感じる。

60代になって、そういうことがわかってきた気がします。

私が始めた小さな習慣

だからこそ最近は、人とのつながりを意識するようにしています。

近所の方に会ったとき、笑顔で挨拶する。スーパーのレジで「ありがとうございます」を丁寧に伝える。お隣さんと、ちょっとした世間話をする。

特別なことは何もありません。でも、こういう小さなつながりを積み重ねていくことが、一人暮らしの毎日をほんの少し、あたたかいものにしてくれるような気がしています。

このブログを書いていると、「私も同じ気持ちです」「読んで元気が出ました」というコメントをいただくことがあります。

画面の向こうに、同じように悩みながら生きている方がいる。それだけで、不思議と胸が温かくなります。

孤独を感じることは、恥ずかしいことでも、弱いことでもありません。ただ、孤独のまま終わらないことが、60代の自分を守ることになるのではないかと思っています。

お金より怖いと思ったこと②「病気になること」

健康は、失って初めてわかるものでした

若い頃の私は、健康についてあまり意識していませんでした。
夜更かしをしても翌日には元気。少しくらい無理をしても、どこかで取り返せる。そんな感覚がありました。

その過信のせいか、大きな病を得、人生設計が大きく変わりました。
その後は健康に気を遣うようにはなりましたが、時すでに遅し。

60代になると、疲れが翌日に残るようになりました。階段を上ると、少し息が切れます。朝起きたときに、関節がこわばっていることがある。「あれ、昨日まではこんなことなかったのに」という変化が、気づかないうちに積み重なっていきます。

ある日のことです。軽い風邪をひいてしまいました。熱はそれほど高くなかったのですが、食欲がなく、買い物にも行けない状態になりました。

一人暮らしなので、「大丈夫?」と声をかけてくれる人はいません。「何か買ってきましょうか」と言ってくれる人もいません。

冷蔵庫にあったゼリーを食べながら、布団の中で横になっていたとき、心の底からそう思いました。

「健康って、本当にありがたいものなんだ」

健康は、実は当たり前ではなかった。そのことを改めて身をもって実感しました。

働けるのは健康だから

今も私は、仕事を探しながら生活しています。

ハローワークへ足を運べるのも、履歴書を書けるのも、面接会場まで出かけられるのも、すべて健康だからです。

以前、ハローワークの掲示スペースで、70代とおぼしき方が求人票を真剣に眺めている姿を見かけました。背筋がすっと伸びていて、とても生き生きとした表情でした。

その姿を見て、思ったのです。「年齢ではなく、健康であることが何よりの財産なんだ」と。

健康だから働ける。健康だから好きな場所へ行ける。健康だから、会いたい人に会いに行ける。

何気なく過ごしている毎日の中に、実はかけがえのないものが溢れているのだと、60代になってようやく気づきました。

今日の小さな積み重ねが、未来の自分を助ける

私は特別な健康対策はしていません。

毎日少し散歩をする。野菜を意識して食べる。夜更かしをしない。無理をしないようにする。

それだけです。

でも、「未来の自分を助けるのは、今日の自分の積み重ねだ」と思うと、その小さな習慣がとても大切なものに思えてきます。

60代の体への投資は、老後の医療費を減らすことにもつながります。今の健康を大切にすることは、お金の節約にもなるのです。

お金より怖いと思ったこと③「働けなくなること」

「働く」のはお金のためだけではありません

60代の仕事探しは、正直、簡単ではありません。

応募しても、なかなか返事が来ないことがあります。面接まで進んでも、不採用になることがあります。「やはり年齢が理由なのかな」と思って、落ち込む夜もあります。

それでも私は、働き続けたいと思っています。

生活費のためでもありますが、それだけではありません。

朝、目的を持って起き上がれる。「おはようございます」と挨拶を交わせる相手がいる。自分の経験が、誰かの役に立てる瞬間がある。仕事を終えて帰るときの、あのちょっとした達成感がある。

働くことには、お金では測れない価値があるのだと、辞めてみて初めてわかりました。

働けることが、当たり前ではないと気づいた日

以前は、仕事に行くのが億劫だと感じる日もありました。「またこの作業か」と思いながらデスクに向かう日も、正直ありました。

でも今は、そのときの自分に「もったいないことをしていたな」と思います。

当たり前のように思っていた毎日が、当たり前ではなかった。体が動いて、頭が働いて、職場に行ける。それがどれほどありがたいことか、失いかけるまでわかりませんでした。

いつかは、働けなくなる日が来るかもしれません。病気になるかもしれない。体力が限界を迎えるかもしれない。だからこそ、今働けていることが、心からありがたいと思えるようになりました。

働けなくなる日に備えて、今できることをする

働けなくなってから慌てないために、今から少しずつ準備しています。

毎月の生活費を見直して、無駄な支出を整理する。知識を増やして、できることを少しでも広げておく。体を動かす習慣を続けて、体力の衰えをできるだけ遅らせる。
そしてこのブログを書くことも、何かしら自分を動かし続けるための、大切な習慣になっています。

不安がゼロになることは、ないと思います。でも「何もしない不安」よりも「少しでも行動している安心感」の方が、心はずっと軽くなるのです。

60代になって気づいた、お金では測れない幸せ

若い頃の私は、「お金があれば幸せになれる」と、どこかで思っていました。

もちろん、今でもお金は大切です。生活するために欠かせないものです。老後の不安も、収入への不安も、消えたわけではありません。

でも、60代になった今、幸せを感じる瞬間が少し変わりました。

朝、元気に目が覚めたこと。

仕事先に向かう足が、ちゃんと動いてくれること。

スーパーで店員さんと笑顔を交わせたこと。

久しぶりに友人から「元気?」と電話がかかってきたこと。

散歩の途中で、きれいな夕焼けが見えたこと。

そんな何気ない瞬間が、胸をじんわりと満たしてくれます。

お金では買えない幸せが、日常の中にこんなにたくさんあったのだと、60代になってようやく気づけた気がします。

まとめ|「今ある幸せ」に気づくことが、未来への備えになる

お金の不安は、これからもきっとなくならないでしょう。物価は上がり続けますし、年金のことも気になります。

でも、本当に怖いのはお金だけではない、ということを、この年齢になって実感しています。

孤独になること。病気になること。働けなくなること。

この3つにどう向き合うかが、これからの人生の質を大きく左右するのではないかと、今の私は思っています。

だからこそ、お金を増やすことだけを考えるのではなく、人とのつながりを大切にすること。

健康を守るための、小さな習慣を続けること。

働けるうちは、前向きに働くこと。

この3つを、これからの自分の軸にしていきたいと思っています。

もし今、老後のお金のことで頭がいっぱいになっている方がいたら、一度だけ自分に問いかけてみてください。

「私が本当に怖いのは、何だろう?」

その答えが見つかったとき、今日から何をすればいいかもきっと見えてくるはずです。

人生は、お金だけでは測れません。

60代だからこそ、心の豊かさも大切にしながら、一日一日を丁寧に過ごしていきたいと思っています。

一緒に、そんな毎日を積み重ねていきましょう。