国際中医師アカデミー とうぎ【中医学日記】 -3ページ目

春になると陽射しともに気持ちも明るくなり、やる気が出てきませんか?
寒くて無口だった冬とは違い、温かい陽気に誘われておしゃべりになったりします。

実際、春は全体の陽気が上がってくるので、活気に満ち、意欲もわいてくる季節です。
そんな春は出会いの季節、恋の予感もしてくるものです。

ところがこの時期、その好きな相手に対して、ちょっとトゲのある言い方や、思ってもない言葉が飛び出してしまう可能性があります。

食べたいものや観たい映画の相違など、きっかけはささいなことですぐ喧嘩になってしまい、あとから考えると、この時期のイライラやトゲトゲさが破局のきっかけになっていた、なんてことも。

なんでこんなことに? 
これ、中医学的に考えると、春の転換期に五臓の気が順調に機能していないことにありそうです。

特に肝の気がうまく働いていないと、イライラしたり、乱暴な言葉が出てしまいがちです。そして悲しいかな、相手を傷つけてしまうのです。

自分の体にもいいことはなく、このまま放置しておければ五月病にもつながりかねません。

彼氏彼女とギスギスしそうになったら、漢方薬局に相談してみるのも手です。

逍遥散(ショウヨウサン)の加減で事態は好転するかもしれません!
「うちの子は勉強しなくて成績が悪い」「集中力がなくて困る」のは子供のせい?いえいえ、実は親のせいかもしれません。

中医学から見ると、人間の資質のほとんどは実は腎の精気(脳髄を司る)によるもの、という考え方があります。

親からもらった、つまり持って生まれた腎の精気が、その子の体力、知力のベースなのです。

優秀な後継者の育成が最大の課題であった中国の皇族の間では、遺伝の大事さ、怖さについての研究に熱心で、いかに質のいい精気を与えるかに腐心したといいます。

子供をつくる前に親(父親も母親も)が自分の体をどう養生するかで産まれてくる子供の精気の質が変わることも長年の研究でわかっていました。

そのようなことを知っている中国のある男性(世界中医薬学会連合外のスタッフ)は、「封山育林(山の木を切らずに林を育てる)だよ」と実際に妊活半年前から酒もたばこも絶ち、体の中をきれいな環境にすることを心掛けていました。(先日奥様は無事元気な赤ちゃんを出産されたそうです。将来が楽しみですね)

子供がどのような資質を持って産まれてくるかについて原因はいろいろあると思いますが、その一つに「封山育林」もあるように思います。

また「妊婦が一口多く食べることは、産まれた子が鍋いっぱい食べるよりも効果あり」という言葉もあります。

妊娠中に不摂生していて、産まれてきた子の体が弱かったからと、あとから栄養のあるものを与えても遅すぎる、という意味深長な言葉です。

子供が産まれる前から、親が毎日ちゃんと食べて、寝て、運動し、心豊かに精神が安定していることこそが、わが子を頭も良くて精気も強い子にしてくれます。

妊娠前や妊娠中に、少なくとも気遣ってあげることが、後々の育児の心配も減らしてくれるのかもしれません。

すぐ泣く、よく泣く、夜寝ない、神経質、非常に興奮しやすい…いわゆる疳の虫の強い子、癇癪持ちの子のお母さんは大変ですね。

でも子供が悪いわけではないのです。
幼い子のグズリは体調不良の表れです。
たとえ病院で病気だと言われなくても不調ということはあるのです。

中医学的にいえば、体の陰陽のバランスが崩れているということ。
このような場合、消化不良や、胃腸・心臓に熱があることが多いです。

子供は五臓が未発達なうえ、現代の生活では、消化しにくいタンパク質を摂取しすぎることが消化不良の最大の原因です。

消化不良になると胃に熱がこもり、口臭がある、便が臭い、下痢や便秘になる、と言う症状が出ます。

胃に熱があると、次は心臓にも熱がこもっていき、これが興奮やイライラなど、精神的な不調につながっていきます。

きちんと治療しないと疳の虫のひどい状態である「疳証(かんしょう)」という病気になってしまいます。肌に艶がなく、やせていき、髪もパサパサになるのが特徴ですが、この病気になると治療はとても難しくなります。

そうならないためにも、グズリがひどいときは、早めに漢方のプロにみてもらいましょう。

診断ではっきりしたら、消化能力を高める漢方薬や熱を冷ますような漢方薬を調合したものなどが処方されます。体に必要な漢方薬を飲むと、体調も気持ちも落ち着いてきます。

当帰という生薬は、温性と潤性をもち、卵巣に対しても良い作用があり、血虚による便秘の治療にも効果的であることから、女性の美容と健康にいいと言われます。

“妻が毎日これを飲んでいれば、夫はどこにいても必ず飛んで帰ってくる”という中国の故事から「当帰」と名付けられ、美女を育てる生薬とも言われました。

現代でも女性疾患に効果が高いとして、よく勧められる生薬の一つです。

一見素晴らしい生薬に見えますが、痰湿、陰虚・火旺の人は、当帰を飲めば病気を悪化させることになりますので、服用は要注意。当帰には補血作用ともに活血作用もあるということを忘れてはいけません。

痰湿、つまり体がいつも重たい、痰がからんで消化不良の症状がある人が当帰を飲めば、消化吸収の力が下がり、下痢になったり、貧血がひどくなるでしょう。

体がいつもほてっているような人が飲めば、ほてり症状がひどくなるのでご注意ください。

当帰を使用する弁証の原則は、まず陰虚がないかチェックすることですが、もう一つ、ほかの生薬との配合がとても重要になります。

中医薬の治療では、1つの生薬に頼りきるのはNG。漢方薬が効くかどうかはこの配合にかかっているといっても過言ではありません。

方剤学ではこのような生薬の配分や配合を学びます。
大量に葉酸を(人工的に合成されたビタミンB9)を摂取すると、ウイルス感染症やガンと闘うための免疫力が衰えるというデータが、最近のタフツ大学の研究で出ています。

葉酸といえば妊婦に積極的な摂取が奨励されている栄養素として皆さんご存じかと思いますが、さらにデータでは、閉経後の女性の78%で葉酸が代謝されないまま血流中に存在していて、彼女たちのNK(ナチュラル・キラー)細胞の活性も低いというのです。

では葉酸は摂っていいのか、悪いのか。この問いに誰もが当てはまる答えはありません。
陰陽の論理で考えれば、どんなものでも良い面と悪い面があるものです。
ところが現代の情報が氾濫し、サプリや体にいい食べ物なども良いデータだけを載せていることが多く、これは中医学的にみても、また哲学的にみても非常に危険だと思います。

必要な体に使えば効果的でも、その人の体には要らないものを、“「飲めば効く」と言われているから”と摂取することは、自然の論理に反します。だから具合が悪くなるのです。

中医学は自然の医学の一つ。自然のルールに従って治療します。
ただし、陰陽の理論通り、体に必要な人には効くけれど、取り過ぎは禁物という漢方薬はたくさんあります。体に本当に必要かどうかの診断なしに「効くらしいから」と飲むことが、副作用が出る、とか、効果が薄い、という例が数え切れないほど出ている原因だと思います。

漢方のプロは、今の体にどんな力や働きが足りないのか、もしくは使われてないのかをチェックする能力があります。このような能力を弁証の能力といいます。
そして、弁証の結果に従って、体に足りない部分を補い、多い部分を取り除くことで治療していくのが漢方の原則です。この能力を論治の能力といいます。

この2つの力があれば、自分や家族の体を守り、不要な薬害を防ぐことができます。
中医学の基礎理論はこれらの力を身につける学問です。