困るねんなぁ』
山本くんとわかれて
家路を歩きながら
独り言を呟く
そう…ホンマに
来られたらマズい
『ただいまー…って
誰もおらんか』
こんなボロボロな
家なんか私しか
住んでへん
まぁ独り暮らしやから
仕方ないか。
別にボロボロな家が
見られたくないからって
理由で山本くんからの
誘いを断ったんじゃない
ただ…まだ怖いから
家を教えて
毎日見られたりされるのが
怖いから。
あいつと同じことを
するかもしれへん
『山本くんは
そんな人じゃないと
思うけど…怖いな』
とりあえずもう寝よ
明日も朝から
講義やから
寝不足やったら
授業に響くからな。
『朱里聞いてや』
『どしたん?』
『初デートがな
公園やってん』
『あははっ
楽しそうやん
で、何をしたん?』
『子供たちと
一緒に遊んだ』
『はぁ…
それデートちゃうやん』
『楽しかったで?』
『へぇー』
教室に入ってすぐ
朱里に昨日のことを話す
朱里はめっちゃ
楽しそうに聞いてくるけど
そんなに期待しないでほしい
『でな…駅前で
キスされた』
『えっ⁉︎』
『声が大きい』
『ごめん…それホンマ?』
『ホンマやで』
朱里はびっくりしたのか
大きい声で
聞き返してきたけど
周りが私らを見て
コソコソと見てくる
はぁ……なんで
私の友達はこんなに
周囲の目を向けるのが
得意やねん
恥ずかしいやんか
『付き合ってもないのに?』
『ぅん』
『好きでもないのに?』
『嫌いじゃないし』
『でも珍しいな』
『何が?』
『みるきーから
キスするんはわかるけど
山本くんからとはな』
『私もびっくりした』
『朱里は聞いただけでも
驚いてますよ?』
『そういう朱里は
恵くんとどうなん?』
『んー…別に普通やな』
『好きなんやろ?』
『気になってるだけ』
『ふぅーん…
素直になりや』
『みるきーもな』
『私は元から素直やし』
『そういうことにしとくわ』
『よろしく』