ハルキとは、
個人的に自撮りの写メなどを送るような間柄になっていた。
ただ、最初のうちは
実際に会ってみようなどという気はさらさら無かった。
関西など遠すぎる。
万が一、会うことになっても、
距離がありすぎて遠距離恋愛にもならないだろう。
ただ、最初に電話をしてから、
私たちは毎日LINEを送り合う様になり、
写メを送り、
ハルキの仕事の合間に、
何度も電話し合う仲になり、
半年が過ぎようとしていた。
そしてハルキの要望もエスカレートしていった。
「下着の写真が見たい」
「裸の写真が見たい」
最初は頑なに拒否していた私も、
彼に嫌われたくなくて、
下着や胸の写真を自撮りして送る様になった。
彼も、お風呂で撮った裸の写真や、
局部の写メを送ってくる。
彼は言った。
「愛しているよ」
...会ってもいないのに?
ハルキも多分、遊び慣れている男性では無かったから、
このバーチャル恋愛を、
楽しんでいたんだと思う。
段々、私は彼への想いが募っていた。
会いたい。
彼は言う。
「俺も会いたい」
そう、言ってくれたのに。
「来月の大阪へのチケット、
とってもいい?」
私は言った。
「もちろん会いたい」
彼が言った。
しかし、電話を切って、すぐにLINEがあった。
「ごめん
やっぱり家族を裏切れない。
響子ちゃんに会ったら、
もう本当に後戻りできなくなるから」
それは、私を我に返すには十分すぎる言葉だった。
そっか
そうだよね
私だけ本気になって馬鹿みたい
こんな世間知らずの地方の主婦、
騙すには簡単だったよね
馬鹿にされたものね
それから何度かハルキから続け様にLINEがあり、
これからもこうやって電話や連絡は取りたい、
会うのはもう少し待ってほしい、
だいたいこんなことが
何度も送られてきた。
しかし、私は、
「家族を裏切れない」
の言葉で、もうずいぶん冷静になっていた。
彼の
愛している
を信用していたわけではないけれど。
私は
彼へ、別れを告げた。
その「家族を裏切れない」発言の向こうで、
私は彼のどうしても許せないというか、
理解し難いお金の使い方をしていて、
しかし実際私は家族ではないし、
口を出すことは無用だと思っていたが、
一度、私にお金を貸してほしいと言ってきたことがある。
最初からそれが目的とは思いたくはないけれど、
もしお金目的だったとしても、
何も無かった普通の主婦が、
久しぶりに胸のときめきを覚えて、
ドキドキを味わえたことは感謝していた。
実際、私はお金を貸すつもりでいた。
でも、ハルキは
ギリギリのところで、
「やっぱり響子ちゃんにそんなことさせられない」
そう言って、
私の申し出を断った。
そして私の結婚してからのファーストラブが終わった。
久しぶりの純愛は、
ほろ苦い幕切れだった。
to be continued...




