少々認知症気味の母と同居している私です。
「ラーメンが食べたい」と言うので、インスタントではあるものの栄養面を考えてトッピングを少々工夫したラーメンを作って出したのに「私が食べたいのはカップ麺だ!」などと言い放つなど、ワガママばかり言う我が母のことを陰で「クソババア」と呼ぶ私に、実母の世話をしたくても新型コロナ感染症のせいでそばにも寄れないまま数年前に独りで逝かせてしまった妻が、
「どんな形であれ肉親の世話ができるということは幸せなんだぞ」
と言っておりました。
きっと真実でありましょう。
昨年死んだ父が施設に入所する前の半年間、弟が父の世話をするため実家で同居してくれていました。ある深夜、差し込むような急な便意に襲われた父が起き上がり、しかし我慢しきれずに下痢便を垂れ流しながらトイレに移動するという惨事が発生したことがあったそうです。排便し尽くした父を風呂場に連れて行って下半身をシャワーで洗って着替えさせ、ベッドシーツと毛布を交換し、トイレと寝室の床を拭き清めるなどの深夜の大奮闘について、
「眠気をふっとばして全力で対処したんだぜ」
と弟が翌日語るのを、気の毒に思いながらも心のどこかで何故かうらやましく感じた私です。
やっぱシモのお世話こそが介護の醍醐味でしょう。下痢便シャワーを顔に浴びちゃった、くらいの武勇伝がないと「親の介護をしました」と胸を張って威張れないような気がします。
幸か不幸か母の便通は割と規則的で、しかも独りでトイレに行けるので、私の出る幕はほとんどありません。
ところが先日の深夜、「ちょっと起きて!」という切迫した声に寝ぼけ頭のままトイレに行くと、母が下痢便まみれの紙パンツを前に呆然としていました。
やったー! とうとう来ましたシモのお世話! なぜかニヤニヤしてしまう私。
トイレ内には下痢便特有の臭いが立ち込めており、
うひゃーっ! くっせー! こりゃひでーなー! 窓開けちゃおっと。
何故か口調が少々はしゃぎ気味。
紙パンツを脱がし、便で汚れた下半身をウェットティッシュで拭いてやり、パジャマも着替えさせ、汚れ物は備えてあったビニール袋に入れて口を固く縛ります。
あれ? あーっ! 気が付かないうちに指に便が付いてた!
コレコレ! こういうハプニングこそが介護生活のスパイスだよなー。
うわ! やっぱクッセー!
でもなんでわざわざ指を鼻に近づけて臭いかいじゃったんだろ? おれバカダナー。
朝になって、早速弟に報告しました。武勇伝とは程遠いささやかな出来事なので、もちろん褒めてもらえるとは思っておりませんでしたが、それでも弟の反応は意外なほど冷ややかなものでした。自分の時はそこそこ誇らしげに語ったくせによー。
そしてひとこと「マザコン・スカトロ・マニア」と言われたのが心外でした。
言い得て妙だけど。