この前、桜島に行った時に「桜島(の大正溶岩エリア)と青木ヶ原樹海、同じ溶岩原なのに、なぜこんなにも植生が違うのか」ということに気付きました。
桜島には高い樹木はなく明るい感じがしますが、青木ヶ原樹海は鬱蒼とした森林。
ネットで調べて多少の知識は得たのですが、現地調査が一番なので、元日早々、青木ヶ原樹海へ行ってみます。
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昔、富士山の北側に剗の海(せのうみ)という大きな湖がありました。
平安時代の9世紀、富士山火口から10kmほどの北斜面で噴火が起こり(貞観大噴火)、流れ出た溶岩は剗の海方面へ流れ込み、剗の海の大半は溶岩に埋まって現在の精進湖と西湖に分断されました。
そして、この時に流れ出た溶岩原の上に新しく再生した森が現在の青木ヶ原樹海です。
元日の始発電車とバスを乗り継いで、青木ヶ原樹海へやってきました。
元日なので休みかと思った氷穴と風穴が開いていたので、行ってみます。
数年前に樹海に行った時、氷穴は行列ができていたので入りませんでしたが、今回は元日の早朝なので全然人がいませんでした。
鳴沢氷穴は貞観大噴火の際に作り出された縦穴型洞窟です。
氷穴は昔から天然氷の採取場所や貯蔵庫として使われ、現在は観光地化されています。
内部に一部狭い場所があり、腰痛持ちの僕はここを通るのはきつかったです。
縦穴型洞窟なので、階段もかなり急でした。
氷穴は天然冷蔵庫のような空間であり、岩を染み出して流れ出た水(現在は外部からの水を使用)がつららを形成します。
もう真冬の1月ですが、今年はあまり寒くないこともあってか、あまり見ごたえがありませんでした(2月からが見頃らしい)。

樹海経由で富岳風穴へ着きました(樹海の写真はのちほど)。
風穴も同じく貞観大噴火の際にできた洞窟ですが、こちらは氷穴と違って横穴型洞窟になっています。
こっちにもつららゾーンはあります。
あら、こっちの方がつららが多い気が。
風穴では鍾乳石や縄状溶岩、溶岩棚など、自然に生み出された溶岩を見ることもできます。
奥ではヒカリゴケの群生地も。
そこまで狭い場所もないしつらら以外にも見どころがあるので、僕は風穴の方が好きだな。
では、今回メインの青木ヶ原樹海の散策に行きましょう。
青木ヶ原樹海は自殺の名所としても有名です。
松本清張の小説のラストが樹海での自殺オチだったことをきっかけにして樹海で自殺する人が増え、現在でもそのイメージが払しょくできずに多くの自殺志願者が訪れる場所になっています。
僕は数年前に樹海に行ってその魅力がよく分かりましたが、それを樹海=自殺の名所のイメージを持っている人に話すと、怖がったりされます。
樹海では確かに自殺する人がいるけど、遊歩道周辺に仏さんがゴロゴロ転がってるわけじゃないし、幽霊も出ません(幽霊が見える人なら樹海じゃなくても見えるはず)。

後述しますが、樹海は足場が悪い場所が多いので危険と言えば危険です。
だけど整備された遊歩道ならば普通に歩けるし、そこを外れなければ全然怖いことはないです。
怖がる前に自分で歩いてみてほしいと僕は思います。
今回は風穴駐車場のすみにある遊歩道入口から樹海に入ります。
写真右(車の上付近)に監視カメラがあるのでどっかで見られてるのかなぁと思っていたら、遊歩道に入って約2分でパトロールの人がすっ飛んできました。
「こんにちは、何をしていますか?」と声をかけられ、散策と撮影が目的である旨を伝えて、植生などについても立ち話をしたのでパトロールの人も安心して帰っていきました。
この辺りに住んでいる人たちにとっては自分たちの地元が自殺の名所扱いされるということは迷惑以外の何者でもありません。
僕は樹海が大好きなので、このブログが樹海のイメージアップに貢献できればいいなと思います。
火山の噴火による溶岩が流れてくると、草木が全て失われて何もない土地になります。
ですが、時間とともに植物が復活し、やがてその土地に最適な植物群が形成されていきます。
この過程を植生遷移といいます。
植生遷移について下にまとめましたが、僕は別に専門家じゃないので内容は簡単適当です。
桜島の大正溶岩エリアはススキ(多年生植物)やマツ(陽樹)が見られるので、植生遷移としては現在③~④付近なのでしょう。
青木ヶ原樹海は、噴火から1000年以上経過して現在は⑤陰樹の森となっています(⑥極相林かも、どっちかよく分からん)。
木は日光を求めて上へと伸びていきますが、そうすると今度は地面へ日光が差し込みにくくなり、必然的に強い光を必要とせずとも育つ隠樹の森となってしまうのです。
青木ヶ原樹海の場合、地面が溶岩なので木は根を下に伸ばすことができず、横へ伸ばしていきます。
うねうねとむき出しになった木の根は、樹海独特の奇妙な風景を生み出していきます。
溶岩の上に木が生えていることが分かりやすい写真。
根を横へ伸ばした木はバランスが悪くなり、大木になれないまま倒れてしまうことも。
倒れたまま朽ちていく木が死を連想させます。
だけど、朽ちた木にはコケが生え、コケから水分をもらって新しい命が生み出されていきます。
樹海には死のイメージが付きまとうけど決してそんなことはなく、実際に歩くと素晴らしい生命の息吹を感じられます。
よく見ると、コケにも様々な種類があるのが分かります。
全部コケのつもりで写真を撮ったけど、違ってたらごめん。

遊歩道外の地面は腐葉土のように地面がふかふかしていて、倒木も中が腐って空洞になっていたりします。

足場にした地面や倒木が崩れる可能性が高く、転倒した場合、溶岩のくぼみに落ちてケガをする危険性があります。
また、遊歩道外には仏さんがいる可能性もあります。
仏さんを発見した場合、放置するわけにもいかんし、警察への通報や事情聴取やらで時間を潰されてスケジュールが台無しになります。
くれぐれも遊歩道外に出るのはやめましょう。
樹海と一括りに言っても場所によって木の種類も違います。
こちらは氷穴東側の遊歩道の写真ですが、高い木ではなくて写真のような中サイズの木が生えていました。
樹海についてはまだまだ全然知識が乏しいので、一度、ネイチャーガイドさん主催のツアーなどに参加してみたいです。
その他、樹海の写真をどうぞ。
最近、観光地でのオーバーツーリズムが問題になっています。
富士山周辺の観光地も明らかに外国人観光客が多く、この日も元日だというのにたくさんの外国人観光客がいました。
僕自身、人混みは苦手だけれど、樹海の遊歩道は全くというほど人がいなくて(日本人含む)、神秘的な青木ヶ原樹海の自然を満喫できました。

公共交通機関を利用して樹海に来た場合、樹海から河口湖駅や富士急ハイランド駅に戻るには富士急バスしかありませんが、この富士急バスは時間通りに来ない(30分来ないとか普通)クソバスということを知っているので2時間かけて歩いて帰ります。

途中の道の駅なるさわも開いてました、正月くらい休めばいいのに。
食堂は混んでいたので、鳴沢のご当地ジャンクフード・ビスケットの天ぷらを買いました。
このビスケットの天ぷら、なんとお値段100円(1枚じゃないよ、1パック100円)。

ジャンクフード界の最高コスパ商品じゃないでしょうか、ちなみに味や食感はさつまいもの天ぷらとほぼ同じで美味しいです。

おやきの屋台も出ていたので、3枚買ってみました。
こっちも美味しかったけど、おやき3枚で600円…ビスケットの天ぷらが6パック買えたな。
なるさわ富士山博物館は観光会社が運営する博物館です。
入口に突拍子もなくティラノサウルスの巨大模型があります。
富士山の解説とともに、天然石が展示されています。
そして博物館出口は天然石屋さんの店内に通じています。
なるほど、そういう感じね。
富士山世界遺産センターも開いてました。
山梨の観光地は正月から頑張るなぁ。
ここも以前来たことがあるので、簡単に見学。
元日早々たっぷり歩いて疲れましたが、幸い足腰を痛めることはありませんでした。
今年も健康に気を付けて散策ができればいいな。
終わり。