リクエストは尾崎豊。～音響の仕事をはじめたころのエピソード Vol.1

結婚披露宴の音響の仕事をはじめた2000年ころのことです。

新郎新婦のお二人と打ち合わせをしていたら新郎が「尾崎豊の曲を使いたい」と言いました。

曲名は、「Forget-Me-Not」。

それもメモリアルアルバムに入っているクラシックな感じの…。

2000年当時はまだスマホはもちろん、ノートパソコン、Wi-Fiなどない、携帯電話とかろうじて自宅にデスクトップパソコンがあるという時代だったので、曲名やアーティスト名をメモして、調べて、探して、連絡するという方法で曲を用意していました。

それでこちらで用意できないものはCDをお借りする…。

なので、その打ち合わせでも、どんなメモリアルアルバムなのか訊ねると、

「アルバム名はわからないんですけど、尾崎豊が亡くなって、そのメモリアルのCDでカバーなんですよ。クラシックぽいやつ…」

「どんなジャケットですか？」と僕。

「LPサイズで、彼の作詞のノートのレプリカがついているんですよ」と新郎。

と、普通、ここまで話すと、そのCD、持っていると思いますよね。

「そのCDはお持ちでしょうか？」

「いえ、持っていません。」

…。

ということで、そのCD＝キーワードは、「メモリアルCD」「クラシック」「作詞ノートのレプリカ」。

今でこそスマホにAmazon、オークション、メルカリ…探す手段はたくさんありますが、当時は、Amazonはまだ無かったんです。Googleだってまだ上陸していませんでした。

なのでまず、打ち合わせの記憶が新鮮な、その日の帰りに中古CDショップに行って、探すんです。それも数件まわって。

（後日、別の記事で紹介しますが、実は、ジャンルによって目当てのCDがどのショップに行けば見つかるか、情報が得られるかノウハウがあるんです。）

しかし、中古CDショップを数件まわるも本命のメモリアルCDは、見つからず…。

そして家に帰ってからインターネットで探すんですけど、これがまたひと苦労。

なにせ通信は、アナログ回線だから手動でつないで、♪ピ～～ヒャラヒャラとモデムから回線をつなぐ音が聞こえてやっと繋がるわけです。

Yahoo!JAPAN、Goo、Infoseek …。

情報は、今のようにGoogle一強じゃないから検索結果も検索エンジンによってまったく違うので、かたっぱしからキーワードを入れて探します。

で、ようやくみつけたのが、コレ。

■CD『4.25 REQUIEM | YUTAKA OZAKI MEMORIAL FOR 25TH APR.』

・生誕30周年記念盤

・尾崎豊本人の直筆制作ノートの復刻版

・初回限定盤には、12cmCDの他に8cmCDが付属、デビュー前の尾崎豊本人による未発表音源3曲が収録

収録曲は

＜12cmCD＞

　I Love You
　シェリー～Shelly
　Forget-me-not
　OH MY LITTLE GIRL
　Teenage Blue
　ダンスホール～Dance Hall
　ドーナッツ・ショップ～Donuts Shop
　僕が僕であるために～My Song
　卒業～Graduation
　15の夜～The Night

演奏は、吉川晃司や氷室京介のアレンジャー、キーボード奏者の西平彰氏。

＜8cmCD＞

　街の風景（デモバージョン）
　ダンスホール（デモバージョン）
　風にうたえば（デモバージョン）

どこで売っていたかというと、当初からあったYahoo!オークションで出品者は、東京・江戸川区の古本屋。

オークションというと自分が落札しなければ、誰かに買われてしまう！

こちらは仕事なので、何としても入手したい。

そこで出品者の古本屋を探し電話をしました。

「必ず買いにいくので、売ってください！」

今のオークションは、たぶん、直接電話なんてNGでしょうが、当時はまだリアル店舗中心でネットはサブだったんですね。

なので電話をしたらすんなりOKしてくれて、数日後、買いにいきました。

詳しい場所はもう忘れてしまいましたが、駅から20分くらい歩いて、個人商店のような古本屋。その隣の倉庫の奥からお店のおっちゃんがガサガサと引っ張り出してきた本命のCDは、埃をかぶっていました。

しかし購入価格は、1000円。