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↓ ↓今回は所有権です。 具体的には相隣関係と共有です。
民法の中でも1番やさしいテーマといえるでしょう。
落とすわけにはいきませんね。
□■問題編 (正解と解説は後半に)
以下の問で, 正しいものには○, 誤っているものには×をつけなさい。
[相隣関係]
【問 1】 (16-7-1)
土地の所有者は, 隣地から雨水が自然に流れてくることを阻止するような工作物を設置することはできない。
【問 2】 (16-7-2)/類題(11-2-2)
土地の所有者は, 隣地の所有者と共同の費用をもって, 境界標を設置することができる。
【問 3】 (16-7-3)/類題(62-9-1)(21-4-3)
土地の所有者は, 隣地から木の枝が境界線を越えて伸びてきたときは, 自らこれを切断できる。
【問 4】 (11-2-3)/類題(16-7-4)
隣地の竹木の根が境界線を越えて侵入している場合は, これを竹木の所有者に切り取るように請求することができるが, 自分で切り取ることはできない。
【問 5】 (21-4-1)/類題(62-9-3)(11-2-1)
土地の所有者は, 境界において障壁を修繕するために必要であれば, 必要な範囲内で隣地の使用を請求することができる。
【問 6】 (21-4-2)/類題(62-9-4)(13-3-1)
複数の筆の他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は, 公道に至るため, その土地を囲んでいる他の土地を自由に選んで通行することができる。
【問 7】 (13-3-3)/類題(62-9-2)
A所有の甲地は, 乙地に囲まれて公道に通じない土地で, 乙地を通る通路を開設しなければ公道に出ることができない。 この場合, 甲地が, A及びCの共有地の分割によって公道に通じない土地となったときには, Aは, Cが所有する分割後の残余地にしか通路を開設することができない。
【問 8】 (13-3-2)
A所有の甲地は, 他の土地に囲まれて公道に通じない土地で, Aが所有していない回りの土地を通る通路を開設しなければ公道に出ることができない。 この場合, Bが, Aから甲地を譲り受けたときには, Bは, 所有権移転の登記を完了しないと, 甲地を囲んでいる他の土地に通路を開設することができない。
【問 9】 (11-2-4)/類題(21-4-4)
他人の宅地を観望できる窓又は縁側を境界線から1m未満の距離に設ける場合には, 目隠しを付けなければならない。
[共 有]
【問 1】 (63-7-1)/類題(7-11-3)(9-2-1)(15-4-1)
各共有者は, 他の共有者の同意を得なければ, 自己の持分を処分することができない。
【問 2】 (59-5-2)/類題(55-6-2)(57-8-1)(9-2-3)(19-4-1)
A, B, Cは3人で別荘を共有している。 この場合, A, B, Cは, それぞれ, 別荘の全部について, その持分に応じた使用をすることができる。
【問 3】 (13-1-1)
A・B・Cが, 持分を6・2・2の割合とする建物の共有をしている場合に, Aが, B・Cに無断で, この建物を自己の所有としてDに売却したときは, その売買契約は有効であるが, B・Cの持分については, 他人の権利の売買となる。
【問 4】 (15-4-2)/類題(59-5-1・3)(3-5-1)(6-3-2)
A, B及びCが, 建物を共有している場合 (持分を各3分の1とする), Aは, BとCの同意を得なければ, この建物に物理的損傷及び改変などの変更を加えることはできない。
【問 5】 (18-4-1)/類題(59-5-4)(63-7-2)(13-1-3)(4-12-2)
A, B及びCが, 持分を各3分の1として甲土地を共有している場合, 甲土地全体がDによって不法に占有されているときは, Aは単独でDに対して, 甲土地の明渡しを請求することはできない。
【問 6】 (6-3-3)/類題(18-4-2)
A・B・Cが別荘を持分均一で共有している (特約はない) 場合, Aは, 不法占拠者Dに対して単独で明渡請求を行うことができるが, 損害賠償の請求についても, 持分の割合を超えて請求することができる。
【問 7】 (4-12-1)/類題(6-3-1)
A・B・C3人が土地を共有 (持分均一) している。 この場合, Aの反対にかかわらず, B及びCが同意して管理行為を行ったときは, Aは, その費用の分担を拒むことができる。
【問 8】 (19-4-2)/類題(3-5-2)
A, B及びCが, 持分を各3分の1とする甲土地を共有し, 甲土地について, Eと賃貸借契約を締結している場合,AとBが合意すれば, Cの合意はなくとも, 賃貸借契約を解除することができる 。
【問 9】 (3-5-4)
A・B・C3人が建物を共有 (持分均一) している場合, その建物の管理に関して, AがB及びCに債務を負っているときには, B及びCは, Aがその債務を支払わずに持分をEに譲渡しても, Eに対し, その債務の支払いを請求することができる。
【問 10】 (63-7-4)/類題(9-2-2)(15-4-3)(19-4-4)
共有者の一人が持分を放棄したときは, その持分は, 放棄した人の相続人のものとなる。
【問 11】 (18-4-4)/類題(57-8-2)(60-7-2)(4-12-3)
A, B及びCが, 持分を各3分の1として甲土地を共有している場合に, Aが死亡し, 相続人の不存在が確定したときには, Aの持分は, 民法第958条の3の特別縁故者に対する財産分与の対象となるが, 当該財産分与がなされない場合は, B及びCに帰属する。
【問 12】 (15-4-4)/類題(4-12-4)(6-3-4)(9-2-4)(19-4-3)
A, B及びCが, 建物を共有している場合 (持分を各3分の1とする), 各共有者はいつでも共有物の分割を請求できるのが原則であるが, 3年を超えない期間内であれば分割をしない旨の契約をすることができる。
【問 13】 (18-4-3)/類題(13-1-4)
A, B及びCが, 持分を各3分の1として甲土地を共有している場合に, 甲土地の分割について共有者間に協議が調わず, 裁判所に分割請求がなされたときは, 裁判所は, 特段の事情があれば, 甲土地全体をAの所有とし, AからB及びCに対し持分の価格を賠償させる方法により分割することができる。
□■正解&解説編
[相隣関係]
【問 1】 ○
水が自然に高地から低地に流れるときは, 高地の所有者は, 低地に排水することになります。
この場合, 低地の所有者は, 隣地から水が自然に流れてくるのを妨げてはならず, これを受忍する義務があります。
【問 2】 ○
土地の所有者は, 隣地所有者と 「共同の費用」 で境界標を設置することができます。
この場合, その設置費用と保存費用は, 双方が等しい割合 (1/2ずつ) で負担します。
※ ただし, 測量費用は, 土地の広さに応じて分担します。
【問 3】 ×
隣地から木の枝が境界線を越えて伸びてきても, 自分で勝手に切断することはできません。
隣地所有者にその枝を切断させることができるだけです。
相手方に植えかえの機会を与える趣旨なのです。
【問 4】 ×
隣地から竹木の根が境界線を越えて侵入してきたときは, 自分で切除することができます。
自分の土地の一部になっているわけですから, 自分で切り取ったっていいじゃないかということなんですね。
枝と違って, 根の場合は移植の機会を与えるほどの必要はないと考えられたのです。
【問 5】 ○
土地の所有者は, 境界またはその付近で障壁や建物を築造したり修繕する場合は, 必要な範囲内で, 隣地の使用を請求することができます。
隣地に立ち入らなければできないことが多いからです。
※ 使用請求に対して隣人の承諾を得られないときは, 承諾に代わる判決を得て使用することができます。
ただし, 隣家に立ち入るためには, 「隣人自身の意思」 に基づく承諾が必要で, 判決によって承諾に代えることはできません。 隣人の人格的利益を侵害する可能性もあるからです。
【問 6】 ×
他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は, 公道に出るため, 囲んでいる他の土地を通行することができます (通行権)。
通行の場所・方法は, 必要, かつ, 他の土地のために損害が最も少ない
ものを選ばなければなりません。
※ 通行権を有する者は, 通行する他の土地の損害に対して償金を支払う必要があります。
【問 7】 ○
「共有地の分割」 によって公道に通じない土地が生じたときは, この土地の所有者Aは, 公道に出るため, 他の分割者Cの残余地のみに通路を開設することができます。
※ この場合には, 償金を支払う必要はありません。 分割の価格などを定めるときに, 当事者間で当然に考慮されているからです。
※ 土地の一部譲渡によって公道に通じない土地が生じたときも同様です。
※ 残余地が譲渡され所有者が変わった場合
分筆 (分割) や一部譲渡によって公道に通じない土地ができた場合, その所有者は, 他の分割者または譲渡人の残余地のみを通行できますが, この通行権は, 残余地が譲渡された場合でもそのまま存続し, 残余地の新所有者に対しても行使できます。
相隣関係の規定は, 対人的な関係を定めたものではなく, 隣地間の利用調整を目的としたものですから, 通行権も, 土地に付着した物権的権利の性質を有しており, 同時にまた, 残余地自体に付着した物権的負担なのです(最判平2・11・20)。
【問 8】 ×
甲地を譲り受けたBは, 所有権移転登記をしなくても, 通路を開設できます。
相隣関係の規定は, 隣り合う不動産相互の利用調整を目的とするものですから, 不動産取引の安全保護を目的とする登記制度とは関係ありません。
公道に通じない土地の所有権を取得した者は, その登記がなくても, 隣地の所有者・利用権者に対して, 通行権を主張し通路を開設することができるのです。
【問 9】 ○
境界線から1m未満の距離に, 他人の宅地を見通すことのできる窓または縁側・ベランダを設けるときは, 目隠しを付けなければなりません。
隣人の私生活・プライバシーを保護するためです。
[共 有]
【問 1】 ×
各共有者は, 単独で自由に自己の持分を処分することができます。 他の共有者の同意は不要です。
明文の規定はありませんが, 持分 (共有持分) というのは所有権そのものですから, 普通の所有権と同じように, 自由に譲渡したり, 抵当権を設定するなどの処分ができるのは当然なのです。 もちろん処分できるのは, あくまでも自分の持分 (所有権) に限ります。
※ たとえば, 遺産分割前の相続財産は, 共同相続人の共有ですから, 各人は他の同意を得なくても, 単独で自己の共有持分である相続分を処分 (第三者に譲渡) することができます。
共有というのは共同で所有することですから, その本質は所有権であって, ただ所有者が数人いるために, 持分という割合で制約されているにすぎないのです。
【問 2】 ○
共有者の各人は, 共有物の全部について, それぞれの 「持分に応じた使用」 をすることができます。
※ したがって, Aの持分に基づいて別荘の占有使用を承認されたDは, Aの持分の限度で別荘を占有使用できます (あたかも, A自身がその持分に基づいて使用できるのと同じように)。
【問 3】 ○
Aが, B・Cに無断で, 共有建物を自己の単独所有としてDに売却した場合でも, 売買契約としては有効に成立します。
ただし, Aは, B・Cの所有権 (持分) を処分していますから, 他人の権利の売買となり, 結局, Aは, B・Cの所有権を取得して, これをDに移転する売買契約上の債務を負うことになります。
【問 4】 ○
Aは, 「BとCの同意を得なければ」, 共有建物に変更を加えることはできません。
変更というのは, 建物を増築・改築したり, 田を畑にしたり, 共有山林を伐採するなどのように物理的に変化させることや, 売却・抵当権設定などのように法律的に処分することをいいます。
共有物の変更は, 全員の利益に重大な影響を与えるため, 全員の同意が必要なのです。
【問 5】 ×
不法占有者に対する明渡請求は, 保存行為にあたります。
保存行為は共有者全員の利益となりますから, 各共有者が単独ですることができます。
Aは持分に関係なく, 不法占有者Dに対して, 「単独で」 甲土地の明渡しを請求することができるのです。
【問 6】 ×
不法占拠者に対する明渡請求は保存行為ですから, Aは単独ですることができます。
しかし, 損害賠償請求権は, 持分の割合に応じて各共有者に分割帰属するものとされるため, Aは, 単独では自己の持分相当額のみを請求できるにすぎず, 損害全額の賠償を請求することはできません。
※ 判例は, 共有物から生じる賃料 (たとえば, 共有別荘を貸した場合の賃料など) についても, 各共有者は, 自己の持分について請求権を有するだけだとしています。
【問 7】 ×
B・Cが, 持分価格の過半数により管理行為を行った以上, 反対したAも, 費用分担を拒むことはできません。
共有物の管理は, 各共有者の持分価格の過半数で決定され, 税金などの管理費用は, 各共有者がそれぞれ持分に応じて負担しなければならないのです。
「管理事項は過半数で, 管理費用は持分に応じて」 ということです。
【問 8】 ○
共有物についてなされた賃貸借契約の解除は管理行為にあたり, 各共有者の持分価格の過半数で行うことができます。
AとBが合意すれば, 持分価格の過半数となるため, 「Cの合意はなくとも」 賃貸借契約を解除することができます。
【問 9】 ○
共有建物の管理に関して, Aに対して税金・管理費等の立替えなどの債権を有するB・Cは, Aの持分の特定承継人Eに対しても, Aの債務の支払いを請求することができます。
Eとしては, たまったものではありませんが, 共有者B・Cの債権を保護し, 管理の実をあげるためなのです (Aの債務を支払ったEは, Aにその分を請求できるのはもちろんです)。
【問 10】 ×
共有者の1人が, その持分を放棄したときは, その持分は, 他の共有者に帰属します。
放棄した人の 「相続人のものとなる」 のではありません。
※ 共有の本質は所有権です。 ただ所有者が数人いるために, 「持分という割合」 で制約された状態にあるだけですから, 放棄などによりこの制約がなくなれば, いつでも完全な支配権としての所有権に復帰する性質をもっています。 これを共有の弾力性といいます。
【問 11】 ○
共有者の1人Aが死亡して相続人がいないときは, Aの持分は, まず 「特別縁故者に対する財産分与の対象」 となり, 財産分与がないときには, 他の共有者B・Cに帰属します。
他の共有者に帰属させる前に, 特別縁故者を優先させたのです。
【問 12】 ×
各共有者は, いつでも共有物の分割請求をすることができます。
共有は複雑な法律関係を生じるため, できるだけ早く解消されたほうが望ましいのです。
したがって, 「分割をしない旨」 の不分割契約をすることもできますが, その期間は5年を超えることができません。 長期間の不分割を認めない趣旨なのです。
※ 不分割契約は更新できますが, 更新の時から, やはり5年を超えることはできません。
【問 13】 ○
裁判による共有物分割の場合, 裁判所は, 『共有者間の実質的公平を害しないと認められる特段の事情』 があれば, 共有物を共有者1人の所有とし, 他の共有者には持分の価格を賠償させる全面的価格賠償の方法により分割することができます。
【重要条文】
■共有物の使用 (249条)
各共有者は, 共有物の全部について, その持分に応じた使用をすることができる。
■共有物の変更 (251条)
各共有者は, 他の共有者の同意を得なければ, 共有物に変更を加えることができない。
■共有物の管理 (252条)
共有物の管理に関する事項は, 前条の場合を除き, 各共有者の持分の価格に従い, その過半数で決する。 ただし, 保存行為は, 各共有者がすることができる。
■共有物についての債権 (254条)
共有者の一人が共有物について他の共有者に対して有する債権は, その特定承継人に対しても行使することができる。
■持分の放棄および共有者の死亡 (255条)
共有者の一人が, その持分を放棄したとき, または死亡して相続人がないときは, その持分は, 他の共有者に帰属する。
■共有物の分割請求 (256条)
① 各共有者は, いつでも共有物の分割を請求することができる。 ただし, 5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
② 分割をしない旨の契約は, 更新することができる。 ただし, その期間は, 更新の時から5年を超えることができない。
以上
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