ドリルが参考になった方はカチッとクリックをお願いします。
↓ ↓
今年の試験日程などが公告されました。
くわしくは こちら から
受験申込書の配布場所は こちら
です。
7月2日から配布されます。
さて, 今回の連帯債務, 次回以降の保証債務 (連帯保証) を 「多数当事者の債権関係」 といいます。
なにしろ債務者が複数いますから, その法律関係をキチンと整理しておかないと当事者間でいろいろもめたりしますので, 民法はこの債権関係について一定のルールを定めました。
当事者がたくさん登場して法律関係も複雑になりますので, 宅建試験の出題者としては, このへんの知識をあれこれきいてくるわけです。
「多数当事者の債権関係」 は, 大体2~3年に1回出題されます。 昨年は出題なしでしたが, 22年に保証債務 (連帯保証) が個条書きスタイルで出題されています。
今年はちょっと注意しておいたほうがいいかも。
あっ, それから 【問 1】 のあとの (8-4-1) とかいうのは, 「平成8年」 の 「問4」 の 「選択肢1」 に出題されたということで, 「類題」というのは同じ趣旨の問題が出題されたということです。
スペースの関係で全部の出題年を掲載していませんので, これだけしか出題されなかったというわけではありません。
「59」 とか 「60」 というのは, 昭和です。 基本を理解する結構いい問題があるのですよ。
[連帯債務]
■□問題編 (正解と解説は後半にあります)
以下の問で, 正しいものには○, 誤っているものには×をつけなさい。
【問 1】 (8-4-1)/類題(13-4-1)(16-6-1)
AとBが, Cから土地を購入し, Cに対する代金債務については連帯して負担する (負担部分は各1/2とする) 契約を締結した。 この場合, Cは, AとBに対して, 同時に, それぞれ代金全額の支払いを請求することができる。
【問 2】 (1-10-2)/類題(20-6-4)
A及びBは, Cと売買契約を締結し, 連帯してその代金を支払う債務を負担している。 この場合, 売買契約を締結する際, Aに錯誤があって, AC間の売買契約が無効であったとしても, BC間の売買契約は, 無効とはならない。
【問 3】 (3-6-4)/類題(59-9-3)(1-10-3)(16-6-4)
A及びBは, Cの所有地を買い受ける契約をCと締結し, 連帯して代金を支払う債務を負担している。 この場合, Aが債務を承認して, Cの代金債権の消滅時効が中断されたときでも, Bの債務については, 中断されない。
【問 4】 (3-6-2)
A及びBは, Cの所有地を買い受ける契約をCと締結し, 連帯して代金を支払う債務を負担している。 この場合, CがAに対して期限の猶予をしたときは, Bの債務についても, 期限が猶予される。
【問 5】 (8-4-2)/類題(1-10-1)(2-7-4)(3-6-3)(20-6-2)
AとBが, Cから土地を購入し, Cに対する代金債務については連帯して負担する (負担部分は各1/2とする) 契約を締結した。 この場合, Cが, Aに対し代金の支払いを請求したときは, その効力はBにも及ぶ。
【問 6】 (59-9-4)
A及びBは, Cに対して連帯債務を負担している。 この場合, Aについて時効が完成しても, Bは債務の全部を履行しなければならない。
【問 7】 (20-6-3)/類題(3-6-1)
AからBとCとが負担部分2分の1として連帯して 1,000万円を借り入れる場合において, Bについて時効が完成したときにはCが, Cについて時効が完成したときにはBが, それぞれ 500万円分の債務を免れる。
【問 8】 (1-10-4)/類題(55-8-4)
A及びBは, Cと売買契約を締結し, 連帯してその代金を支払う債務を負担している。 この場合, Cが死亡し, Aがその相続人としてその代金債権を承継しても, Bの代金支払債務は, 消滅しない。
【問 9】 (59-9-1)
A及びBは, Cに対して連帯債務を負担している。 この場合, AがCに対して債権を有しており, Cの債権と相殺が可能であるときは, Bは, Aが相殺を援用しない間は, Aの負担部分についてのみ, 相殺を援用することができる。
【問 10】 (13-4-4)
AとBとが共同で, Cから, C所有の土地を 2,000万円で購入し, 代金を連帯して負担する (連帯債務) と定め, CはA・Bに登記, 引渡しをしたのに, A・Bが支払をしない。 この場合に, Cから請求を受けたBは, Aが, Cに対して有する 1,000万円の債権をもって相殺しない以上, Aの負担部分についても, Bからこれをもって相殺することはできない。
【問 11】 (8-4-3)/類題(55-8-1)(16-6-2)(20-6-1)
AとBが, Cから土地を購入し, Cに対する代金債務については連帯して負担する (負担部分は各1/2とする) 契約を締結した。 この場合, Cが, Aに対して代金債務の全額の免除をした場合でも, Bに対して代金の1/2の支払いを請求することができる。
【問 12】 (13-4-2)
AとBとが共同で, Cから, C所有の土地を 2,000万円で購入し, 代金を連帯して負担する (連帯債務) と定め, CはA・Bに登記, 引渡しをした。 この場合, AとBが, 代金の負担部分を 1,000万円ずつと定めていたときは, AはCから 2,000万円請求されても, 1,000万円を支払えばよい。
【問 13】 (55-8-3)
買主A, B及びCは, 売主Dに対し 900万円の連帯債務を負い, 三者の負担部分は等しいものとする。 この場合, Aが 900万円をDに弁済し, B及びCに対し求償したが, Bは無資力であったとき, CはAに対し450万円償還しなければならない。
【問 14】 (13-4-3)
AとBとが共同で, Cから, C所有の土地を 2,000万円で購入し, 代金を連帯して負担する (連帯債務) と定め, CはA・Bに登記, 引渡しをした。 このとき, BがCに 2,000万円支払った場合, Bは, Aの負担部分と定めていた 1,000万円及びその支払った日以後の法定利息をAに求償することができる。
正解&解説
【問 1】 ○
連帯債務ではどのように請求するのかという問題です。
債権者Cは, 連帯債務者A・Bに対して, 同時に, それぞれ代金全額の支払いを請求することができます (Aが全額を支払えば, Bはもう支払う必要がないのはもちろんです)。
※ 連帯債務では, 債権者は, 連帯債務者の1人か数人または全員に対して, 全部または一部の履行を請求できます。 請求は, 同時でも順次でもかまいません。
1人1人の連帯債務者は全額を支払う義務がありますから, 債権者は, お金のありそうな人から全額を回収できるという仕組みです。
【問 2】 ○
連帯債務は債務者が複数いますから, そのうちの1人について契約が無効だったらどうなるの, という問題です。
もともと連帯債務は, 債務者1人1人が独立に債務を負担するものですから, 債務者の1人について法律行為の無効・取消しの原因があっても, 他の債務者の債務には影響がありません。 これが大原則で, これを相対的効力の原則といいます。
連帯債務者Aの錯誤により, AC間の契約が無効であっても, 連帯債務者BとCとの間では完全に有効な契約が成立するのです。
【問 3】 ○
連帯債務者の1人が債務を承認したらどうなる? という問題です。
1人について生じた事由は, 原則として当人だけに効力が生じ, 他の債務者には効力を生じない, つまり相対的効力が大原則でしたね。
つまりAが債務の承認をして, その結果, Cの代金債権の消滅時効が中断しても, Bの債務については時効は中断しないのです。
【問 4】 ×
これも同じです。
連帯債務者の1人について生じた事由は, 相対的効力しかありませんから, Aに対して支払期限を猶予しても, Bの債務は猶予されません。
※ たとえば, 6月1日の支払期日を, Aについてだけ6月末日に猶予しても, Bの支払期限は6月1日のままです。
【問 5】 ○
ところが連帯債務には, 他の債務者にも効力を及ぼす事由, これを絶対的効力事由とか絶対的効力とかいって, ここんとこは出題の常連です。
本問は, 大原則である相対的効力の例外にあたる絶対的効力についての非常に基本的な問題です。
さて, 履行の請求については, 1人に対して請求すれば, 他の連帯債務者に対してもその効力を生じます。
Cが, Aに対して請求をすれば, その効力はBにも及ぶのです。 ココは大変重要。
※ したがって, 請求の効果である履行遅滞・時効中断は, Bの債務についても生じます。 ただし, 請求以外の事由, たとえば債務の承認による時効中断には, 相対的効力しかありません。
原則事由と例外事由を正確に理解するというのが, 「多数当事者の債権関係」 の最大のポイントです。
相対的効力 = その債務者だけに効力が生じる
絶対的効力 = ほかの債務者にも効力が生じる
【問 6】 ×
1人について時効が完成したら?
1人について時効が完成したときは, その者の負担部分について, 他の連帯債務者も債務を免れます。
したがって, Bは債務の全部を履行する必要はありません。
時効の完成も絶対的効力を有するのです。
【問 7】 ○
前問と同じですね。
時効の完成は, 負担部分について他の債務者に対しても効力を生じますから, 負担部分が1/2ずつ (500万円) のB・Cについて, それぞれ時効が完成したときは, 互いに500万円分の債務を免れることになります。
【問 8】 ×
債務者の1人が債権者を相続したら?
債権者と連帯債務者の1人に混同が生じると, その債務者は弁済したものとみなされます。
債務者Aが債権者Cを 「相続」 すると混同が生じるため, Aは弁済したものとみなされ, 代金支払債務は消滅します。
つまり, Bの代金支払債務も消滅するのです。
※ 混同というのは, 債権と債務が同一人に帰属することで, 存続の実益がなくなるため債権・債務は消滅します (債権・債務の消滅原因)。
たとえば, 債務者が債権者から債権を譲り受けたときには混同が生じ, 債権・債務は消滅します。
どんなときに混同が生じるのか, 一応テキストで確認しておいてください。
【問 9】 ○
債務者は他の債務者の相殺を援用できるか, という相殺の援用に関する問題です。
債務者の1人が債権者に対して債権を有する場合には, 相殺を主張して債務を消滅・減少させることができるのですが, 相殺を援用しないときは, 他の債務者はその者の負担部分についてのみ, 相殺を援用することができます。
これは法律関係を簡易に決済するためなのです。
【問 10】 ×
前問の事例問題です。
Aが, 債権者Cに対して債権 (反対債権) を有するのに相殺を援用しないときは, Bは 「Aの負担部分」 についてだけ相殺を援用できます。
※ かりにAの負担部分が700万円であるとして, もし相殺援用を認めないとすると, BはCに 2000万円弁済して, Aから700万円求償することになります (この求償が確実に弁済される保証はありません)。
ここで援用を認めれば, Bは, 「Aの負担部分700万円」 で相殺を援用してCに 1300万円弁済すればよいことになり, 簡易に決済できるうえに, 700万円求償も確実に実現しますから担保の作用も果たせるのです。
←── 1000万円 (反対債権)
──→ A (負担部分 700万円)
2000万円 C
──→ B (負担部分 1300万円)
←──相殺援用 (Aの負担部分 700万円で)
1300万円を弁済
【問 11】 ○
債務の免除も絶対的効力を有します。
1人に対して債務免除をすれば, その者の負担部分についてだけ, 他の債務者も債務を免除されます。
Aが全額免除されれば, Aの負担部分1/2についてだけ, Bも債務を免れますから, 結局Cは, Bに対して代金の1/2を請求することになります。
【問 12】 ×
負担部分というのは, あくまでも債務者同士の内部的な分担割合の取決めであって, 債権者に対する本来の債務ではありません。
内部的な負担部分に関係なく, 債権者に対しては1人1人が全額の債務を負担するのです。
したがって, 負担部分を 1,000万円ずつと定めていても, 連帯債務者A・Bはそれぞれ, 債権者Cに対しては 2,000万円全額を支払わなければなりません。
※ AはCに 2,000万円支払った後に, Bに対して 1,000万円を求償することになります。 Bの負担部分 1,000万円を立て替えたわけですから。
【問 13】 ○
債務者が弁済すれば目的を達したことになり, 債務は消滅します。 あとは内部的な清算の問題が残ります。 求償問題です。
さて1人が無資力のときの求償方法はどうなるのでしょうか。
連帯債務者の中に償還をする資力のない者があるときは, 償還できない部分は, 他の債務者が, それぞれの負担部分に応じて分割負担します。
900万円全額を弁済したAは, B, Cに対して300万円ずつ求償できますが, 無資力者Bの負担部分300万円については, AとCが, 各自の負担部分に応じて分割責任を負い, 結局CはAに対し450万円を償還しなければなりません。
【問 14】 ○
求償に関するちょっと細かい問題です。
2,000万円支払ったBは, Aに対して, Aの負担部分 1,000万円と支払った日以後の法定利息を求償することができます。
1人が弁済したり, その財産によって連帯債務を消滅させたときは, 他の債務者に対し, 各人の負担部分について求償できますが, この求償には, ①弁済のあった日以後の法定利息, および, ②必要費・不可避の損害賠償を加えることができます。
絶対的効力についてまとめておきましょうか。
【絶対的効力事由のまとめ】
連帯債務では, 連帯債務者の1人について生じた事由は, 当人だけに効力が生じ, 他の連帯債務者に対してはその効力を生じません (相対的効力の原則)。
ただし, ①請求 ②更改 ③相殺 ④免除 ⑤混同 ⑥時効の6事項については, 例外的に他の連帯債務者にも効力が及びます (絶対的効力事由)。
試験ではこの両方が出題されますので, 原則・例外を正確に理解しておく必要があります。
(原則) 相対的効力の原則
①債務の承認 ②期限の猶予 ②取消し ③無効など
(例外) 絶対的効力事由
①請求 ②更改 ③相殺 ④免除 ⑤混同 ⑥時効
絶対的効力事由に関する条文にも目を通しておきましょうかね。
■履行の請求 (434条)
連帯債務者の1人に対する履行の請求は, 他の連帯債務者に対しても, その効力を生ずる。
■1人による相殺, 相殺援用 (436条)
① 連帯債務者の1人が債権者に対して債権を有する場合に, その者が相殺を援用したときは, 債権は, すべての連帯債務者の利益のために消滅する。
② 前項の債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は, その者の負担部分についてのみ, 他の連帯債務者が相殺を援用することができる。
■1人に対する免除 (437条)
連帯債務者の1人に対してした債務の免除は, その者の負担部分についてのみ, 他の連帯債務者の利益のためにも, その効力を生ずる。
■1人との混同 (438条)
連帯債務者の1人と債権者との間に混同があったときは, その連帯債務者は, 弁済をしたものとみなす。
■1人についての時効の完成 (439条)
連帯債務者の1人のために時効が完成したときは, その者の負担部分については, 他の連帯債務者も, その義務を免れる。
■相対的効力の原則 (440条)
434条から439条までを除き, 連帯債務者の1人について生じた事由は, 他の連帯債務者に対してその効力を生じない。
以上
──────────