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ハイ, 今回は代理の一般的な通則を練習していきます。 代理とはどんな制度か, どういう内容かについて具体的な事例で出題される基本的なテーマです。
ダントツで出題されているところですから, 次回にやる表見代理・無権代理と同じように, 正確に理解しておかなくてはなりません。
忙しい人でも代理は絶対にマスターしておかなければならないテーマです。
□■問題編 (正解と解説は後半にあります)
以下の問で,正しいものには○,誤っているものには×をつけなさい。
[代理通則 1]
【問 1】 (63-2-2)/類題(59-4-4)
権限の定めのない代理人は, 保存行為に限り行うことができる。
【問 2】 (13-8-3)
Aは, B所有の建物の売却 (それに伴う保存行為を含む。) について, Bから代理権を授与されているが, 買主を探索中, 台風で破損した建物の一部を, Bに無断で第三者に修繕させた場合, Bには, 修繕代金を負担する義務はない。
【問 3】 (17-3-ア)/類題(58-2-2)(13-8-1)(21-2-1)
買主Aが, Bの代理人Cとの間でB所有の甲地の売買契約を締結する場合に, CがBの代理人であることをAに告げていなくても, Aがその旨を知っていれば, 当該売買契約によりAは甲地を取得することができる。
【問 4】 (12-1-1)/類題(6-4-1)(21-2-2)(22-2-3)
Aが, Bに代理権を授与してA所有の土地を売却する場合に, Bが未成年者であるとき, Bは, Aの代理人になることができない。
【問 5】 (56-3-3)/類題(12-1-2)(13-8-4)(19-2-1)(21-2-3)
委任による代理人は, 本人の承諾を得たとき又はやむをえない理由があるときでなければ, 復代理人を選任することができない。
【問 6】 (19-2-2)/類題(19-2-3)
Aは不動産の売却を妻の父であるBに委任し, 売却に関する代理権をBに付与した。 この場合, Bが, Bの友人Cを復代理人として選任することにつき, Aの許諾を得たときは, Bはその選任に関し過失があったとしても, Aに対し責任を負わない。
【問 7】 (63-2-1)
法定代理人は, 本人の許可や特別の理由がなくても, 自らの責任をもって, 復代理人を選任することができる。
【問 8】 (58-2-1)
法定代理人は, やむを得ない理由により復代理人を選任した場合には, その選任及び監督について本人に対して責任を負うにすぎない。
【問 9】 (19-2-4)
Aは不動産の売却を妻の父であるBに委任し, 売却に関する代理権をBに付与した。 この場合, Bが復代理人Eを適法に選任したときは, EはAに対して, 代理人と同一の権利を有し, 義務を負うため,Bの代理権は消滅する。
[代理通則 2]
【問 1】 (14-2-1)/類題(61-3-1)(2-5-3)(3-3-2)(4-2-2)
Aが, Bの代理人として, Cとの間でB所有の土地の売買契約を締結する場合に, Aが, DをCと勘違いした要素の錯誤によってDとの間で契約したときには, Aに重過失がなければ, この契約は無効である。
【問 2】 (13-8-2)
Aが, B所有の建物の売却 (それに伴う保存行為を含む。) についてBから代理権を授与されている場合において, Aが, 買主Dから虚偽の事実を告げられて売買契約をした場合でも, Bがその事情を知りつつAに対してDとの契約を指図したものであるときには, BからDに対する詐欺による取消はできない。
【問 3】 (20-3-1)/類題(61-3-3)(3-3-3)(12-1-3)
AがBの代理人としてB所有の甲土地について売買契約を締結した場合で, Aが甲土地の売却を代理する権限をBから書面で与えられている場合, A自らが買主となって売買契約を締結したときは, Aは甲土地の所有権を当然に取得する。
【問 4】 (20-3-2)/類題(3-3-4)(8-2-1)(21-2-4)(22-2-4)
AがBの代理人としてB所有の甲土地について売買契約を締結した場合で, Aが甲土地の売却を代理する権限をBから書面で与えられている場合, AがCの代理人となってBC間の売買契約を締結したときは, Cは甲土地の所有権を当然に取得する。
【問 5】 (12-1-4)/(56-3-1)(58-2-3)(63-2-3)(22-2-1・2)
Aが, Bに代理権を授与してA所有の土地を売却する場合, Bは, Aが死亡した後でも, Aの代理人としてこの土地を売却できる。
【問 6】 (14-2-3)
Aが, Bの代理人としてCとの間で, B所有の土地の売買契約を締結する場合に, Bは未成年者であっても, Aが成年に達した者であれば, Bの法定代理人の同意又は許可を得ることなく, Aに売買の代理権を与えて, Cとの間で土地の売買契約を締結することができ, この契約を取り消すことはできない。
【問 7】 (8-2-3)
Aが, Bの代理人として, Cとの間でB所有の土地の売買契約を締結した場合において, Aが, Cをだましたときには, Bが詐欺の事実を知っていたと否とにかかわらず, Cは, Bに対して売買契約を取り消すことができる。
□■正解&解説編
[代理通則 1]
【問 1】 ×
代理権はあるけれども, その範囲が不明な場合や, とくに範囲を決めていない場合があります。 こんな場合にそなえて民法は, 代理権の範囲を定めました。
つまり代理人は, ①保存行為, および, ②利用行為または改良行為 (物または権利の性質を変えない範囲内に限る) をすることができるというわけです。
保存行為に限定しなかったのは, 保存行為だけでは, 代理行為を十分に行うことができないからです。
【問 2】 ×
建物の修繕は保存行為に該当します。
本問の場合, 代理人Aは, 建物の 「保存行為」 についても代理権を与えられていますから, たとえ本人Bに 「無断で」 修繕契約をしても, 代理行為として有効に成立しますので, Bには, 当然ながら修繕代金を負担する義務があるのです。
【問 3】 ○
代理行為をする際には, 代理であることが相手方にわかるように, 本人のためにすることを示さなければなりません。 これを顕名主義といいます。 読んで字のごとく, 名前を明らかにするということですね。
しかしこの顕名がなくても, 代理行為であることを, 相手方が, ①知っている (悪意) か, または, ②知らなかったけれども知ることができたようなとき (善意だが過失があるとき=善意有過失) には, 代理行為として成立します。 なにしろ相手方は事情を知っている, あるいは知り得たわけですからね。
「CがBの代理人である」 ことを相手方Aに告げていなくても, Aがそれを 「知っていれば」, 代理行為としての売買契約が成立しますので, その結果, Aは甲地を取得することができるのです。
【問 4】 ×
代理人は, 行為能力者であることを要しません。 未成年者などの制限行為能力者であっても代理人になることができます。
代理行為の効果はすべて本人に帰属し, 代理人には及びません (ここ重要)。 そのため判断能力の不十分な未成年者が判断を誤って代理行為をしても, 未成年者は少しも不利益を受けることはなく, 制限行為能力者として保護する必要はないからなのです。
未成年者のした代理行為も完全に有効であって, 制限行為能力を理由に取り消すことはできません。
※ ただし, 代理人に選任した後に制限行為能力者になった場合は代理権は消滅することに注意してください。
【問 5】 ○
委任による代理人 (任意代理人) は, 能力・人格などを本人が信頼して選任していますから, 原則として復任権 (ほかの人をさらに代理人にする) はありません。
しかし, 一切認めないというのでは不便ですから, 例外的に, ①本人の許諾を得たとき, または, ②やむを得ない事由があるとき (急病など急迫な事情があって自ら代理行為ができないとき, また本人の許諾を得る時間もないとき) に限って, 復任権が認められています。
【問 6】 ×
任意代理人が, 本人の許諾を得て復代理人を選任したときには, その選任・監督について責任を負います (選任監督責任)。
複代理人Cの選任に関し, 代理人Bに 「過失」 があれは, 本人に対し責任を負わなければなりません。
【問 7】 ○
任意代理人と違って, 法定代理人は, 本人の許可や特別の理由がなくても, 自らの責任でいつでも自由に復代理人を選任できます。
復任権が制限されないのは, 法定代理人の権限が広範囲にわたり, しかも本人の信任に基づいて代理人になったわけではなく (法律の規定によることがほとんど), 辞任も容易ではないからです。
【問 8】 ○
法定代理人は, 自己の責任で復代理人を選任することができます。
したがって, 選任した復代理人の行為について常に全責任を負うのが原則です。
ただし, 病気とか旅行などのようなやむをえない事由で復代理人を選任した場合は, 責任は軽減されて, 選任・監督についてだけ責任を負います。
【問 9】 ×
復代理人の選任は代理権の譲渡ではありませんから, 復代理人を選任しても代理権は消滅しません。
復代理人は, 代理人の代理人ではなく, 本人の代理人として, 代理人と同一の権利を有し義務を負います。 代理人も復代理人も同等の立場で, ともに本人を代理するのです。
[代理通則 2]
【問 1】 ○
代理行為では, 現実に意思表示をするのは代理人ですから (ここ重要), 錯誤があったか, 詐欺・強迫を受けたか, 善意か悪意か, 過失があったかなかったかなど, 意思表示に関する事情は, 代理人自身について判断されます。
また, 代理行為から生じる法律効果は, すべて本人に帰属しますから, 代理人Aに要素の錯誤があり, かつ重過失がなければ, 本人Bは契約の無効を主張することができます。
※ 同様に, 代理人が欺された場合, 詐欺を理由とする取消権は本人が取得します。 代理人が取り消せるかどうかは代理権の範囲の問題です。
【問 2】 ○
代理人が 本人の指図に従って特定の契約をしたときは, 本人は, 自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することはできません。
代理人Aが欺されたという事情を, 本人Bが知って指図しているのであれば, 取消権を与えて保護する必要はないからです。
【問 3】 ×
同一の契約で, 当事者の一方が相手方の代理人となることを自己契約といい, 原則として禁止されます。 代理人が, 事実上自分1人で契約することになり本人の利益を害するからです。
したがって, 代理人Aが 「自らが買主」 となって売買契約を締結しても, 所有権を 「当然に取得する」 ことはありません。 代理権を 「書面で与えられている」 かどうかは無関係です。
※ ただし自己契約も, 当の本人の同意があれば例外的に有効とされます。 なにしろ本人がいいと言っているわけですから。
【問 4】 ×
同一の契約で, 同一人が, 当事者双方の代理人となることを双方代理といい, 双方代理も, 原則として禁止されます。 やはり, 代理人が自分1人で契約することになり, 当事者に不利益を及ぼすからです。
したがって, Bの代理人Aが, 同時にCの代理人となって 「BC間の売買契約を締結」 しても, Cが所有権を 「当然に取得する」 ことはありません。
※ ただし双方代理も, 当事者双方の同意があれば例外的に許されます。
※ 自己契約も双方代理も当然に無効となるのではなく, 無権代理行為となります。 したがって本人は, これを事後に追認して, 完全な代理行為とすることができます。
【問 5】 ×
任意代理権は, 信任を受けた本人の死亡によって当然に消滅します。
本人Aが死亡すれば, Bの代理権は消滅しますから, Bは, もはやAの代理人としてこの土地を売却することはできません。
【問 6】 ×
代理行為の効果はすべて本人に帰属しますが, これは, 本人自身がその代理行為をしたのと同様であるということです。
したがって, 本人である未成年者Bが, Aに代理権を与えて売買契約を締結させることは単独ではできず, 法定代理人の同意が必要です。
「法定代理人の同意又は許可を得ることなく」 売買の代理権を与えた場合には, 制限行為能力を理由に売買契約を取り消すことができます (未成年者が代理人である場合と混同しないように)。
【問 7】 ○
代理人が詐欺を受けたのではなく, 代理人が詐欺をした場合の問題です。
代理人は, 本人のために行為をする地位にありますから, 代理人のした詐欺は, いわゆる第三者の詐欺とはなりません。 したがって, 代理人Aによる詐欺の事実を本人Bが 「知っていたと否とにかかわらず」, Cは常に, Aの詐欺を理由に契約を取り消すことができます。
※ 第三者の詐欺の場合とは違い, 「Bが詐欺の事実を知っているとき (悪意)に限って, 表意者Cは意思表示を取り消すことができる」 ということにはならないのです。
以上
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