まるで
明凜と空汰のよう。
この絵本に闘病中、救われました。
そして今もこれからもこの絵本を読み聞かせるたびに空汰のことを思い泣き、また元気になれそうな気がします。


まだ明凜がいないその昔、

買い付けの旅でスウェーデンで偶然手に入れた

この絵本。

その数年後、ある方から日本語版を偶然に頂きました。


私たちも娘も大好きな絵本です。





リッランとねこ/

イーヴァルアロスニウス




あるひ ちいさな リッランは

みちで ねこに あいました

こわくなった リッランは

ひゃあっと おおごえを あげました


ねこは やーむと なきました

「ぼくは やさしい ねこですよ」

いたずらなんか しませんよ

どうぞ せなかに おのりなさい」


さっそく リッランが またがると

ねこは たったか かけだしました

その はやいこと はやいこと

リッランは きゃっきゃっと おおはしゃぎ




すると おんどりに あいました

「ほらほら どいて ぶつかるわ!」

リッランが さけぶと




おんどりは とても こわがって

めんどりおくさんが まっている

うちへ むかって にげだしました


つぎに ぶたに あいました

ぶたも やっぱり こわがって


ぶるぶる がたがた ふるえながら

ぶたの ベッドに もぐりこみました


こんどは がちょうに あいました

がちょうも もちろん こわがって


くびを のばして はねを ばたばた

ひめいを あげて にげだしました


それから ねこは リッランを のせたまま

おがわを すいすい およぎました

さかなは みんな こわがって

あわてて さーっと にげました




あっというまに きしに つき

リッランは きしべの はなを つみました



ところが そこへ あらわれた

あばれんぼうの おうし

はないき あらく もーっと うなって

どどっと とっしんしてきます

リッランは ぱしぱしっと むちを ふり

おうしを たいさんさせました


つぎに であったのは はらぺこわに

リッランを ひとのみに しようと

くちを おおきく あけましたが

ねこは わにの まえを

やのように かけぬけました


わには たいへん くやしがり

なみだを こぼして なきました

リッランは たべられなくて よかったと

おおきな こえで わらいました


それから うまに あいました

はながらベスト あしにはブーツ

うまは おめかししていますが

しっぽには なんにも つけてません


つぎには こうしに あいました

こうしは ただただ こわがって

ぶるぶる ふるえるだけでした


おじいさんが やってきました

ごわごわ もめんの ふくを きて

めだまは ぎょろぎょろ

あおい はなと おおきな くち

リッランと ねこは こわくなり

おもわず さけびました

おかあさーん!




そして すぐさま にげだすと

おじいさんの はなは

ぐんぐん ながくなりました


やがて リッランと ねこは

ずらっと いえが たちならぶ

まちへ たどりつきました


まちの なかでは おまわりさんが

きんの ボタンを ひからせて

ふんぞりかえって あるいていたり


みどりの ドレスの ごふじんが

にこにこ やさしく わらっていたり


りっぱな ばしゃも とおります

おつきが ふたりに ぎょしゃ ひとり

しょんぼり つかれた おうさまを

のせて おしろへ いそぎます



リッランと ねこは あとを おいかけて

おしろの もんに つきました

ばしゃから おりてきた おうさまに

ひざを まげて ていねいに ごあいさつ

すると おうさまは くちを ひろげて にっこりし


すぐに おつきに めいじました

「さあさあ カールソン おきゃくさまだ

おいしいものを たくさん もってまいれ!」

そこで おつきの カールソンは

おしろの なかへ かけていき

かぜのように もどってきました

ジュースに ケーキに さとうづけの フルーツに

ほかにも たくさん おぼんに のせて


リッランは むちゅうになって たべました

ねこも いっしょに たべました

ジュースも どんどん のみました


あんまり おなかが いっぱいで

もう あるけません


ねこの おなかは

ぱん! と われました

リッランは さけびました

わあー!




すると おうさまは むねを はり

リッランを なぐさめて いいました

「ここは わたしに まかせなさい」

さっそく したてやが かけつけて

はりと いとで しっかりと

ねこの おなかを ぬいました

ねこは ひめいを あげました

てんまで ととく おおごえで


さすがは おうさまの したてやです

ねこは たちまち げんきになって

まるで あたらしい ねこみたい


ねこが あるけるように なったので

リッランは うれしくなりました

おうさまに さよならを いうと


リッランと ねこは

うちを めざして まっしぐら

あんまり ちからを だしたので

ねこは まっかに なりました


おかあさんの かおを みると

リッランも ねこも ほっとして

すぐに ねむりに つきました

いろんなことが ありました

けれども いまは すやすやと

おかあさんの ひざの うえ

しずかに しずかに ねています



(おわり)



たくさんの温かいお気持ちありがとうございました。皆さんの心の片隅に「空汰」という猫がいたということだけでもおいていだけると嬉しいです。


晴れた日は夜空を見上げて

大きく深呼吸して

空汰星を娘と一緒に探したいと思います。


ありがとうございました。



金谷 剣志

金谷 彩子

金谷 明凜


ねこ 空汰



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