アメリカには、American Guild of Organists (AGO) という、オルガン奏者や愛好家のための団体があります。これには地域ごとのローカルのチャプター(支部)というのがあって、本部からの全米規模のイベントなどの他、ローカルのチャプターからの地域のイベントなども開催されます。

ちなみにオルガンのペダルなんかのアメリカ規格を作ってるのもこの団体ね。

 

私のオルガンの先生によると、昔はこの団体に所属するには推薦状やら必要だったりして、ちょっと敷居が高かったらしいんだけど、オルガニストが減ってきた今、もうオルガン好きなら誰でも参加できるようになってる。たとえオルガンが弾けなくても!

かくいう私も、オルガンレッスンを始めてからこの団体に参加してます。先生曰く、オルガンコンサートの情報などが入って便利とか。会費は年に100ドルちょっとかな、それと任意の寄付。

毎月オルガン雑誌が送られて来るよ。

 

 

で、各AGOのローカルチャプターがたまに開催するのが、このオルガン・クロール(organ crawl)というイベント。要はパイプオルガン好きが集まって近所の教会から教会を歩いて回って、そこのパイプオルガンをいじり倒すという企画。教会によってはそこの専属のオルガニストが楽器にまつわる歴史や逸話、スペックについてレクチャーしてくれて、デモ演奏もしてくれる。そしてそれが終わると自由時間で、その楽器を弾きたい人たちが順番に演奏する。(参加者は、あらかじめ楽譜を持参するように言われる。)

 

本物のパイプオルガンは1台1台がカスタム仕様で、鍵盤の数やパイプの数、出る音の数、音質、などなど、全然違う。なので、いろんな教会に行って、その違いを楽しむ。

ついでに、教会ごとに内装や大きさ、雰囲気など全く違うから、純粋に教会の建物も一緒に楽しめるね。

あと、教会から教会への移動は基本徒歩だから、まあちょっとしたエクササイズにもなる!(移動時間は各教会間5〜30分くらい。)

 

私の所属するローカルチャプターのある街は、めっちゃリベラルなくせに、不思議なくらい教会が多い。無神論者が多そうに見えて、なのに下手すると1ブロック先に次の教会があったりする。パイプオルガンを備え付けてる教会もとても多い。(電子オルガンじゃなく、本当にパイプに空気を入れるもの。)なので、オルガンクロールの行き先には事欠かない。(たいてい1日に4つの教会を回る。)

 

 

ちなみにこのイベントは、別にAGOのメンバーでなくても参加できる。ローカルチャプターのウェブサイトのイベント欄に載っていたり、あとはEvent Brite みたいなイベント情報ウェブサイトにも乗っけたりするかな。うちは年に1回、2月に開催してるね。

 

 

さて、そんなオルガンクロールですが、先日行ってきましたよ。今回は朝9時に1つめの教会に集合。

これが1つめの教会のオルガン。もともとカリフォルニアのゴールドラッシュの時に資金力にものを言わせて当時特大のものを作ったとか??それが色々移動させられ今に至る。そして、拡張?リビルド?されてこんな感じになったそう。このストップ(音)はオリジナルのもの、これは後で追加されたもの、MIDI 端子もついてる、みたいな説明をされたと思う!!

 

 

ベンチとかも結構年代もので、ちょっとグラグラしてましたわ。

見た目は電子オルガンって感じ。

 

でもちゃんとパイプに繋がってるよ。

 

 

教会自体は、ステンドグラスが印象的でした。

 

 

 

そして、次の教会へは、歩くこと約30分!

次の教会は、私立のクリスチャン系大学の教会なのかな?車で通りかかったことはあった気がするけど、こんなにしっかり見たのは初めて。

 

美しい!!!

 

そして、中に入って、これまた広くて美しくて、感激!!!!

 

 

このステンドグラス、壁に描かれた絵など、もう息をのむほど美しかったです。

この教会は備え付けのパイプオルガンが現在修理中ということで、今は貸し出された臨時のパイプオルガンを使ってるそう。それが正面向かって右側に置いてある。この写真じゃわかりにくいけど、オルガンクロールの参加者がわらわらとそのオルガンの周りをうろついてる。

 

 

そのオルガンはまた教会にマッチして、おしゃれでいい感じ!

 

音もすっごい可愛い!!!

 

 

(ちょっと隣に座ってた人たちがずっと喋り続けててうるさかったんだけどさ!)

 

 

まあこれくらいなら普通に教会に行けば聴けると思うんだけど。

オルガンクロールのいいところは、オルガンの内側まで見せてもらえること!

オルガンの作りによっては、パイプが収納されてるチャンバー(部屋)に入れてもらえたり、実際に空気を送り込む「ふいご」というパンプを操作させてもらえたりする。(楽器によっては、電気で空気を送り出すのと、ふいごをつかって手動で送り出すのを切り替えることができる。)

 

で、今回は、今作成中のオルガンの工事現場を見せてもらえました!

このホールの裏に出て、控え室などのスペースを通り過ぎて、狭い階段を登って行く。

バルコニーをぐるっと囲むように、オルガンのボディが設置されている(工事中)。

 

教会の礼拝堂からは、スクリーンがかかってるので、これらのパイプや木の建築物は見えないようになってる。

 

 

この備え付けのオルガンは、今年完成予定だったかな?

 

 

そして、3つめの教会。これまた30分くらい歩いたかな。

 

ちょっと色合いが地中海ぽいね!

 

ここのオルガンはこんな感じ。中はピンクぽい。

 

 

(あまり人は撮らないようにしてたから、ちょっとフラフラしてるね。)

 

 

 

最後の教会へは徒歩5分。そこで、あらかじめ注文していたランチを取ってから、4つめのオルガン見学。

 

ちっちゃくて可愛らしかった!音も可愛かった!(ちょっと時間がなかったので、動画はなし。)

アクションがメカニカルアクションというものらしく(私は何か知らない!)この譜面台をごそっと取り外して、中のアクションを見せてもらえました。

アクションがちょっと独特で、繊細で、ちょっと弾くのが難しいそう。説明してくれた人が、ここのオルガニストに就任した時、このオルガンで弾けるようにこれまでの指遣いを変更したと言ってました。

 

この教会は、住宅街にあって、ちょっとこじんまりとしてる。

 

オルガンは、この礼拝堂の後ろ側。

 

 

私はまだオルガンは初心者だから今回はあえて楽譜は持って行かなかったけど、来年は手鍵盤だけの曲を持って行こうと思う。

(手鍵盤だけなら大丈夫!!)