つい先日、オケ仲間との雑談でふとしたことから私の経歴の話になって、そこでちょっとビザの話なんかもしてたので、ブログにも書こうかと。

 

 

私はこれまで、学生ビザ(F1)、駐在員ビザ(L1B)、就労ビザ(H1B)、そして雇用ベースのグリーンカードを取っていて、ついでにそのプロセスで結構アメリカのビザについて調べたのよね。移民法は年々変わるから最新の情報ではないにせよ、でもまあアメリカのビザなんかについては割と知ってる方じゃないかと思う。

 

 

学生ビザに関しては、学校に受かってI-20貰えば、あんま問題ないんじゃない?なので割愛。

 

これからアメリカで働こうと思うと、まあ普通に考えられるのはL1BかH1Bだろうね。マネジメントとか投資家とかなるとまた別だから、まあエンジニアなんかのスキル系の一般社員の場合はね。

 

 

H1Bはねえ、普通に取るのは難しいかな。

今私は割と規模の大きいテック系企業に勤めてるんだけど、ビザで働いてる人少ないと思う。私はグリーンカード持ちで入社したからビザの話は全くなしで、出社初日にアメリカで合法に労働できる証明(グリーンカード)を見せてドキュメントを提出しただけ。(これはアメリカ市民もやる。)

多分規模が大きい会社とか人気な会社は、H1Bを出してまで外国人をわざわざ雇う必要はないと思うよ、よっぽど優秀でない限り。もともと別の会社でH1Bを持ってて、それをトランスファーするのなら別かと思うけど。

 

あ、でも最近のテック企業の大量レイオフで、H1Bホルダーの行方がなんとかというニュース記事がいくつかあったから、まあ普通にいるのか。(H1Bホルダーは解雇されてから60日以内に国外へ出るか、次の仕事を見つけないといけない。なので、結構不安定な位置にはいるね。ちなみにL1ホルダーは、別の会社にトランスファーができないから、帰国するしかないかと。)

 

 

それで、どうしてH1Bを取るのが難しいかというと、まず第一にビザの発行数に上限があるからだな。

これは経済状況によって違うけど、景気のいい時は特に会社もたくさん人を雇うから、H1Bの申請数も多くなる。H1Bの発行数は年ごとに決まっていて、前年のビザが全部発行済の場合、新しい年度の始めの「○月○日から申請受け付けます」というまさにその日に、それまで待機していた申請者が一気に申請するのよね。で、景気の良い年は、その申請初日から2、3日で発行上限数に到達する。あれは4月だったかなあ、よく覚えてないけど。なので、「仕事のオファーをもらったのが8月で9月に仕事開始します」なんて言って8月にビザ申請しても、もう無理なわけ。

4月に申請して、発行されるのが10月〜11月かな。(もう細かいことが曖昧だけど、面倒だからあえて調べない!)

 

で、申請初日に滑り込んでビザがゲットできたなら、それは大変幸運なことです。

もっとひどい年になると、一旦締め切った後に抽選だから。抽選で落ちたら、いくら書類揃えてもビザもらえない。その抽選で選ばれるのは、ざっと見た感じ、全体の1/3から1/4くらいぽいね。

(ちなみに大学院卒で申請すると、抽選の機会が増える。アメリカのイミグレーションでは高学歴ほど色々有利。)

 

 

特にコロナ後の今の状況はわからないけど、多分、それまでのH1Bの王道は、アメリカの学校のコンピュータサイエンスやらSTEM系の学位を取って、学校行きながらインターンして実績を作って(注:今気づいたけど、留学生って学生ビザで賃金の発生するインターンできるのかな?わからん。)、学校でも良い成績を残して(注:アメリカの特に新卒の履歴書には、大学の成績載せます!)、頑張って卒業後の仕事見つける。学生ビザからプラクティカルトレーニングビザ(?)に切り替えて、会社で働きつつ、次の4月のH1B申請の準備をする。うまくいけば、その年の秋からH1Bホルダーとして仕事を続ける。

 

もし抽選に落ちてしまった場合、STEM系の場合に限っては、プラクティカルトレーニングビザを24ヶ月延長できるという特例があったはず。なので、3回H1Bの抽選にトライできる。

それでもダメだった場合、残念ながら日本に帰国するか、こちらの大学院に進んで御茶を濁すんだな。。。

 

 

結婚?うん、その間に結婚してグリーンカード取るのもありだね!

でもね、例えばあなたが日本で社会人してて、いきなり「2年以内に結婚しないとクビ」とか言われて、すぐ結婚できますか?という話。

いや、できる人はできるかもしれない。でも私の場合、渡米して1年で主人と付き合い始めたけど、そこから結婚まで7年半かかったからね!その間に雇用でグリーンカード取っちゃったよ!結婚は難しいぜ。

 

 

 

でもまあ会社側としても、ひょっとしたらプラクティカルトレーニングで最低でも3年いてくれるのなら、まあオッケーだったりするのかなあ。(私の同僚が有名な大学を卒業して新卒でうちの会社に入ったんだけど、彼の友達の何人かがアマゾンのエンジニアになってたりしてて。一般的なエンジニアの給与体系に、普通のベースサラリーのほかに、入社時にRSUと呼ばれる自社株がもらえるんだけど、大抵入社1年後から4年かけて、少しずつその株が貰えるようになってる。うちの会社は、毎年均等に分けてもらえるんだけど、アマゾンは入社4年目以降にたくさんもらえる仕組みらしい。で、4年も続くエンジニアがとても少なく、ほとんどの人がもらえないそうだ!)

 

 

でも逆に言うと、プラクティカルトレーニングビザがない状態でH1B申請してくださいっていうのは、結構厳しいかも。取れる見込みが低いからね。もともとリモートで日本で働いて、ビザが取れ次第渡米、というのもまあ有りかもしれんが。

でもその場合、リモートでできるんだったらビザ要らないのでは?とか、まあぶっちゃけ日本の支社でビザ待ちするなら、H1BじゃなくてL1Bでいいじゃない?という話になるかも。

 

 

 

 

で、そのL1Bビザとは何かというと、アメリカの会社と関わりのあるアメリカ国外の会社(例えば日本支社とか日本本社とか)で1年以上働いて入れば、「転勤」という形でもらえるビザ。

この利点は、学歴などの要件がないこと。特定の職種に就いてればオッケー。(特殊のスキルを要するもの、例えばエンジニアとか。)あと、ビザ発行数に上限がないので、いつでも申請できる。

 

 

欠点は、最低1年間日本で待つ必要があることと、あとはビザの有効期限に限りがあることだな。ビザは最大で5年くらいまで延長できたのかな。それを超えると、たとえグリーンカード申請中でも、帰国しないといけない。

(その点H1Bは、グリーンカード申請中なら、グリーンカードが届くまで延長し続けられる。実は私がL1BからH1Bに切り替えたのはこのため。)

 

なので、もしL1Bからグリーンカードへ、と思ってるなら、すぐに申請開始した方がいいね。(会社がスポンサーしてくれるの前提だけど。)

というのは、たとえL1Bからの切り替えでも、H1Bの新規申請と同じだから、要は発行数の上限だとか、申請タイミングとか、同じ制約がかかる。H1B取らなくていいなら、それに越したことはないよ。

 

 

 

 

ビザというのは、また大変に「運」が必要で、私はそれは妙に持ってた。

H1Bに切り替えが必要だという時、2009年とかそんな感じで、まだ2008年の不況の影響が残っていて、H1Bを申請する人が随分減っていた時期だったんだ。枠いっぱいになるのに数ヶ月かかっていた時期で、抽選ではなく早いもの勝ちだった。なので、4月の申請開始初日に申し込んで、無事ビザが取れた。

(かと言って不況になればいいってわけでもなく、逆に自分が雇われる可能性も減るわけだからね。)

 

 

あと、H1Bって、関連する大学の学位が必要なんだけど、私は将来を見越してパートタイムで学校に通ってた。(若い時学校中退してた。)なので、コンピュータサイエンス専攻としてそれまで納めた単位と、卒業までに足りない分はこれまでのキャリアで補充して、移民局から「大学卒業と同等」と認めてもらえた。(学位なしでH1Bを取るのは全体の2パーセントくらいかな。)

 

 

ちなみにグリーンカードも、大学卒業前から申請してたので、カテゴリーが大卒枠ではなく、スキル労働者になってる。多分珍しいのだと思うけど、一度アメリカの空港の入国審査で職業を聞かれた。中国系ぽい女性だったのだけど、ソフトウェアエンジニアというと納得してて、でも「結婚の方が簡単でしょ?」と言われた。(ちょうどその時主人と一緒だった。)