カナダでビジネスを始める際、個人事業主として始めるか、それとも会社を設立するか、という重要な決断に迫られます。
この選択は、あなたの事業の規模や将来の展望、そして税金に大きく影響します。
特に、カナダでは「スモールビジネス控除(SBD)」という制度があり、この適用を受けることで、法人化が大きな節税効果をもたらす可能性があります。
カナダでは、スモールビジネス控除(SBD)が適用される場合、年間事業所得が30,000カナダドルを超えると、法人化を検討する価値が出てきます。
SBDは、法人税率よりも低い税率で事業所得に課税される制度です。
しかし、事業所得が30,000カナダドルを超えると、SBDの適用税率が段階的に引き上げられ、法人税率との差が小さくなります。
その前にカナダの法人税をまずは理解しましょう。
カナダの法人税は、連邦法人税と州法人税の2種類があり、それぞれ税率が異なります。
連邦法人税:
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一般法人: 15%
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小規模事業控除(SBD)対象企業: 9%
州法人税:
州によって税率が異なり、2023年現在の主な州の税率は以下の通りです。
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アルバータ州: 8%
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ブリティッシュコロンビア州: 12% (小規模事業: 2%)
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マニトバ州: 12%
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ニューブランズウィック州: 14% (小規模事業: 2.5%)
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ニューファンドランド・ラブラドール州: 15%
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ノースウェスト準州: 11.5%
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ノバスコシア州: 16% (小規模事業: 3%)
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ヌナブト準州: 12%
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オンタリオ州: 11.5%
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プリンスエドワードアイランド州: 16%
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ケベック州: 11.5% (小規模事業: 3.2%)
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サスカチュワン州: 12%
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ユーコン準州: 12%
実効税率:
連邦法人税と州法人税を合わせた実効税率は、州によって異なります。例えば、ブリティッシュコロンビア州で小規模事業控除を適用した場合、実効税率は11% (9% + 2%) となります。
注意点:
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上記の税率は2023年現在の情報であり、変更される可能性があります。
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一部の州では、小規模事業者向けの軽減税率が適用される場合があります。
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各州の税制は複雑であり、控除や優遇措置などが存在します。
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正確な税額を把握するためには、税理士などの専門家にご相談ください。
なぜ法人化が有利なのか?具体的な例で説説
例1:エミリーさんのケース
フリーランスのWebデザイナー、エミリーさんは、年間5万カナダドルの収益を上げています。個人事業主としてBC州の所得税率9.15%と連邦所得税率15%を合わせた24.15%で課税されると、税金は12,075ドルになります。
しかし、法人化してSBDを適用すると、税率は9%に減少し、さらに給与として3万ドルを自身に支払うと、法人税は2,000ドル(2万ドル×10%)、所得税は7,305ドル(3万ドル×24.15%)となり、合計9,305ドルになります。これにより、2,770ドルの節税になります。
計算式:
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個人事業主の場合: 50,000ドル * 24.15% = 12,075ドル
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法人化 (SBD適用) の場合: 20,000ドル * 9% + 30,000ドル * 24.15% = 9,305ドル
例2:ジョンさんのケース
パンデミックで失業したジョンさんは、自宅でベーキングビジネスを始めました。年間20万ドルの収益を上げていますが、個人事業主として28%の税率で課税されると、税金は56,000ドルにもなります。
しかし、法人化してSBDを適用すると、税率は9%に減少し、税金は18,000ドルにまで下がります。なんと、38,000ドルもの節税になります!
計算式:
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個人事業主の場合: 200,000ドル * 28% = 56,000ドル
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法人化 (SBD適用) の場合: 200,000ドル * 9% = 18,000ドル
例3:メアリーさんのケース
ファッションデザイナーのメアリーさんは、大きなブティックを経営し、年間60万ドルの収益を上げています。個人事業主として28%の税率で課税されると、税金は168,000ドルになります。
しかし、法人化してSBDを適用すると、最初の50万ドルに対して9%の税率が適用され、残りの10万ドルには28%の税率が適用されます。これにより、税金は合計73,000ドルとなり、95,000ドルもの節税になります!
計算式:
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個人事業主の場合: 600,000ドル * 28% = 168,000ドル
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法人化 (SBD適用) の場合: 500,000ドル * 9% + 100,000ドル * 28% = 73,000ドル
法人化のメリット・デメリット
法人化には、またSBDだけに限らず以下のようなメリットがあります。
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税制上の優遇: 法人税率は個人所得税率よりも低く、所得税の節税につながる可能性があります。
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有限責任: 事業で債務が発生した場合、個人の資産は保護されます。
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資金調達: 銀行からの融資や投資家からの資金調達が容易になります。
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事業の継続性: 所有者の交代や死亡があっても、事業を継続できます。
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法人契約での割引;Amazonなどのサービスは会社での割引がございます。
一方、法人化には、以下のようなデメリットもあります。
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設立費用: 法人設立には費用がかかります。(弊社の場合は1599CAD~)
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運営コスト: 法人税の申告や会計処理など、運営コストが増加します。(弊社の場合は月150CAD~)
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規制: 法律や規制の遵守が必要です。
したがって、法人化を検討する際には、これらのメリットとデメリットを比較検討し、専門家のアドバイスを受けることが重要です。
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